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第56話 最強を夢見る巨人 その2

 興奮し、鼻息を荒げるレオから繰り出される拳は技と呼べるものではなく、単に力任せに振り抜かれたが、あまりの鋭さに反応が間に合わず──避けられないっ!


「そんなっ」


 それならと、慌てて構えて魔道具も発動させて、受け止め、られないっ。


 この150kgを超える身体をとんでもないスピードで壁に叩きつける。衝撃に息が詰まる。魔道具のバリアが張られていて、全身で守りに入ってこれとは。


 ばっと顔を上げた所に強烈な膝がめり込む。


「ぐぅおぁっ」


 ガードが崩れた腹にまともに喰らった。だが魔道具のおかげでさほどには効いていない。だが変形はする。腹の奥に至る衝撃。自分でみぞおちを押し込むような圧迫感。


 そして、背筋の凍るような威圧感。魔力を纏ったレオは圧倒的な暴力の象徴かのように迫り来る。


 左の手刀。身体が斜めに折れ曲がり地面にめり込むかのようだ。


 頬に右腕。前蹴り。両腕を掴まれて頭突き。脇腹を左腕が抉りにくる。右の回し蹴り。ふたたび吹き飛ぶ。地面を転がされた先に強烈な踏みつけ。


「矮小な巨人よ! 抗え!」


 踏みつけられた身体が反動で起き上がる。どうしたらそうなるのか。首を掴まれて背負い投げ。殺す気か。


「抗え」


 また前蹴り。だが今度は腕を掴まれたまま。衝撃は腹を突き抜ける。魔道具のバリアが足りない。このままでは普通に死ねる、死んでしまう。


 右腕。ハンマーのような殴りつけ。転がったところをつま先で蹴り上げられてついに口からドス黒い血が出る。


「ここで打ち返せないならもういい──死ね」


 容赦のない連打。壁を背に逃げ場もなく。さっきより明らかにダメージが通っている。魔道具のバリアが負けているのか。全力で展開し、死ぬまでの時間稼ぎをする。


 どんなに魔力を注いでも魔道具の出力があがる気配はない。もうダメかもしれない。


「抗えっ!」


 死にたくない死にたくない死にたくない!


「くそがあっ!」


 死に物狂いの俺の拳は、どうにかその猛獣をさがらせることができた。




「ふん、手間をかけさせる」


 レオは先ほどまでのことが嘘のように凪いだ表情で俺を指差してくる。


「とっくにその鎧は砕けている。途中からはお前の魔力のみによるものだ。おめでとう、目覚めし者よ」


 鎧の胸のところにあるコアは砕け散り、幾らかの残骸を残して辺りに散らばっていた。


 俺の中の人間でない部分がこのとき発現されたのだ。目覚まし者……この俺が、俺の力が……。


「魔道具は貴重なんだがな……」


 感極まる俺のそばで、ダリルが破片を集めながら呟いた。


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