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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第三章 アイツとギャルの居場所は一つ
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ギャルと黒髪ショートボブ③

ご覧いただき、ありがとうございます!

 図書室にやって来た塔也センパイが、机に突っ伏し、声を殺して泣き出した。


 あの、明るくて優しい塔也センパイが。


 私はそんなセンパイが……吸い込まれそうな程綺麗で、はかなくて、そして、愛おしく感じた。


 この図書室は、私と塔也センパイの二人だけの空間だから、当然他の生徒は誰もいない。

 私はただ、泣き続ける尊い塔也センパイを、恍惚な表情を浮かべながら眺め続けた。


 それから私は、塔也センパイの泣いていた理由を調べた。

 といっても、クラスに友達のいない私には誰かに尋ねることもできないため、生徒達が塔也センパイの噂話に聞き耳を立てるくらいしかできない。


 ならば。


 私は特に用もないのに、塔也センパイの弟……和也のクラスを(のぞ)く。

 すると和也は、クラスメイトに塔也センパイの悪口をわめき散らしていた。


『出来の悪い兄さんのくせに、この前の期末テストの結果を見せびらかしてさ! 全く……父さんも母さんも、あんな兄さんに何一つ期待してないっていうのに、何を勘違いしてるんだよ!』


 当然聞かされているクラスメイト達は辟易した表情を浮かべていた。

 というか、壊れたスピーカーのように話し続ける和也の姿は、明らかにクラスでも浮いていて、他のクラスメイト達は侮蔑の視線を向けていた。


 だけど……そうか。

 塔也センパイは、家族に見捨てられて、絶望して……それであんなに泣いていたんだ……。


 この和也という弟はクズだけど、そのことに関しては褒めてあげよう。

 このクズのような家族のお陰で、塔也センパイのあの姿を見ることができたんだから。


 それからの塔也センパイは、まるで魂でも抜けたかのように虚ろな表情で図書室で勉強する。

 その姿には、今までのような決意めいたものは何一つ感じられなくなっていた。


 そして、そんな壊れたセンパイを眺めては、私は胸を高鳴らせる。


 ああ……この塔也センパイを、私は永遠に見つめていたい。


 そう、願いながら。


 それから一年半以上が経過し、塔也センパイは中学を卒業してしまった。

 その時の私の喪失感といったら、言葉に表せない程だ。


 しかも、センパイの通う高校は、ここからかなり離れたところ。

 もう、本当に逢えなくなってしまうのか……。


 そう思った私は、塔也センパイと同じ高校を目指し、一生懸命勉強した。

 両親を説得し、一人暮らしも認めさせた。


 さらにその一年後、私は塔也センパイと同じ高校に合格した。


 これで塔也センパイに逢える!

 嬉しさのあまり、私は小躍りした。


 いよいよ高校に入学すると、私は早速塔也センパイを探す。


 そして、私が見た塔也センパイは……さらに壊れていた。

 もう、何も信じられないといった瞳の色で遠くを見つめ、毎日を無為に過ごすセンパイの姿がそこにあった。


 それもそうだろう。

 調べると、塔也センパイは同級生の女の子を襲ったとして、学校中で嫌われていたんだから。


 塔也センパイを見てきた私からすれば、それが冤罪だとすぐに理解した。

 あの塔也センパイが、そんな真似をする訳がないんだから。


 でも。


「…………………クフ♪」


 気づけば、私は笑っていた。

 だって、中学の時以上に壊れた塔也センパイに出逢えたんだから。


 ああ……カワイソウな塔也センパイ。

 そんなセンパイを知っているのは……救えるのは、私しかいない。


 この時、私が塔也センパイという人を全て認めて、肯定すれば、センパイは私のことだけを見てくれるようになるって確信がある。

 でも、それは今じゃない。


 もっと……もっと壊れてからだ。


 私はその時を待ち、壊れた塔也センパイを眺めては幸せな日々を送っていた。


 だけど……そんな毎日を壊してしまった奴が現れた。


「……あと少しで、もう塔也センパイが壊れ切ってしまうところまでいくところだったのに、たかだか可愛いだけしか取り柄のないギャルが、私の塔也センパイにちょっかいをだしたんですよ」


 それまで幸せそうな表情で語っていた神森陽菜が、急に顔を歪め、しゆのさんを睨みつける。


「それからというもの、塔也センパイは日に日に笑顔が増えて、あの噂の冤罪まで晴らして、気づけばイチャイチャしながら幸せそうな表情を浮かべて……」


 そう言いながら、神森陽菜が何度も舌打ちする。


 だけど、俺が笑顔になるのも、幸せな表情になるのも仕方ない。

 だって俺は、しゆのさんという素晴らしい女の子に出逢えたんだから。


「だから、あの和也がこの学校に転校してきた時は心の底から笑いましたよ。あのバカを使えば、また以前の塔也センパイに戻ってくれると思いましたから」


 神森陽菜が醜悪な笑みを浮かべる。


 すると。


「あは……アンタ、カワイソウだし」


 それまであんなに激怒していたしゆのさんは、気づけば神森陽菜を憐れむような、そんな視線を向けていた。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は明日の夜更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ふぁ〜!?みんな壊れてるなぁwww しかも中学時代から和也きゅん、周囲から浮いていたのか…… 親の教育って大事なんだなぁ…… しゆのちゃんの逆襲がくるか!?
[一言] しゆのさんががらくたを打ち負かさなかったら、私はショックを受けるでしょう。次の章に完全に興奮しています。いつも章をありがとう
[一言] >私は畝を高鳴らせる 多分、『胸』を高鳴らせるの誤字だと思うのですが、畝が高鳴るとはどんなんやねん、とヤンデレ嬢が夜な夜な畑に忍び込んで畝をドラミングしている光景を想像しようとして断念。
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