表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

王子の?ぬいぐるみを拾った

私はたまに優しいと言われる。


それは、私に何かしらの褒め言葉を言おうとして、でも、私にいいところがなさ過ぎて、とりあえず言っとこうと思って出た「優しい」だ。


だから、私は、優しいって言われたって嬉しくない。


 ☆ ◯ ☆


私は貴族の中では家柄があまり良くない方で、そんな私は、残念なことに能力も大したことなかった。


宮殿中の貴族の息子娘たちが通う学園で、私は最も落ちこぼれていた。


あまりの成績の悪さに、私との婚約が予定されていた、ライドからは一方的に婚約破棄されてしまった。


そんな私は今、学園中から可哀想だと思われている…。


「ねえ、あの子、知ってる?」


「ああいう人が宮殿の隅で人知れず暮らす婆さんになるのかしらね?」


「醜いこと…」


知らんこっちゃない。


私は最近裁縫にハマっててそれが楽しいから別に寂しくないもん!


将来だってなんとかして見せるもん! 具体的な計画とかはないけどね!



ところでなんですけど、私は最近裁縫技術を生かしてぬいぐるみを作り始めた。


自分で作ったぬいぐるみ、可愛すぎる。


ベッドがぬいぐるみで埋まったら、全然自分が床で寝るのでオッケーだわほんと。


しかも、私は世の中に貢献も始めた。


ぬいぐるみの修理のサービスを始めた。


学園では落ちこぼれなので誰も相手になんかしてくれないけど、小さい子とその親なら相手にしてくれるし、大体ぬいぐるみが壊れて悲しんでるのって小さい子だからね。


まあとにかくそういうわけで私は、自分の部屋の前に看板を構えて、ぬいぐるみの修理も請け負うようになったってことですわ。


そんな私は、ぬいぐるみに関して敏感になった。


どう敏感になったのかと言うと、壊れたり、修理した形跡がわかるようになった。


私が修理する時は、なるべく修理した時の縫い目が見えないようにしている分、そこまでこだわってない人がやったぬいぐるみの修理跡はすぐわかる。


多分普通にぬいぐるみを可愛がってる分には違和感ないんだろうけどね。


そんな私が…その能力を生かすきっかけが、まさか学園で起こるとは想定していなかった。。


けど起こった。


まず、私は基本的に学園でいい思いをしていないので、大人しく下を向いて歩いている。


で、そしたらぬいぐるみが落ちているのに気がついた。


そのぬいぐるみは、トカゲのぬいぐるみだった。太めのトカゲで可愛い系。


ていうか、イグアナっぽい。


陸に住んでるイグアナかな。それとも海に潜るイグアナかな?


謎のところでどっちか気になったりしつつ、私はそのぬいぐるみを拾ってみた。


うーん。柔らかい。


そして誰かの手作りっぽい。


なぜかっていうと、縫い慣れてない人が縫った縫い目が全体的に存在している。そして、修理跡がある。


うーん。これは誰のだろう。


私は推理することにした。


ひとまずトカゲは、学園の落とし物コーナーに届けておこう。


もっとも、あんまり機能してないコーナーだけどね。


それでもって、私はぬいぐるみの状態を完全に記憶した。


さて、推理を始めましょう。


まず、持ち主は男性の可能性が高い。


ぬいぐるみが手作りということは、自分で作ったか、誰かから贈られたかなんじゃないかなって思う。まあこれはちょっと確証が低いかな。


まあでもそうだと仮定すると、自分でトカゲのぬいぐるみを作る女性も、トカゲのぬいぐるみをプレゼントされる女性も、相当少ないと思うから、持ち主は男性。


偏見だけどね。


ワンチャン私とか嫌がらせで誰かから贈られそうで泣く。



というわけで、とりあえず男性と仮定。


そして、トカゲと言えば、ドラゴンに近い。


むしろ魔法を使えるようになったトカゲがドラゴンだとも言われている。


と、なると、ドラゴンと関係の深い人が持ち主なのではないでしょうか!


