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第10話 豚を狩るもの その1

 夜の8時頃に街に着いた俺たちは、ギルドに死骸を持ち込みクエスト達成の認定と報酬をもらった。報酬が事のついでにしては多く、頼んでいる剣の代金にと渡そうとしたのだが。


「もうちゃんと貰ってるから。それはとっとくといいよー」


 せめて半分と食い下がるも頑なに受け付けてはくれなかった。曰く、冒険者としての働きに対する正当な報酬だとか。


「初めての人のリアクションを楽しみたいからって、何も聞かせずに服もまるこげにしちゃったからねー。それで買い揃えてよ」


 俺のボロ革鎧なら20着は仕立てられそうな金額には、彼女を楽しませたことの報酬も含まれているようだ。


 まるこげで思い出した疑問については、ピクニックで飲んだ水がすでに魔道具のそれで、あの時には全身に火に対する極大の耐性が付与されていたそうだ。


 しかし飲んだのだから着ている服には恩恵はない。あのピクニックは全てが必要な段取りだったと胸を張っていた。その仕草につい頭を撫でたくなる衝動を抑えてぐっとこらえた。




 翌日はダリルの元に顔を出した。


「無事に捕獲できたようだな。明日には豚を狩る。服と鎧を揃えて明日のこの時間にここにこい」


 相変わらずの無愛想さだ。ミーナに愛想を分けて貰えばいいのに。そしたら少しはミーナみたいに可愛いく……はならなくていいな。


「魔獣の豚アタマを狩るのにまた魔道具を貸し出してくれるのか?」


 カウンターの向こうで座ったままのダリルは足元に向けた視線そのままに言う。


「狩るのは俺がやる。お前は帰りの荷物持ちだな」




 今は先日の馬車に3人。御者席に俺たち2人、ダリルは荷台で寝転び空を眺めて過ごしている。


 目的の北の渓谷へは1日半の旅程で、その間もダリルは最低限の言葉しか発さず、ミーナもそれを意に介した風でもなく静かで穏やかな道のりとなっている。暇な時間が気まずいかと懸念したが流行りのファッションやスイーツの話をしていたら時間が足りないくらいだった。




 2日目の昼前に渓谷に着いた俺たちは、豚アタマの魔獣をさがして散策しているところだ。


「この辺りに出るのは確かな情報なのか?」

「昔からこの辺には良く出るそうだよっ! クエストも出ていたし目撃情報もいくつもあるからきっといるよっ」


 そう、今回もギルドで受注している。例のごとく腕利きが不在のいま、消化されないこの依頼を受けてくれたことに多少なりの感謝の言葉を貰ったくらいだ。


 川に沿って川上へと歩いていく。日はすでに傾き始めており、無邪気な女の子は靴を脱いで水遊びを始めてしまった。


「もう今日は出てこないかもねーっ。水が冷たくて気持ちいいよーっ!」


 ご満悦でなにより。眼福である。ダリルは相変わらず無口だ。肩から提げた鞄のみで服装は長袖に革ズボン、コートを羽織っており黒を基調としたコーディネート。すくなくとも川遊びには似つかわしくないスタイルで、無邪気にはしゃぐミーナとは正反対だ。


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