ジェラルミンケースの謎 (1)
1968年十二月十日、
現金輸送車の前にニセ警察官が現れ、
「この車にはダイナマイトが仕掛けられている!」
と偽情報を流した。
三日前の爆破予告事件を知っていた銀行員達は、
その偽情報を信じ、現金輸送車から退避してしまった。
オイオイ?!
だったら、本物の警察官に事前の警護を依頼しておけよ。
非常事態なんだから!
ニセ警察官は、
放置された現金輸送車に乗り、その場から逃走した。
三億円を奪うのに成功した。
その盗まれた現金輸送車が高級車だったため、
本物の警察関係者は、
(すぐに見つかるだろう)
と、高を括っていた。
まっ、
その頃の日本は貧乏だったからね。
でも、
ニセ警察官は、
新車のカロ○ラに乗り換え、
逃げ切った。
その青のカ○ーラも、
事件現場近くの駐車場で、
後に発見された。
そのカロ○ラの中には、
空のジェラルミンケースが、
三つ残されていた。
実は、
私は、
この空のジェラルミンケースに、
最も強い関心を抱いている。
(何故? 犯人は? わざわざケースから、お金を出してしまったのか?)
だから、
『なろう』で、
三億円事件の『真犯人を名乗る人物』が現れた時、
これを期待していた。
(『三億円を得た犯人が、確認のため、ジェラルミンケースを開けた』
瞬間を描写するのではないか?)
だって、
この瞬間が三億円事件のクライマックスだろ?
真犯人は、
ジェラルミンケースの中身を知らなかったんだぜ。
『真犯人を名乗る人物』は、
後世の知識で、それが三億円だと知っていたから、
金額の確認の重要性を見落としたけど。
お金が纏わる話で、
金額の確認は、
基本中の基本だよな。
そりゃ、
『人類史上空前の好景気である高度経済成長期の超一流企業のボーナス』だからね。
(トンデモない額だろう)
とは、
思っていただろうけど。
そうじゃなきゃ、
狙わないわな。
東○の府中工場の従業者数が約五千だって事は、
調べられたかも? 知れない。
でも、
一人当たりのボーナスの額が。
人類史上空前の好景気だからね。
この時代は、当然、インフレで、
今とは違って、
放って置いても、給料がドンドン上がって行ったんだよ。
しかも、
好景気の業績が、ボーナスに、どれだけ反映されるのか?
なんて、○芝関係者じゃなければ、無理だろ。
ジェラルミンケースを開けた瞬間、
真犯人は感動で震えたはずだ。
その至福の瞬間を書かないんだから、
『真犯人を名乗る人物』は、
「実体験ではありません」
と言っている様なものだ。
では、
『真犯人だと名乗る人物』が、
ジェラルミンケースを開けた瞬間を、
どの様に描写すると、
私は予想していたのだろうか?




