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第65話 リトル・マイナー、プロローグ その1

 光も射さない坑道の奥でツルハシを使い鉄鉱石を採掘する男たち。その中にひときわ小さな影がある。


「とうちゃん、でっかいの出てきたぜ!」

「おお、そいつは上物だな。でかしたぞトマス」


 トマスと呼ばれた子どもは嬉しそうにはにかむ。


(とうちゃんは村のドワーフの中でも強くてかっこいい自慢のとうちゃんだっ)

「おぉい、飯にするぞっ! 外に出ろ!」


 休む時はしっかりと休む。ずっとこもっていることも出来るが、そうするとこの山の魔力にあてられて酩酊状態になってしまう。そうなると仕事どころでは無くなるので、移動の時間が惜しいが2時間を目処にして出るようにしている。


 その足元をネズミが走り去る。それも続けて何匹も我先にと外へ向けて。


「──いかん! 走れっ!」


 先頭をご機嫌で歩いていたトマスも慌てて走り出す。


 坑道の崩れる音。


 激しい崩壊の音が迫り来る。


 トマスが走り抜ける。他の者が出てくる。だがトマスの父親は──。




 人口3000人ほどのスウォードの街ではほとんどのものが自給自足となっている。それでも他所から買い付けないといけないものもあり、鍛冶屋が必要とする鉄鉱石もその一つだ。


 街の北に連なる険しい山々には獣も清流に棲む魚もいて暮らすことも可能だ。


 ここに鉱夫たちが住まう集落があり、古くはスウォードの住民だった者達がいっそここに住もうとつくった鉱夫たちの集落である。


 人口は60人。老若男女あわせて。そのうち鉱山で働くのは13人と少ないが一つの街の需要を満たすだけならさほど問題はない。


 むしろそうして供給される鉄鉱石やその他鉱石などは価値が高めで村の生活は並みより少しいい水準であるし、万一困窮するような事があれば、街の執行部にプールされている補助金が充てられる用意もあり、ここもまた街の自給自足の相互扶助の枠組みの中であるのだ。


 たまに山から下りて街に来る鉱夫の村の住民は羽振りも良い。山の上で危険手当を含んだ高めの収入が山の上にいるうちは使うこともないのだ。だから物資の補給ついでにたまの街でハメを外す彼らは金払いもよく、商店を営む者たちの上客である。


 しかし“危険手当”である。それはその仕事には危険が伴うという当たり前のことを表しており、事故による死傷の割合はこの辺りで最も高い職場である。坑道の崩落もしばしばあることで、それが今回トマスの父親だったとしても、皆からすればしばしばあることなのだ。


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