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第37話 弓遣いフィナ その1

 人目もはばからず、泣いた。泣き続けた。


 それもこのダリルのせいだ。出会いからこれまで一貫して無表情で無愛想を貫いてきたこの不器用男が、生まれてきて1番の幸福に満たされてキャパオーバーして目からオーバーフローしてるところに、いきなり100万ドルの笑顔を見せてきたのだ。100万ドルてなんだろ。


 そんなことされたらもう止まるわけない。オーバーフローしてた幸福はわたしという入れ物を粉微塵にする勢いで目と鼻と口からあふれ出る。


 その間ずっと胸を貸してくれてたこの男は優しいか不器用のどちらかだ。というよりどちらもだ。




「落ち着いたか?」


 とか何とか言っているけど、ある程度収まった頃を見てわたしを引き剥がし、目の前でコートを脱ぎ壁に干しはじめたくせに。


 泣きじゃくって赤いままの頬をめいっぱい膨らませて椅子の上で膝を抱えて座っているけどさすがにごめんなさいだわこれ。


「ごめんなさい…」

「礼を言ったかと思えば泣き出して果てには謝ってと忙しいやつだな」


 なんか損した気がする。もうこの件については何の弁明も釈明もしない。


「弓を使えて嬉しいのはわかるが、あの威力をみろ。あれでうさぎを射れば肉片しか残らんぞ。別の意味で使い物にならんままだな」

「ぞんなぁぁぁ、どうしよおおお」


 今度は普通に泣いた。せっかくなのでまた抱きつきインナーも濡らしてやった。




 おでこがヒリヒリする……なにもデコピンしなくてもいいのに……。


「最初のアホの子丸出しよりはマシだが今度は泣きすぎだ」


 無愛想な男に人間性を批評されてる。解せん。


 ふぅっとひとつ息を吐いたダリルは魔力の制御で威力を調整出来ることを教えてくれて、そのあとしばらく練習場で色んな打ち方を試して懐かしの我が家に帰ってきた。


 別れ際のダリルの顔は無愛想なそれだったけど、前よりは親しみやすい気がする。




 冒険者ギルドの狩人の人たちは、だいたいがこの集合住宅に住んでいる。狩人というのは正確には職業ではなく、わたしたちは冒険者ギルドに所属している。


 その中で生活に直結する食肉の調達だけを好き好んでしている者たちの集まりで、つまるところあまり稼ぎは良くない。


 そんな金のない人たちに対してこういう物件が存在する。


 わたしの相棒である先輩もここに住んでいる。


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