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第16話 ひとりぼっちになった剣士、エピローグ その1

 スウォードという名の街がある。北は東西に長く険しい山が連なり、西側は海に面している。南には魔の森なんて物騒な名前の森が広がり、時折迷い出てくる旅人がいるくらい。


 東は他より開けてはいるが、それでも隣町などへは馬の脚で5日にもなる距離がある。おまけに林の入り口には“危険! 立ち入るな!”との看板が立てられては焦げていたりする。


 そんな広大な土地の真ん中に、5mを超えるそこそこに立派に見える石造りの塀に守られた、人口3000人ほどの街である。


 実のところこの街はどこの国に属するわけでもなく、街長は民主的に選ばれた人が務めて、身分の上下は存在しない。

 

 人間と獣人、亜人種が共存し、その割合はおよそ3:4:3というものでそれらは最初にこの街を治めた人物の貢献によるものだと伝えられている。


 街は区画整理が行われており、整然とした街並みに豊かな水路が生活を潤している。


 各国にその拠点を置く冒険者ギルドも、ここでは街の他の施設と変わらない立ち位置となっている。つまり荒くれ者が暴力をチラつかせたり、そんなものを束ねるギルドの長が特権を持っていたりはしない。


 そんな街だから、移民は基本的に受け入れている。森の向こうから来たと言う、錯乱して喚き散らしてひきこもり、一躍有名人となったビリーという青年もここに腰を落ち着けることとなった。




「こんにちわ。今日はどんな感じですか?」

「そうですね、ビリーさんのおかげで害獣駆除や食肉調達の滞っているようなことは無くなりましたから」


 ギルドの受付で依頼の状況を確認するビリー。


 ビリーはこの街に来ることとなった因縁に決着をつけた時からここのギルドで便利屋の如く働いている。それなりの報酬を得ているようだが、過去の失敗から贅沢することもなく貯金しているそうだ。


「ということは、ヒマってことですか?」


 狩りがないからヒマというのも少し違うが、その他のお手軽な仕事は以前よりここの住民の食い扶持や小遣い稼ぎとなっているため、ここではそこそこの強者に分類されるビリーは個の武力を必要としないものについてはあまり受けないことにしている。それでも必要とあれば受けはするのだが。


「そうですね、でしたらお休みにされてもよいのでは? 今日はほら、いい天気ですし。」




 シフトで働いている受付からするといつも顔を出すビリーは休んでない認識だが、こういう日はしばしばあり休みとしている。


 彼は休みの日には決まって行くところがある。


 街の共同墓地に、かつて苦楽を共にした仲間たちを埋葬していて、その墓参りだ。


 あの闘いのあと、どうにか立ち上がることのできたビリーは仲間の遺体(無残な骨と肉片でしかなかったが)を集め持ち帰り、オーク討伐と紅蓮蝶で得た報酬の全てを投じここに墓を立てたのだ。


 仲間たちを想い祈り、立ち上がる。


「俺はここでみんなの分まで働くからさ、そっちに行くことになった時は褒めてくれると嬉しいな。そしてまた語り合おう。その時までは俺からこうやって会いにくるからさ」


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