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異世界建国記  作者: 桜木桜
第八章 南アデルニア統一と大王
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第二百五十話 北部大征伐Ⅲ

最近、感想の返信が滞っていますがちゃんと読んでいるのでご安心ください

あと、二千万は誤字だから(当たり前だけど)


二千万はペルシス帝国の人口と同じです

 ギルベッド王の国の王都、グロセリアへの攻城戦が始まって約一週間が経過した。

 幾度も投石機と大弩の攻撃を受け、城壁は所々崩れ始めている。

 そしてロマリア軍の猛攻に、守備隊は疲弊し始めていた。


 しかし、それでもグロセリアは落ちていなかった。


 「うーん、不味いな」


 ロンは呟いた。

 さすがに一週間以上掛かると、問題が発生する。


 まず第一に士気の低下。

 攻城戦はされている側もストレスが溜まるが、している側もストレスが溜まる。

 いつまでも動かない城壁への攻撃は終わりが見えず、少しづつ士気が低下する。


 第二に兵糧の問題。

 戦争中の食糧は現地調達が基本である。

 それが略奪か、それとも徴発か、購入か、それとも現地勢力からの支援かは問わない。


 それは専門の兵站部隊を持つロマリア王国も同様だ。

 どんなに兵站を重視しても、ある程度現地調達には依存せざるを得ない。


 しかし通常はさほど問題にはならない。 

 というのも、軍隊は絶えず動き回るからである。


 軍隊に食糧を要求された農村や街は確かにお気の毒だったり、場合によっては稼ぎ時だったりするが、それは一瞬で終わる。


 故に問題になることはさほどない。

 しかし攻城戦では別だ。

 

 攻城戦では、どうしても同じ場所に長居する必要が出てくる。

 必然的に食糧はその周辺の村々や街に依存することになる。


 これが一日二日なら問題無いが、二週間となればさすがに限界になる。

 兵糧攻め、というのは城攻めの王道のようだが実際のところ先に兵糧で困るのは攻撃側なのだ。

 

 幸い、ロマリアの森を通っての補給線は続いているので、強引に略奪をするほど困窮はしていない。

 しかし時間の問題だろう。


 「ロン、朗報だ。チェックが掛かった」

 

 グラムが嬉しそうな顔を浮かべて、陣営に入って来た。

 それを聞いたロンは顔を輝かせた。


 「本当か!!」

 「ああ。念のために二本も用意したんだけど、無駄になってしまったよ。そう言うわけで、二方向から攻められる」


 すると、ロンはニヤリと笑った。


 「じゃあ、ロズワードが到着次第総攻撃に移ろうか」

 「ああ、第二作戦の完了はあと少しだ」


 





 「ロマリア軍の動きが、変わった?」


 ギルベッド王はロマリア軍の動きを塔の上から眺めながら、眉を顰めた。

 各地に散らばっていた騎兵が城壁の中心に動き始め、そして北と西の門に張り付いていたはずのロマリア兵たちが、一部南と東の門に動き始めている。


 まるで獲物を取り逃がさないように。


 「……総攻撃を始めるつもりか」


 今までロマリア軍は全力を出さず、絶えず波状攻撃を繰り返していた。

 弱っていない都市への総攻撃は、あまりにも犠牲が多すぎてしまうからだ。


 しかし、ロマリア軍は総攻撃に移り始めている。


 「馬鹿め、まだこの都市は落ちんよ。逆に大打撃を与えてやる」


 ギルベッド王はニヤリと笑った。

 そして全兵士に迎撃の指令を出す。


 そして……


 バーン!!!


 そんな爆音が地面から聞こえて来た。

 そして、それから何かが崩れる音が聞こえる。


 「おい、今のは何の音だ?」

 「た、大変です。北側の城壁と西側の城壁が崩れました!!」


 ギルベッド王の目が見開かれた。






 「よし!!」 

 「イェーイ!」

 「ヤッター!!」


 ロンとロズワードとグラムはハイタッチを交わした。

 そんな三人の夫を見た、ソヨン、リア、ルルも嬉しそうに顔を見合わせた。


 三人が採った戦術は坑道作戦と呼ばれる、攻城戦術の一種だ。

 地面にトンネルを掘り、城壁の下まで掘り進んでから、その基礎を破壊するという言葉にするのは簡単、実行に移すのは難しい戦術だ。


 これを行える技術力を持つのは、キリシア諸国か、クリュウ将軍の率いるロゼル王国軍か、ロマリア王国軍だけだ。

 ロマリア王国は元々、岩塩の採掘が盛んな国。

 

 だから坑道を掘ることができる技師には困らない。


 尚、この坑道作戦を防ぐ方法としては対抗坑道というモノがある。

 

 水を張った瓶を置き、水の振動で坑道の位置を探り当て、そして逆に防御側が坑道を掘って攻撃側の坑道を破壊するのだ。

 

 まず坑道の特定が難しい、というのと専門の技師がたまたま城内にいるのか? という問題から、この対抗坑道は非常に難易度が高い。


 もっとも、グラムは対抗坑道を掘られる可能性も考慮して二本の坑道を掘ったのだが……

 

