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ボッチな俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ  作者: サンボン
第二章 救われたアイツがギャルを救う
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ご新規のお客さん

ご覧いただき、ありがとうございます!

 ——キーンコーン。


 放課後になり、俺はカバンを持って教室を出る。

 というか昼休みと同様、萩月さんが教室の前でモジモジしている様子が見えたので、もう呼びかけるのを待たずに合流しようと思ったのだ。


 ということで。


「やあ、萩月さん」

「あ、い、池っち!」


 声を掛けると、萩月さんは少しだけしどろもどろになったけど、すぐにパア、と笑顔になった。


「あ、あは! それじゃ行こっか!」

「ああ」


 萩月さんは軽い足取りで俺よりも少し前を歩く。

 俺はそんな彼女の後を、頬を緩めながらついて行った。


 すると。


「しーちゃん!」


 おっと……古賀さんよ、放課後のこのわずかな時間すら邪魔をする気か。


「葵、バイバイ」

「しーちゃんが冷たい!?」


 で、萩月さんはそんな古賀さんをまるで羽虫でも追い払うかのような仕草を見せた。


「ハハハ、池田クンとの二人っきりの時間を邪魔されたからって、チョット葵に冷たくない?」

「分かってんなら絡んでくんな……し……」


 いつもの調子で後藤くんに怒ろうとしたんだけど、自分の発言が恥ずかしくなったのか萩月さんの声が尻すぼみになり、そして、俯いてしまった。

 というか、萩月さんのそんな姿を見せられると、俺も恥ずかしくて仕方ないんだが……。


「ハハハ! 初々しいねえ!」

「ウ、ウッサイ後藤!」


 腹を抱えて笑う後藤くんに、萩月さんが腕を振り上げて猛抗議する。


 ——チョンチョン。


 ん? ……って。


「古賀さん、どうしたの?」

「(しーちゃん泣かせたら、私が絶対に許さないからね?)」


 振り返った俺の耳元でそうささやくと、古賀さんがニヤッと笑った。

 何というか……これは、古賀さんが俺を認めてくれた、ってことでいいのかな。


 でも……俺達は付き合ってる訳じゃないし、ましてや、俺は萩月さんのお母さんの“代わり”でしかない……。


 それでも。


「ああ」


 俺は古賀さんに力強く頷いてみせた。


 俺は……絶対に萩月さんを泣かせたりしない。


「ああモウ! 池っち行こ!」

「はは、じゃあ二人共、また明日」

「ハハハ、じゃあなー!」

「しーちゃんバイバイ!」


 二人と別れ、下駄箱で靴に履き替えると、俺と萩月さんは途中まで一緒に歩く。


 そして。


「あは! 池っち、頑張ってね!」

「萩月さんも!」


 俺と萩月さんはハイタッチをすると、それぞれのバイト先へと向かった。


 ◇


 ——ガラ。


「お疲れ様でーす」


 俺は事務所の扉を開けて挨拶すると、中では支店長が男の人と話をしていた。

 というか……お客さん?


