表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界建国記  作者: 桜木桜
第七章 竜退治と女王陛下
236/305

第二百三十六話 女体化


 俺は自分の膨れ上がった胸部を触る。

 ムニムニとした、脂肪の塊がそこにはあった。


 次に下半身に手を伸ばす。

 この世界に生まれ変わってから、共にいた息子がそこには居なかった。


 「なあ、これ戻れるよな?」

 ―じゃあ加護を切ってみれば?―


 うーん、どうやってやるんだ?

 男に戻れ!!


 

 あ、戻った。


 

 「加護って凄いね……」

 ユリアが感心の声を上げた。


 「……私より大きかった。解せない」

 テトラは不愉快そうに顔を顰める。


 「おお!! 凄いですね!!」

 アリスが手を叩きながらピョンピョン飛び跳ねた。


 「しかし、こんなに簡単に人に加護を付与できるなら、誰か適当な奴に身体能力強化系の加護を付与しろよ」


 ―私たちだって相手を選ぶし。それに、魂には容量があるんだよ。下手な人間に加護を与えると、破裂しかねないんだよ―


 そういう妖精の声はとても楽しそうだ。

 俺を女にするのが、相当お気に召したらしい。やはりこいつらは性格が悪い。


 もう一度、念じてみると再び胸に膨らみが戻り、下半身が寂しくなる。


 「しかし、顔も変わるんだな」


 青銅で出来た鏡を見て、俺は思わず声を漏らす。

 そこには灰色の髪、灰色の瞳の美少女がいた。


 「あー、あー、声も高い」


 喉に触れてみる。

 男なら当然存在する出っ張り、喉仏が引っ込んでいた。


 「これなら騙せそうだな」


 騙すも何も、完全に女の体なのだから当たり前か。

 

 「よし、一先ず俺の女装問題は解決した。後は酒と毒を用意するだけだな」


 毒入りの酒を飲ませて、首を切り取る簡単な作業だ。


 「じゃあ俺は酒の手配をするから、ユリアとテトラは毒の準備をしてくれないか?」

 「うん、良いけど……」

 「その前に……」


 うん?

 ユリアとテトラが静かに歩み寄ってきて、手を伸ばした。


 ムニュリと俺の胸部の脂肪が歪む。


 「何してるんだ?」

 「いや、夫の胸を揉むってそうそう滅多に無い経験だなあ……と思って」

 「私より大きいのは、腹立つ」

 

 ムニムニと胸がこね繰り回される。

 うーん、妻に胸を揉まれるとは全く不可解で奇妙な体験だな。


 俺も負けじと、ユリアとテトラの胸に手を伸ばした。

 ムニュリと見知った感触が俺の手を包みこむ。やはりいくら揉んでも飽きないなあ。


 「ん、あ」

 「っんん」


 俺が手を動かしていると、二人の顔が赤く上気し始め、綺麗な唇から艶っぽい声が漏れ始める。


 「俺は揉まれて全く気持ちよくないのだが、お前たち二人は気持ちいのか?」


 所詮脂肪の塊なのか、胸を揉まれても全く気持ちよくない。

 しかし一方で、俺に揉まれている二人は気持ちよさそうに見える。


 これは如何に?


 「ん、感度の差じゃない? ほら、揉まれた年季が違うし」

 「雰囲気とか、大事」


 へえ……

 女の体になってみないと分からないものもあるものだな。


 「どうした、アリス。さっきからこっちを羨ましそうに見て。俺の胸を揉みたいのか? それとも揉まれたいのか?」

 「……両方したいです」

 「いいぞ、少しだけなら」


 俺がそう言うと、ユリアとテトラがそっと離れる。

 そしてアリスが恐る恐る俺の胸に手を伸ばした。


 ムニムニ


 「これは間違いなくおっぱいですね」

 「そりゃおっぱいだからな」


 俺はそう言いながらアリスの胸に手を伸ばす。

 指が脂肪の中身沈み込む。やはりアリスの胸が一番大きいな。


 「へ、陛下、ん、あああ!!」

 「一人だけ盛り上がるなよ……」


 アリスは俺に揉まれて気持ちいようだが、俺は全く気持ちよくない。

 むしろ、だんだん痛くなってきた。


 しかしあまり興奮しないな。

 ユリアやテトラやアリスの様子を見ても。


 女になったから、女では興奮しなくなっているのかな?