 まさか城攻めを受けるとは、想定していなかったギルベッド王軍には対抗坑道を掘ることができる技師も存在しなかったので、骨折り損に終わった。


 「じゃあ、一応攻撃前に報告勧告を出すか」


 ロンは馬を使者をギルベッド王の国に派遣した。 

 降伏条件は……


 ・ファルダーム王の国とドモルガル王の国との同盟破棄

 ・両国への宣戦布告

 ・ギルベッド王の退位

 ・ギルベッド王の国の王族をロマリア王国首都ロサイスに留学させる

 ・ギルベッド王の国の、王都周辺を除く全ての直轄地の割譲

 ・ギルベッド王と同盟を結ぶ、全ての豪族との同盟解除。そして降伏勧告

 ・五百ターラントの賠償金の一括支払いと、五百ターラントの賠償金十年支払い合計千ターラントの賠償金


 そしてそれを見たギルベッド王は……


 「このような条件、飲めるはずが無かろう!!!」


 そして交渉の余地が無いか、ロンに対して使者を突き返した。

 それに対してロンは……


 「宜しい」


 ロズワード率いる騎兵隊が一騎に市内に流れ込み、その後に重装歩兵部隊が続く。

 市街戦は一時間行われ、最終的にギルベッド王がロマリア王国に捕まったことで終結した。


 斯くして、ギルベッド王の国の首都グロセリアにはグリフォン旗がたなびくことになった。






 「うーん、さすがは大国。これ以上の長居は危険かな」


 アレクシオスはファランクスとマニプルス、そして騎兵を匠に使ってファルダーム王の国の兵一万を撃破した後、即座に撤退した。


 たまたま一万が孤立していたので、上手く撃破することができたが次も上手く行くとは限らない。

 いや、現在少しづつ包囲の輪が縮まっている以上、こちらの首が閉まるのは時間の問題と言えた。


 「あと、兵糧が不味いことになってるんだよね」


 ファルダーム王の国に孤立している以上、兵糧を確保する手段は略奪と徴発だ。

 しかし兵糧のある場所には必ずファルダーム王軍が待ち構えている。


 食糧は減る一方だ。

 また、敵地に孤立しているという事実が兵士たちの士気に影響を与えていた。


 これ以上は戦えない。

 そう思っていたアレクシオスの元に一羽の鷹が届いた。


 鷹便だ。


 「ふむふむ、なになに……なるほど」


 アレクシオスはロンから届いた喜ばしい報告を受け、笑みを浮かべた。

 そして兵士たちを集めて、こう告げた。


 「喜べ諸君!! ギルベッド王の国の首都、グロセリアが落ちた!! 我々の役割はここまでだ。直ちに撤退する!」

 「「おおおお!!!」」


 斯くしてアレクシオスは船でファルダーム王の国を離れ、アルムスたちと合流するためにギルベッド王の国に上陸した。

 




 一方、ギルベッド王の国の将軍は、王都陥落の報告を聞いて即座に勘定を始めた。

 即ち、このまま戦うべきか降伏するべきか、それとも撤退か。

 

 忠義に報いるのであれば、戦うべきだろう。

 しかし忠義に報いるべき相手であるギルベッド王は捕らえられたという情報が出ている。


 王太子に至っては、生死不明で死んだのか捕まったのか逃げ延びたのかすら、分からない。

 そうなると、自分が忠義に報いるべき相手……即ちギルベッド王の国の総大将は誰になるのだろうか?


 ギルベッド王の国の王子は三人、北部南部西部に封じられている。

 おそらく彼らのうち、誰かが反ロマリアの旗を掲げるのだろう。

 誰かが。

 問題は誰がだ。

 

 ロマリア王国と戦う前に、身内争いの方が先に起こりそうだ。

 そうなると、対ロマリア王国どころではない。


 そもそも……

 自分の率いている軍隊はどうなるのか?


 六万の軍隊のうち、国王直轄地の国王子飼いの兵は二万。

 そして残りの四万は自分の連れて来た兵力も含めて、豪族の私兵だ。


 国王という存在を失った今、どれだけ豪族たちが言う事を聞くか。

 怪しいところ。


 とはいえ、ギルベッド王にも恩はある。

 裏切るわけにはいかないし、例え寝返りが成功しても国王をあっさりと裏切った自分をどれだけロマリア王国が信用してくれるか、重用してくれるか分からない。


 と、なると……


 「一度、撤退だな」


 もしかしたら王太子が生きているかもしれない。

 王太子が生きていれば、まだ巻き返しができる。


 それにもし勝てば、自分は救国の英雄だ。


 「一先ず一度は戦わなくてはな。こういう時、有力豪族というのは辛い」


 男は溜息をついた。



 斯くして第二作戦は成功。

 ロマリア連邦軍は第三作戦、『敵戦力の分断』に移行した。





 一方、その頃のアルムス。


 アルムス「よし! ロンたちがギルベッド王の国の首都、グロセリアを落としたぞ!!」

 ライモンド「勝ちが見えてきましたね!」

 ユリア「ところで、二人は何かした?」

 テトラ「全然、勝ってる気がしない」

 アルムス「動いてないからな。俺たち」

 ライモンド「そもそも我々の役割は防衛ですし……」

 ユリア「まあ、私たち暇な方が良いよね」

 テトラ「二人とも、戦争弱いしね」

 アルムス「うるさい。それに、バルトロが強いだけだし。アルドとかには勝てるから!」

 ユリア「あれと比べるとか……」

 テトラ「糞が比較対象の時点で……」

 アルムス「ライモンド、俺の妻が俺を虐めるんだが、もう一度叱ってくれ」

 ライモンド「やっぱり、アリスさんを孕ませたのが悪かったんじゃないですか?」(適当)

 アルムス「そう言えば、アリスは……」

 アリス「はい、ここにいます」

 アルムス「どこから降って来た? 最近、お前本当に忍者に成って来たな」

ご報告がありますので、活動報告をご覧ください


あと、あれから四話書きました

残り二十話です

やればできるじゃん、俺


次回まで三話、残り十七話と書き込めるようにします

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