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異世界建国記  作者: 桜木桜
最終章 統一と神帝と魔女
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第二百九十七話 最後の戦いⅢ


 さて、戦いが始まってから数時間が経過した。

 時間が経過するにつれて……

 兵力で劣るロマリアが少しづつ不利になり始めた。



 アルムスは右翼で必死に剣を振るっているが、ロゼル軍左翼の抵抗が激しく、突破できない。

 またロンは左翼でロゼル軍の猛攻を必死に防いでいるが……もう限界が近かった。




 そして……

 崩壊はロマリア軍左翼で始まった。


 「くそ!! もう……持ち堪えられない!!」


 ロンが率いるロマリア軍左翼騎兵が大きく押し込まれ始めたのだ。

 そして……

 左翼が大きく押し込まれたことで、バルトロ率いる中央とロンが率いる左翼の間に大きな間隙が生じた。


 クリュウ将軍はそれを見逃さない。



 「中央歩兵……突撃!!!」


 クリュウ将軍は最前列の歩兵をその間隙に向かって突撃させた。

 目的は……その間隙を押し広げ、中央を突破することである。


 だが……

 

 「そう簡単にはいかないぞ」


 バルトロはニヤリと笑みを浮かべた。

 そして事実、ロゼル軍は中央突破に失敗した。


 後方で控えていたグラムがその穴を即座に塞いだからである。

 

 「危ない、危ない……この仕事、地味なくせに心臓に悪いよ。さて……そろそろ仕上げだね」


 グラムは溜息を吐いた。

 事実、重要なのに武功が立てにくいという点で実に損な役回りだ。


 もっとも……別にそのようなことで臍を曲げるほど、子供ではないが。


 「よし、行くか!!」


 そしてグラムも動き出した。










 「惜しかったな……あと少しで勝てたのだが」


 クリュウは溜息を吐いた。

 クリュウの本音としてはこの戦争、短期決戦で終わらせたい。


 早くバルトロを片付けて、アレクシオスを倒したい。


 だが……

 

 (長期戦をなぜ選択しなかったのだ? バルトロ将軍は……)


 強固な陣地を築いて守りに徹すれば勝てたはずだ。

 しかしそれを選択しなかった。

 実に気掛かりだ。


 それを考えていると……



 「将軍!! 大変です!! ロマリア軍は真っ直ぐこちらに突撃してきています!!」

 「何?」


 クリュウは部下に言われて…… 

 我に返った。


 なるほど、確かに左手側から三千ほどの騎兵が突撃してきている。

 

 「不味いな……」


 ロマリア軍の間隙を突くために歩兵を突撃させたため……

 現在、クリュウの本陣は手薄になっている。


 それを狙って来たのだ。


 「だが敵の右翼はこちらの左翼で押さえたはず……いや、まさか……」


 そこでクリュウは気付いた。

 そう……ロマリア軍にはまだ後方に予備兵力が残されていた。


 おそらくそれを右翼に投入して……

 肩代わりさせたのだ。


 そして一瞬の隙をついて三千の騎兵がこちらに突撃してきたのである。



 「ははは……やられたよ、バルトロ将軍。どうやら短期決戦ばかりに目がいって集中力を欠いていたようだ。だが……勘違いしないで欲しい」


 クリュウはニヤリと笑みを浮かべた。

 背中から下げていた大剣を引き抜く。



 「俺が本陣を手薄にしたのは……手薄になろうとも撃退できる自信があるからだ。……たかが三千の騎兵に抜かれる気は毛頭ない!!」


 そう言って馬に乗り、護衛の騎兵と周囲の歩兵たちを率いて……

 クリュウは三千のロマリア騎兵を迎え撃とうとする。


 が……

 その徐々に近づいてきた騎兵……その先頭を走るその男の顔を見て、クリュウは驚愕の表情を浮かべた。


 「久しぶりだな、クリュウ将軍!!」



 その男……

 アルムスはニヤリと笑みを浮かべた。








 


 バルトロの立てた作戦はなんとも複雑なモノであった。

 そもそもだが兵力で劣る以上、包囲殲滅は難しい。

 相手がクリュウ将軍である。そう簡単にさせては貰えない。


 包囲が無理となれば、頭を斬り落とすしかない。

 つまりクリュウ将軍を直接討ち取る、または捕獲するということだ。

 問題はクリュウ将軍が一騎当千の将軍である、という点だ。

 

 これは雑兵には討ち取れない。

 となれば、同じ一騎当千の人間をぶつけるしかない……つまり俺が突撃するというわけだ。

 問題はどうやって俺とクリュウ将軍の一騎打ちの状況を作るか、である。


 まず手始めに俺が右斜めに馬鹿みたいに突撃する。

 するとロマリア軍全体が斜めに傾く。


 これに対しクリュウ将軍は両翼の騎兵を動かして、抑え込み……そのまま包囲殲滅を図る。

 こうなると間違いなく兵力で劣る左翼側、つまりロンが押し込まれる。

 すると中央と左翼の間に間隙が生じる。


 クリュウ将軍はその穴を逃さず、歩兵を突撃させるはずだ。

 そうするとクリュウ将軍周辺の中央本陣は手薄になる。


 ここに俺が突撃する、ということだ。

 問題は生じた間隙と、俺を拘束しているであろうロゼル軍左翼騎兵への対処であるが……


 これは中央後方に控えているグラムが適切に動くことでカバーする……

 というわけだ。


 正直綱渡りな作戦だったが……


 




 「大切なのは成功した、ということだ!!!」



 俺は剣を振りかざした。

 迎え撃つようにクリュウ将軍の剣と俺の剣が激突する。


 「っく……前よりも強くなっている……」

 「まあ、人口も増えたしな!!」


 クリュウ将軍は身体能力強化を持っている。

 『狂闘の加護』だ。

 だが……この加護は常に一定以上の力をクリュウ将軍に与えるが、それが強化されるわけではない。


 一方俺の『大王の加護』は……

 俺の支持者が増えるほど、その力が増す。



 あの時よりも俺の身体能力はずっと強化されているのだ。

 それに俺も今まで遊んでいたわけではない。


 剣術を研究していた。

 

 「っぐ……け、剣が……」

 「武器の質も……あなたより上だ」


 俺もクリュウ将軍も……ドラゴン・ダマスカス鋼の剣を使用している。

 だがクリュウ将軍の剣が普通のドラゴンの心金を使用しているのに対し、俺の剣は神とも呼ばれた竜グラナダの心金が使われている。


 「はああああ!!」

 

 俺は声を上げながら……

 剣を振り下ろした。


 高い金属音が戦場に響き……

 クリュウ将軍の剣が真っ二つに折れた。


 そして……


 「何か……言い残すことは?」

 「……完敗だ。あなたに……いや、ロマリアに負けた。あなたと、あなたの家臣……全ての力に負けた……」



 俺は剣を振り下ろした。



割ともうすぐ終わり


どうでもいいが、地中海気候のイタリア半島っぽい世界で輪裁式は気候的にかなり難しかったりするのだが、まあ誰も突っ込まんだろうと導入して、そして誰にも今まで突っ込まれなかった


勝ったぜ

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