 それとも体があまり馴染んでいない所為だろうか?


 男相手なら興奮したりするだろうか?

 ……いや、やめておこう。下手に変な事を考えて精神的な同性愛になるのは嫌だな。


 男に戻った時に、何か深刻なトラウマを負いそうだ。


 「あっ! ん、ああ、でも、陛下の、胸って、私と同じくらい、ありません?」

 「そうだな、確かに。お前と同じくらいの大きさはあるなあ」


 これはどういうことなのだろうか?

 

 「……アルムス。ちょっと良い? アリス、少し離れて」

 

 テトラはアリスを引き離し、俺の胸や腹、腰、お尻、太腿をペタペタと触る。

 どうした?


 「アリスの胸。ユリアのお尻。私のお腹と太腿……」

 「え! 嘘、本当?」

 「確認させてください!!」

 

 テトラの手に加えて、ユリアとアリスの手が俺の全身を弄り始める。

 胸を揉まれ、尻を掴まれ、腹を摘ままれ、太腿を撫でられる。


 「やっぱり私のおっぱいじゃないですか、陛下!! あ、でも色は少し違う?」

 「その色、多分私。お腹、太腿、色。他にも、このうなじと脇と背中と指は私のモノ。……何で私ばっかり変態的な部位?」

 「良いじゃん、テトラはいっぱい有って。私はお尻だけだよ? どうせなら、女の象徴の胸が良かったなあ」


 三人は好き勝手言いながら、人の体を品評し始める。


 ……何か、変な気分になって来たな。

 体が女に慣れてきたからか?


 これ以上弄られると、本当に喘いでしまいそうなので俺は三人を引き剥がした。

 四人でレズレズプレイに興味がないわけではないが、妻に女体化された体を弄られて、喘がせられるのは、今後の夫としての権威に関わる。


 「気が済んだか?」

 「陛下、これって三人の好きなところだけ抜き出した感じですか?」

 「みんな、同じくらい好きだ。順番なんて無い、って言う割には好みあったんだね。やっぱり胸は大きい方が好きなんだ、ふーん」

 「私だけ変態……」


 どうやら無意識にそれぞれの一番好きな部位だけを取捨選択して体に組み込んでしまったようだ。

 一先ず、テトラが可哀想なのでフォローしておく。


 「テトラ、安心しろ。お前の胸も好きだ。決して、太腿や腹やうなじや脇だけじゃない。俺は胸に貴賤は無いと思っている。豚肉と牛肉と鶏肉を並べられて好きなの選べと言われたら牛肉を選ぶけど、豚肉や鶏肉も好きだし、気分によっては鶏肉を選ぶ。だから安心しろ。お前の胸も大好きだ」

 「……そう」


 テトラはそっぽを向いてしまう。

 拗ねるなよ、可愛いな。


 そう言えば、あそこは誰のだろうか?

 俺は下半身に手を伸ばし、下着の中に手を突っ込んだ。


 ふむふむ、なるほど。


 「……誰のですか?」

 「子どもの数なら私が一番だし、私じゃない?」

 「まともなところが一つは欲しい」


 アリスとユリアとテトラが固唾を飲んで見守る中、確認を終えた俺は口を開く。


 「秘密」

 

 三人はガッカリした表情を浮かべるのと同時に、安心の色を浮かべた。

 まあ、ここは女として沽券に関わるだろうし……


 言わぬが花だ。花だけに。


 しかし、部位の取捨選択ができるということはもしかしたらテトラだけで揃えることはできるのだろうか?

 

 俺はふと思い立ち、念じてみる。

 すると……

 

 「どうだ、テトラ。オールテトラになったぞ」 

 「……今更やられても」


 テトラが白い目を向ける。

 折角、胸から尻、太腿までテトラサイズになったのに。


 早く機嫌を戻してほしい。


 「ねえ、巨乳になれる加護ってない?」


 ―あるけど、そういう邪な理由じゃあげられないよ―


 「ケチ」


 別に言うほどお前も小さくないだろ。

 アデルニア半島の平均よりは大きいんじゃないか?


