第68話
さて、肝心のスライムだが竜巻の被害確認も兼ねて周辺を調査してみた結果、大部分がバラバラに刻まれながら、僅かに残った体で生き残っていたのを発見。
生命力半端じゃ無いな。念のため、≪炎の矢≫で焼き払って処理。
切り刻まれたスライムの一部をサンプルとして回収し、研究班に渡して分析させておく。
アキヒト君だが、一応念には念を入れて、暫くマーシャさんやマイコニド達で監視しながら村に過ごしてもらう。
プレイヤー全員が善人とは言えないし、偶然だったとしても監視付きのプレイヤーメイドの呪いの武器持った傭兵が出没しているから、全面的に信頼するのは難しいし。
何か掴んだら、マーシャさんが取り押さえる準備はして監視。
一応、マーシャさんが看破したアキヒト君のクラス構成は
『剣士』Lv17
『軽剣士』Lv16
『魔剣士』Lv15
『魔術師』Lv15
『風魔術師』Lv14
『嵐魔術師』Lv13
『突風剣士』Lv10
とまぁ・・・うん。ガッチガチの速攻攻撃型の構成で悪魔を召喚したりとか呪いの武器を製造するとかいう能力は無いっぽい。
「まぁこんな構成じゃ単独で森に入っても道に迷うのは当然よね。
一応、『風魔術師』が情報系魔法をちょっと使えるけど、囁き声拾ったり聞き耳できる程度だし」
「・・・アレ?『風魔術師』がLv14ならLv10で≪飛行≫が使えますよね? なんで空飛んで脱出しなかったんですか?」
「実は・・・高い所がマジでダメなんすよ。あとMP尽きたらパラシュート無しでスカイダイビングっすよ?
死にますって」
なんで風魔術師やってるんだ?この人・・・
さて、ボロボロになった丘の南側は現在進行形で復興作業と並行して水道橋建設を開始。
どうせ整備してしまうし、ついでに水道橋を埋め込んでしまおうと下水より先に上水道を優先。
竜巻の発生地だった水源地帯は水がかなり濁ってしまっていたがギリギリ崩壊が免れたらしいので、浄化作業をして竜巻で切り開かれた場所に浄水塔を建設するための基礎工事を開始。
竜巻や私の覚醒スキルでなぎ倒された木は腐ってしまう前に村の製材所に運び込んで急ピッチで乾燥と加工をしてもらう。
≪収穫の鎌≫でさっさと材木にしてしまっても良いが、今は土砂崩れ防止のために森の再生と再整備を優先するため、手が離せない。
竜巻被害から6日ほど経過し、ようやく土砂崩れの恐れが無い程度まで森の木々を魔法で再生できたが、だいぶこの場所の養分とかがすり減っているのが感じられる。
しばらくはむやみな伐採や植樹を控えて、回復させないと植物が育たないかもしれない。
で、1週間近く経ってアキヒト君は、なんでか村の酒場でバイトを始めていた。
君、魔法剣士だろ。なんで自警団に入らないんだ
「いや、訓練見てたら『あ、俺には無理だわ』って思って・・・」
マーシャさんブートキャンプを見てしり込みしたらしい
「いや、ゲームとリアルは別っすよ。
ゲームで剣を振るのは楽しいっすけど、異世界に来てガチで剣を極めたいとか思ってないっすよ・・・
それに、リアルでも居酒屋でバイトしてたし、Lv100なんで村の酔っぱらい相手なら負けないんで、楽な仕事っすよ」
一応、マーシャさんやマイコニド達が監視を続けているが、本当にただの偶然でここに飛ばされたらしい。
さて、対敵対プレイヤー対策としてこちらも迎撃準備を整えてはいる。
竜巻被害はたまさか相手に良識があって誤解が無かったから良かったが、本気で話が通じないヤツも居るかもしれないので、対プレイヤー用の決戦アイテムをコッソリ製造している。
呪いの武器に2度も遭遇してるし、あの製造者がまたこっちに手を出してくるかもしれない。
以前マーシャさんが倒した監視用の下位クリーチャーをマイコニド達が調べた結果、悪魔系クリーチャーである報告が上がった。
魔剣や処刑斧も「悪魔」関連の効果を持っていたし、おそらく悪魔召喚者クラスを主軸としたビルドの可能性が濃い。
なので、直近では「対悪魔」系の消費アイテムを製造して、マイコニド達に持ち歩かせている。
真菌の神官達にも協力してもらい、悪魔探知の魔法を使ってもらったり、聖堂の伝手を使って対悪魔の魔法とかの情報の収集を進めている。
そんな日々を過ごして本格的な真夏になった時、
「主様ァー!風呂が完成いたしました!」
「マジ!?」
待ちに待ったお風呂が完成した。
さっそく増築された風呂場(マイコニド達と共用)に行くと、10人くらいが一度に入れる大きな湯船とタイル張りの風呂場がある。
「お湯は?ボイラーが見当たらないけど」
「はい。実はボイラーは有りません。代わりにこちらを使用します」
そう言って出てきたのは穴の開いた小さい鉄の塊。
「この鉄塊を火で熱した後、水を張った湯船に沈めて湯を沸かします。
熱ければ水を足し、冷めた場合は熱した鉄塊を追加して調整します」
なるほど。焼き石って感じか。
「このように鉄塊には穴があります。
そこに鉤を通して運ぶので湯を沸かすのに少し時間はかかりますが、調理の時にカマドに入れておけば、火を使って調理をしながら自然と熱するので、時間の節約にもなります」
ボイラーを作るよりは経済的か。
「水は今は井戸水を使用していますが、上水道が完成すれば蛇口から水が出るようにしておきます」
「ありがと。じゃ早速今夜から入りたいんだけど・・・」
「はい。準備しておきます」
この日のために、実は石鹸を研究製造して、ボディーソープやリンスなどはキチンと取り揃えてある。
・・・あと、マーシャさんから『ヘアオイル』とか色々注文つけられてた。
リンスじゃダメかと聞いたらダメと言われ、美容品アイテムは絶対作れと凄い迫られた。
ヘアオイルは何とかなるけど、化粧水とかどうやって作るんだ?前の世界じゃ触ったことも無い。
洗顔剤なら使ってたが、男だった時は化粧水までは使わなかったし・・・なにより製造方法が分からん。
とりあえず、肌に良さそうな成分とか研究して・・・あーそういえば乳液とかも頼まれたんだっけ?
石鹸で顔を洗うだけじゃもうダメらしいので、マーシャさんの我慢が限界になる前にさっさと研究するか・・・
≪大竜巻≫
種別:広範囲攻撃魔法/嵐魔術師専用
制限:Lv12以上
属性:風
射程:数キロメートル
竜巻の範囲:半径50m
形状:竜巻・貫通
半径50mの大竜巻を出現させ、任意の方向へ竜巻を移動させる広範囲魔法。
竜巻は範囲内にあるすべての生物や設備などを巻き込み、破壊しながら直進する。
竜巻は術者がある程度コントロールできるが、術者が竜巻を操る場合は制御のために無防備になるのが弱点




