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王子と友達になった

私はまた図書館に行って、今度はもっとマニアックそうな本を読んでみた。


すると予想は当たっていた。


どうやら、子どもが10歳くらいの時に、成長を願って親からトカゲのぬいぐるみが贈られるものらしい。それがあの国で、国王が始めた風習。


じゃあめっちゃ大切なものじゃん!


と思ったけど、ならレオンが自分のものではないフリをするのがおかしい。


あ、もしかしてほんとにレオンのじゃないのかな?


その可能性が出てきた…?


いや、やっぱりレオンのような気がするよ。


論理的に考えてない自覚はあるけど、暇つぶしなんだから、そんなノリでいいでしょ。


そして、レオンのだとしたら、親と喧嘩したのだろうか。


というかそもそも、留学のようなものと噂には聞いているが、レオンはなぜこの宮殿の学園に通っている…?


成績は素晴らしいらしいし、全然勉学ができないからよその国で鍛え直してこい! みたいな感じでもないと思うし。


どういうことなんだろう?


とても気になる。


親と仲が悪くなって、まさか、国を出るまでになった?


王子がそうなったら結構話題になると思うから、やっぱり本当に留学で来てるだけなのかな…。でも最近親と喧嘩したとか?


親って言っても国王夫妻なわけだからな…。


私が、「いやー仲良くいきましょうよ!」とか言えないよ絶対。


となると、全然ここからやることなくなってくるんですけど。



退屈しのぎ、ここでおしまいか…?


と思った私。


マニアックな本たちを閉じて、図書館の椅子でダラダラしていた。


だけど、なんとレオンの方から話しかけてきた。


「こんなところで、僕の国に関する本を読み漁っているとはね。しかも最近の本が多いじゃないか」


「あ、ま、まあね。だって気になるんだもん」


「すごいね。そんなに熱心に物事に取り組めるのに、どうして成績は悪いんだい?」


「うわ。意地悪なこと言ってきた」


「ごめんって。でもさ、その本たちを読んだってことは、色々予想が立ったんじゃないの?」


「立ってるよ。でも、レオンは何を言っても認めようとしないでしょ?」  


「どうだろう。ここまで深掘りしてくる人がいるとは思ってなかったからなあ…」


「まだ深掘りはしてない! 今これは、深掘りする準備中」


「結構頑固なんだね」


「頑固なのはそっち! しかも私の推理によれば、親とも喧嘩中でしょ?」


「そ、それはまあ、色々あるんだよ」


「まあ国王夫妻が親ってなると、大変よね」


ふふん!


結局、親と喧嘩したことを認めたも同然ね!


それならトカゲのぬいぐるみだって、親から贈られたものだけどいらないから落としても探さなかったってことよね!


私の思ったそのまんまね。


「で、なんか僕のことを色々理解してる親友だぜ的な雰囲気なのはなんで?」


「親友!? あ、全然親友とかになってる気はなくて…ていうか、私友達もいないからまず親友だぜ的な雰囲気とかもわかんないし」


「友達がいないの?」


「まあいないよ。だってこの学園での私の扱い知ってるでしょ?」


「そういえば…なんだ。俺より全然大変な目に遭ってるじゃん」


「そうなのかな? まあそれはいいのよ。私が聞きたいのはね、親と仲直りしないの? ってこと」


「もしかして、仲直りしてほしいと思ってるの? 優しいね」


「優しくないよ。暇つぶしの延長戦がしたいだけ」


「それを優しいと言います」


「流石に言わないでしょ」


「いや言うね!」


「あ、そう。で、仲直りはしないの?」


「まだしない。ちなみに喧嘩したのは最近だからね」


「あ、そうなんだ。じゃあこの学園にいるのは…」


「全然家出とかじゃないから。社会勉強だね」


「なるほど…そんな短期間の喧嘩なら、仲直りすればいいのに…」


「まあ、そうかなー」


「トカゲのぬいぐるみ、とりあえず落とし物コーナーに届けてあるからね」


「ありがとう…まあ気が向いたら、取りに行くさ」


レオンは去っていった。


ふん。素直じゃない男の子ね!


やっぱり男子は子供っぽいわ。同い年じゃなくてどこかで時間スキップしてんじゃないの?


とはいえ、私と違って、家柄も最上級で優秀な男の子でも、喧嘩とか悩んだりとかしてるんだな。


そこになんとなく親近感が湧いてきたのだった。




それからしばらくして、レオンが私に報告しにきてくれた。


「トカゲのぬいぐるみ、回収した」


「そんな、大していらないけど取りに行こうかなって感じの景品みたいな言い方しないの」


「してないし。まあいいのさ、親の機嫌をうまく取るのも僕のやらなきゃいけないことの一個ってことだ」


「仲直りできたんだ」


「まあとりあえずしたという扱いで」


「素直じゃなさすぎる」


「はいはい。まあとにかく、色々突っ込んでくれてありがとうな。そこはほんと優しくて助かった」


「優しい…」


「優しいって言われて嫌がるタイプか。仲間かもしれないな」


「えっ」


「本当に優しい人は優しいっていちいち言われるの嫌いだと思うから。俺は本当に優しくはなれてないけど、まずは優しいって言われてもいちいち喜ばないことにした」


「私があんまり喜んでないのそんな理由じゃないし、今レオンが言ったこと全然意味わかんない」


「あ、そう。まあいい。とにかく、多分気づいてないだろうけど、僕はこの学園ではぼっちなんだ」


「えっ」


「よその国の主の息子だから、変に関わりたくないのか分からないけど、全然馴染めてない」


「そうなの?」


「ぼっちから見たら気づかなかったかもしれないけど、俺もぼっちってことだな」


「そうなのかー」


「というわけで、これを機に友達にならないか?」


私はちゃんと、レオンの顔を見てみた。


普通にイケメンすぎる。ちょっと中性的。


友達…。


なってみるか!


だって私はみんなから諦められている。


婚約破棄もされた。


だから全然、よその国から来たイケメンでも強気で友達扱いしちゃうもんね!


だから私は、


「うん! 友達でよろしく!」


と返したのだった。



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