 ぱっと見ソヨンやイスメアよりもお前の方が一回り大きいし……

 ルルやニーファを見ろ。平氏だぞ、あいつらは。


 





 「元老院、諸君!! どうだね、君たちの女王は!」


 元老院で女体化し、化粧をばっちり決めた俺は議員たちを見回して声を張り上げる。

 高く、可愛らしい声が建物全体に響き渡る。


 そして……


 シーン


 ……あれ?

 あまりウケてない?


 「あの、陛下。宜しいでしょうか」

 「どうした、ライモンド」

 「……戻れますよね?」


 俺はパチンと指を鳴らして見せた。

 すっと、胸から脂肪が無くなり下半身に息子は戻る。


 「このように簡単に男に戻れる。あ、そうそう、生殖能力はあるから安心して欲しい。ちゃんと出たから。妖精曰く、種もちゃんとあるそうだ」


 まあ、マルクスも生まれたことだし俺が不能になって大問題!

 ということにはならんのだが。


 「なるほど、なら良いです」

 

 ライモンドは安堵の声を上げた。

 再び、俺は女に戻り尋ねる。


 「で、どうだ? 可愛いか?」

 「……とても美しいとは思いますが……中身が陛下だと考えると何とも言えません。というか、これから女として生きるとか言い出しませんよね?」

 「女になっても、俺は女が好きだよ」


 何度か女体化しているうちに、ちゃんとユリアやテトラやアリスでも興奮するようになってきた。

 やはり体が慣れてなかったのが大きいのだろう。


 そこで恐る恐るバルトロやアレクシオスの全裸を想像してみたが、こっちはむしろ気持ち悪く感じた。

 女になっても、脳味噌と心は男のようだった。


 「いやあ、陛下。美人ですね。ところで今の陛下って赤ちゃん産めます?」

 「子宮とかその他諸々はあるけど、赤ちゃんの元が無いから無理らしいぞ」


 俺はバルトロの問いに答えた。

 膣とか子宮とか卵巣に関しては揃ってるっぽいが、卵子が作れないらしい。


 あくまで肉体を一時的に女にするだけで、真に女にはなれないみたいだ。

 

 「陛下、嫌がってた割にノリノリですね」

 「まあ、戻れるなら良いかなって」


 割り切りは大切だ。

 俺はグラムの言葉に答える。


 「あの、陛下。何で僕と会話する時胸を小さくしました?」

 「うん? そりゃあグラムはその方が好きなのかなと、俺の配慮だ」


 俺は平坦になった胸に触れる。

 見事な大平原だ。


 「陛下!! それはどういう意味ですか!!」

 「特に深い意味はない。気にするな」

 

 ルルが身を乗り出して叫んでいるが、気にしない。


 「兄さん……あれ? 姉さんかな? まあいいや。陛下、もしかしてその胸って大きさ自在ですか」

 「おお、よく聞いてくれた、ロズワード。その通り、自在に大きさを変えられる」


 俺はルルサイズにした平坦な胸に手を置いて、念じる。

 するとみるみるうちに胸が膨らみ始め、ソヨン、テトラ、ユリア、アリスサイズへと変貌していく。


 「小さくもできる」


 胸を押さえつけると、風船が萎むようにユリア、テトラ、ソヨン、ルルサイズへと変わっていく。


 「「おおおお!!!」」


 何故か元老院議員たちが立ち上がって拍手をした。

 女王陛下! 女王陛下! 女王陛下!!


 とコールが始まる。


 ……

 俺が言うのも何だが、こいつら大丈夫か?

女王陛下! 女王陛下! 女王陛下! 万歳!!


最近、主人公とは何なのだろうか?

という根源的なことに悩み始めております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私がなろうで連載している他作品です
もしお時間があったらどうぞ
『三大陸英雄記~現代知識による帝国再建記~』
『蘇った真祖の放浪譚』
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