「はい! ありがとうございます!」

「はは、よろしくお願いします」


 お、商談成立みたいだな。

 しかし、あんなにペコペコした支店長を見たの、初めてかも。


 俺はそんな二人の横を通り過ぎる際、軽く会釈して控室に向か……「あれ? 君、高校生?」……何故かお客さんに声を掛けられてしまった。


「あ、はい。高校二年です」


 俺はもう一度会釈してから答える。


「へえ……実は僕の娘も、同じ高校二年なんだよ」

「そうなんですね」


 ふーん、だから声を掛けたのか。

 でも、ひょっとしたら俺と同じ学校で、良くも悪くも俺の噂を聞いていたりして。


「ハハハ! この塔也はバイトにしとくにはもったいないくらい、よく働く奴でして!」


 そう言うと、支店長がバシバシと俺の背中を叩く。チョット痛い。


「そうかー……感心だね」


 お客さんは顎に手を当てながら、笑顔でウンウン、と頷いた。

 うーん、褒められ慣れていないせいか、こう褒められるとむずがゆい。


「そ、それじゃ俺は仕事に入ります」

「おう!」

「はは、頑張ってね」

「はい! ありがとうございます!」


 しかし、感じのいいお客さんだなあ。

 物静かで落ち着きがあって……ああいうのをイケオジっていうんだろうな。


 まあ、支店長もイケオジと言えなくもないが、どちらかというとオヤッサンと言ったほうがピッタリだし。


 そんなことを考えながら作業着に着替えると。


「さて……今日も頑張るか」


 俺は両頬を叩いて気合いを入れると、今日の分の作業に没頭する。


 運んで、積んで、並べて、運んで、積んで、並べて……。


 黙々と作業をこなす中、俺は山のように積まれた荷物の前で一瞬棒立ちになる。

 こ、これ……終わるかな……。


 というか、全部同じイラストが描かれた箱なんだけど。

 どこか大口のお客さんが発注したのかなあ。


「ま、まあ、とにかくやらないことには始まらないし終わらないんだ。だったら、全力でこなすだけだ!」


 それから俺は今まで以上にペースアップして仕分け作業をする。


 箱が全部同じでこれといって特徴がないから、いつもより確認に時間が掛かるが、それでも配置場所に目印を置いたりして工夫し、少しでも効率化と省力化を図ってみる。


 そのお陰で、途中からはペースもつかめ、順調に仕分けしていく。


 そして。


「よし! 作業完了!」


 綺麗に並び終えた荷物を眺め、俺は満足げに頷いた。

 いやあ、頑張ったなあ……。


「おーい、やってるかー……って、これ塔也一人でやったのか!?」

「あ、支店長」


 様子を見に来た支店長が、整理された荷物を見て驚きの声を上げた。

 フフフ……ちょっと満足。


「いやいや……後で手が空いた奴から順に助っ人に入れようと思ってたのに、全部やっちまうたあ……」

「え? そうだったんですか?」

「おうよ」


 うわあ……確かに一人でやるには多いとは思ったけど……。


「ところでこの荷物、今までは無かった箱なんですけど……」

「おう。これはご新規のお客さんとこの荷物だ。ほら、さっきお前も会ったろ」

「ああ、あの」


 あのイケオジなお客さんかー。


「急にうちの支店にやって来てな。ぜひウチを専属にって言ってくれたんだよ」

「へえー」

「初回でもあるし絶対に手は抜けねえと思ってたところ、塔也がここまでキッチリやってくれたんだから俺も鼻が高いぜ! こりゃ今月のバイト代……って、そういや明後日が支給日だったな。色つけてやるから楽しみにしとけよ!」

「! ありがとうございます!」

「ハハハ! それであの嬢ちゃんにプレゼントでも買ってやったらどうだい!」

「あはは、そうします」


 うん……これまでお世話になったお礼も兼ねて、プレゼント……いやいや、アレだったら、その……どこかに出かけてもいいかもしれないな。


 とにかく、ご新規のお客さん様々だな。

 俺はチラリ、と荷物に書いてある社名を見る。


『株式会社サクマシステムズ』


 うん、今後ともよろしくお願いします!

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は今日の夜更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] >でも……俺達は付き合ってる訳じゃないし、ましてや、俺は萩月さんのお母さんの“代わり”でしかない……。 → この童貞拗らせてやがる...! サクマシステムズ...新たな波乱なんでしょうか…
[一言] ここまでベタボレなら古賀さんも認めるしかないよね。 お互いに、自分の気持ちは判っているのに、相手の気持ちは判ってないかあ。もうちょっとだなあ。 新しいお客さんは、多分そうなんだろうけれど。…
[良い点] 内容がいいし今後の展開も気になる [気になる点] 一気に読んだけどしゆのの言葉の始まりに「あは」が多いのが個人的には違和感がある
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