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069 幼女は海猫ちゃんを守りたい

「じゃあじゃあ、さっきの猫ちゃんが海猫ちゃんだったんだぁ!」


「そうなのですよ。海猫はポセイドーンの協力者になっているなのです」


「そうなんだぁ」


 って事は、ポセイドーンさんとお友達になったら、海猫ちゃんを紹介してもらえるかも!

 よーし!

 なんだかやる気が出て来たよ!


 メールが何処かへ去って行き、私とリリィとスミレちゃんとトンちゃんとラヴちゃんは、早速炎の出所を探しに町の中を探索する。

 本当は何処かへ行ってしまったアマンダさんとナオちゃんを追いかけようとも思ったのだけど、まずは気になった炎の出所を探す事にしたのだ


「ご主人見るッス。あそこにいるのって海猫じゃないッスか?」


「え!? 海猫ちゃん!?」


 噂をすれば何とやらってやつだ!


 私は大喜びで視線を向ける。

 するとそこには、海猫ちゃんの姿があった。

 しかも、3匹もいる。

 海猫ちゃん達の目の前には貝が沢山いて、海猫ちゃん達は「なーご」と何やらお話していた可愛い。


 可愛いー!

 近づいたら逃げちゃうかなー!?


 海猫ちゃん達の可愛さに大興奮して近づこうかどうか迷っていると、私の横でリリィが顔を顰めて首を傾げた。


「あの子達、何をやっているのかしら?」


「がお。あの時の炎~」


 え?


 その時、海猫ちゃん達が炎を出して貝を焼きあげる。

 その炎は確かに私が見たものと一緒のもので、私は驚いて正気に戻った。


 ええぇぇー!?

 私が見た炎の原因って、海猫ちゃんだったのー!?


「そう言う事ッスか!」


 トンちゃんがポーチの中で叫んで、ラヴちゃんが耳を押さえる。


「ご主人が見た炎は、海猫達がご飯を食べる為に出した炎だったんスよ!」


「なーご?」


 トンちゃんの声で、海猫ちゃん達が私達に気がついてしまった。

 海猫ちゃん達は焼き上げた貝を拾い上げ、私達を睨む。うん可愛い。


「なーごー!」


「ふん、良い度胸ね。アンタ達がそのつもりなら、相手してあげるわよ!」


 え?

 リリィ!?

 海猫ちゃんの言葉がわかるの!?


 私が驚きリリィを見ると、そんな私に気がついてトンちゃんが首を傾げた。


「ご主人、もしかして海猫の言葉がわからないッスか?」


「え? うん。そうだけど……って、あれ?」


 おかしいな。

 大地の加護の力で、動物さん達の言葉がわかるはずなんだけど……。


 どうしてだろうと私が頭を悩ませたその時、目の前にいる海猫ちゃん達がこそこそと話し出す。


「ねえねえ。本当にメール様が言ってた通りだね。魔性の幼女を上手く騙せたよ」


「やったね。このまま加護の力が効いてないって勘違いさせて、不安を煽ってやろうよ」


「うんうん。そしたら一杯ご褒美にナデナデしてもらえるね」


 はい。可愛い。

 何この子達!?

 可愛すぎだよ!

 もぉもぉ! ばれちゃってるよぅ!

 でも、可愛いから騙されてるフリしちゃおうかなぁ。


「何よアンタ達、普通に喋れるんじゃない。なーごしか聞こえないから、そーいうもんだと思ってたわ」


「「「なーご!?」」」


 海猫ちゃん達が驚き、リリィがジト目で海猫ちゃん達を見つめる。

 絶体絶命の大ピンチだ。


 り、リリィ!?

 え? 嘘?

 じゃあ、リリィも言葉が分からなかったのに、雰囲気で会話してたの!?

 このままじゃ、海猫ちゃん達が危ない!

 ナデナデしてもらえなくなっちゃう!


 私はリリィの目の前に立ち、リリィの額に手を当てる。


「リリィどうしたの? 凄くおでこが熱くなってるよ!? きっと風邪で幻聴が聞こえたんだよそうだよ旅館に戻ってお休みしよう!」


「ジャスミン?」


「幼女先輩どうしたなのですか? ポセイドーンの加護を受けたから、私も海猫の言葉はわかるなのですけど、普通に喋っていたなのですよ?」


 ……うぅ。

 ごめんね海猫ちゃん。

 私の力が及ばないばかりに、ナデナデしてもらえなくなっちゃいそうだよ。


 私は涙目で肩を落とす。

 すると、リリィが察してくれたのか、凄くわざとらしく声を上げた。


「本当だわ。風邪をひいたみたい。今すぐ旅館に戻りましょう」


「リリィ、何言っ――っぐへえ!」


 リリィがスミレちゃんのお腹を殴る。

 スミレちゃんはお腹を抱えてうずくまり、その場で沈黙してしまった。


「なんスかこの茶ば――ボクも旅館に戻ってお茶が飲みたいッス~」


 トンちゃんがリリィに睨まれて話を合わす。


「が、がお」


 そうして、私達は一旦旅館に戻る事になった。

 炎の原因もわかった事だし、とりあえずは目的を果たせたので良しとしよう。

 でも、スミレちゃん、本当にごめんね。

 リリィもありがとーだよ。


「なんだったんだろうね?」


「わかんないけど、ばれなくて良かったね」


「ねー。ばれちゃったかと思ってビックリしちゃった」


 こうして、海猫ちゃん達のご褒美のナデナデは守られたのでした。




【ジャスミンが教える幼不死マメ知識】

 南の国にしか生息していない海猫ちゃん達は、普通の猫ちゃん達と同じで色んな種類がいるんだよ。

 三毛海猫ちゃんにペルシャ海猫ちゃん、シャム海猫ちゃんにマンチカン海猫ちゃん、アメリカンショートヘア海猫ちゃんにスコティッシュストレート海猫ちゃん、それに……って、えへへ。

 言い出したらキリがないよね。

 他にも色んな種類の海猫ちゃん達がいるから、海猫ちゃん捜しの旅に出るのもとっても楽しいかもぉ。

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