ドラゴンと共に、国を守り繁栄させてきたあの国の王子なら、とてもドラゴンと関係が深いと言えるだろう。


さらに、今、この宮殿の学園で学んでいると来た。


まあ私もね、学園で醜いだの言われたりしますけど、落とし物を本人に教えてあげるくらいはしますよ。


そもそもその王子は、私に嫌なことなんか一回も言ったことないしね。



その王子の名前は、レオン。


レオンに私は話しかけに行った。


「ねえ、ぬいぐるみ落とさなかった? トカゲの」


レオンは間を置いてから、ゆっくりと答えた。


「僕はぬいぐるみを落としてなんかないね」


「えっ。そうなの?」


はい。勘が鋭い私は分かりましたよ。


多分トカゲのぬいぐるみはレオンのなのに、なぜかレオンが自分のじゃないフリをしている。


なぜだろう。


まあ私の決めつけが間違ってたら元も子もないけど、いやいや、私の勘は結構当たりなことが多いですよ!


というわけで、私は、トカゲのぬいぐるみの謎をもっと探ることにした。


まず、念のため、手作りのぬいぐるみを売っている場所を探してみた。


商店街に行ってみると、小さな雑貨屋がいくつか手作りのぬいぐるみを売っていたけど‥でもトカゲのぬいぐるみは売ってなかった。


少なくともこの街で買ったものではないのだろうと推測。


もちろん私が知らない店がどこかにあるのかもしれないけど…。



やっぱり第一印象の通り、誰かから贈られたものか、自分で作ったものでしょ。


レオンがぬいぐるみを自分で作るのと贈られるの、どっちの方が想像できるでしょうか!


私的には贈られる方ね。


よし、だとすれば送り主を予想してみよう。


レオンを尾行したら私が怪しすぎて連行されちゃうかもしれないから、それはやめるとして…。


とりあえずやってみるべきは、レオンの国の歴史を勉強することだろうか。


落ちこぼれ生徒の私は気楽で暇なんで、そういう歴史の調べものとかする時間はたくさんある。


早速、学園の図書館に行ってみた。


ドラゴンとともに繁栄した、レオンの生まれた国の歴史の本を何冊かとってくる。


読んでみると…色々なことが分かった。


まず、ドラゴンの中には、変身することで大きくなる種類がいて、そういう種類が変身する前は、イグアナっぽいトカゲのような見た目であること。


そのような種類のドラゴンの生態の研究をしたのが、今の国王、つまり、レオンのお父さんであること。


だとしたら…。


トカゲのぬいぐるみは、お父さんから贈られた物なんじゃないだろうか。


私は予想がたったので、ウザいキャラになる覚悟で、レオンに推理を披露することにした。


「ねえねえ、トカゲのぬいぐるみ、お父さんから贈られたものなんじゃないの?」


「トカゲ? そもそも僕はぬいぐるみを落としてないんだって」


「そうかあ」


「なんでそんなに、その落とし物のぬいぐるみが気になってるんだ?」


「暇だからかな」


私は答えた。


みんなから諦められた存在だから、学園では本当に暇。落とし物のぬいぐるみは退屈しのぎよ。


そもそもぬいぐるみが好きな私。そこそこ持ち主には興味があるから、退屈しのぎの第一候補ってわけ。


と、いう詳しい説明はしなかったから、レオンはよく分からなさそうな顔をしていた。


まあそれでいいのよ。


私とレオンは、お互いの気持ちをわかりあう友達とかになるのは良くない。


なぜって、この学園で私は劣等生なんだから。


「とにかく、僕はぬいぐるみのことについては何も知らないってことで。ごめん」


「わかった」


私はうなずいた。


今深掘りしようとしても絶対無理だろう。


もっと色んな情報を探さないと。


まず、トカゲのぬいぐるみに何か特別な意味がある可能性はないだろうか?


ドラゴンの変身前って考えたら、例えば、子どもむけのなんかの記念とか?


成長を願うお祝い事とか?


そんな風習があれば、それ関係のぬいぐるみかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