認められた
レオンと友達になった私。
レオンは私の裁縫技術に興味津々だった。
「す、すげー。ぬいぐるみって、こうやって作るんだ」
「そうよ。まあ本に書いてあったやり方をやってるだけだけどね」
「もしかしたらこの技術なら、父さんが保管している古のドラゴンのぬいぐるみも復元できるかもしれないな」
「古のドラゴンのぬいぐるみを復元!? ど、どういうこと?」
「ぬいぐるみを送る風習は、父さんが始めたものなんだ。けど、そのきっかけは、僕たちの国には、古くから伝わるドラゴンのぬいぐるみがたくさんあるからで、実際、ドラゴンは自分がモデルのぬいぐるみを見せるとその持ち主と良好な関係を結ぶ傾向があるんだ」
「じゃあ結構実用性があるってことね!」
「うん。ただ古のドラゴンのぬいぐるみは、壊れていて形が崩れているものも多い。それを復元すれば父さんはめちゃくちゃ喜ぶこと間違いなしだと思う」
「なるほどね。で、レオンも喜ぶの?」
「僕は…まあ喜ぶよ」
「微妙に素直じゃないですねえ」
そういうところが子供っぽいのよねー。
ていうわけで、友達同士だけど、どっちかと言ったら、私がお姉さんポジションかな。
私は、ふふん、と、心の中でだけニヤついた。
さらに、私は言った。
「レオンが喜ぶなら、私、本気でぬいぐるみの復元に取り掛かるけど」
「本当に!? なら父さんに頼んで、すぐにぬいぐるみをこっちまで送ってもらうよ。いやー、楽しみだね」
「これ、復元できなかったら怒られたりする…?」
「全然しないよ。ていうか、父さんは、流石に無理だったか。がはは、みたいなタイプだから」
「なんとなくわかった」
そしてその数日後。
レオンが復元してほしい壊れたぬいぐるみを持ってきてくれた。
「届いたよ」
「おー。結構形は崩れてないんだね」
「うん。ただ、おそらくここに翼がついていて、その翼が完全にない」
「な、なるほど」
「でも翼の形はわかってる。モデルになったドラゴンがわかってるからね」
「ふむふむ」
「こんな感じ」
レオンは本を見せてくれた。
なるほど、予想以上に大きな翼だ。これをふにゃふにゃさせずにドラゴンのぬいぐるみにつけるのには、割と工夫が必要そうだ。
うーん。まずは、ぬいぐるみの中に木の骨組みを入れることを想定しないとね。
あんまり太い骨組みだと固いぬいぐるみになってしまう。
とはいえ、中で折れたりしないようにしないといけないから、あんまり細くてもなあ…。
うん。結構じっくり考えて骨組みを用意しないとね。
というわけで私が木材の切れ端を集めて、せっせと自分の席で弄っていたら、レオンが、
「え、ぬいぐるみを作ろうと、本当にしてるの?」
と疑ってきた。
だからつい、
「してるよ! まあ見ててごらんよ」
と偉い職人みたいな返し方をしちゃった。
これはまずい。
かなりハードルを上げすぎたか?
これで軟弱でしおれている翼が出来上がったら、結構まずいぞ。
まずいので、より気合いを入れることにした。
まあ、私は気合いを入れたところで、パフォーマンスが上がるような人ではない。
手が震えて下がるような人だ。
だから、ゆっくり、すごい遅く翼の骨組みを作った。
「おおー、なるほど、まずは化石っぽい物から作るのか」
「化石じゃなくて骨でいいでしょ。絶滅した動物じゃないんだから」
「まあそうか」
今のところ感心してくれてる。
よし、じゃあもうこのまま集中モードに入っちゃいますよ!
やがて、骨組みが完成し、そこに綿と布を巻いていった。
そして、私の一番得意な所。縫い目が目立たない丈夫な縫い方を施す。
「できたよ」
「神過ぎる。すごい。翼がついてる。これで完成か!」
「いやいや、まだ細かい所を修復していきますよ」
「あ、そうなの? レベル高いなー。父さんもどう考えても喜ぶよ」
「そう言ってくれると、安心できるなあ…」
私は役に立てたのが嬉しかった。
学園で、別に立場がよくなったわけではない。
レオンの影響力は、ほんとは国王の息子だから絶対にあるのに、この学園に限れば本当に小さいみたいだ。
レオンに尊敬されても、周りからの評価は諦められた存在のまま。
それが気持ちいい。
実はすごい人に、実はしっかり認められている。
これ、いい展開。
心の中で調子に乗れる展開。
なので私は内心久々にすごく幸せを感じていた。
よかった。
学園でこんな気持ちになることあるんだ。
ほんとに感動だよ。
お読みいただきありがとうございます。
次話が最終話の予定です。




