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異世界建国記  作者: 桜木桜
閑章Ⅵ 動き出す世界
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第二百十二話 黒崎麻里Ⅱ

今日は三話(実質二話)なのでエロフを見てない人はバックしてください


あと最初に言っておく

グロイ

でも書くのは楽しかったです

 「ここ、どこよ……」


 私、黒崎麻里は周囲を見渡す。

 真っ暗で何も見えない。ただ、薄ぼんやりとだが……草木に囲まれているらしいということだけは分かった。


 空を見上げると、明らかに私の知っている月よりも巨大な、月と思われるモノ、衛星が輝いている。


 そして自分の手首の存在を確認する。

 少し前まで、焼けつくような痛みに襲われていた腕と掌の間は……しっかりと繋がっていた。


 「何よ、これ……」


 私は思わず自分の胸元にあるペンダントを握り締めた。

 いつだったか……父親にプレゼントとして貰ったモノだ。


 お姉ちゃん|《愛梨》も萌亜も同様の型の、色違いの石のペンダントを貰っていた。

 お姉ちゃんには赤色、私には青色、萌亜には黄色。

 

 私たちは仲の良い姉妹だったし、可愛いモノということもあって純粋に喜んだことを憶えている。


 まさか、あれが父親からの最後のプレゼント……というか、会話になるとは夢にも思わなかったけど。


 「……大丈夫。大丈夫。大丈夫。みんな、どこかにいるはず。すぐ会える」


 私は自分にそう言い聞かせた。

 深呼吸をして、心を落ち着かせる。


 出来れば夢であって欲しい。 

 でも、感覚的には夢ではない。一先ず、夢ではなくこれは確かに現実であるという仮説の元、行動しよう。


 まず私は空を再び見上げる。

 夜空に浮かぶ満月は明らかに巨大だ。スーパームーンとか、そんなレベルの大きさではない。


 考えられる仮説は次の四つ。


 1 いきなり月が巨大になった。

 2 月と地球が急接近。

 3 タイムスリップして、月と地球の距離が離れていない時代に来た。

 4 そもそも月ではない。そしてここも地球ではない。


 ……

 ……


 うーん、我ながらおかしいでしょ。


 まず、1は違う。質量が急に変わるはずもない。だったら2の方が可能性がある。

 だけど……


 「やっぱり、タイムスリップか、違う惑星に来ちゃったか、それとも異世界転移か……」


 私はこの見知らぬ場所に来る前に起った不思議な現象を思い出す。

 私は間違いなく、駅のホームにいた。

 気付いたらこんな場所にいた。


 1や2では月が巨大な理由は説明できるけど、私がこんな場所にいきなり移動した理由を説明できない。

 

 「私も大分お姉ちゃんや萌亜に毒されてるなあ……」


 私はそんなことを思いながら、座りこんだ。

 一先ず、明るくなるまで動かない方が良いだろう。


 私は寝転がり、空を見上げる。


 「月も違うけど、星空も全然違うのね」


 そう言えば……

 あの時の声って何だろう? あの、子供みたいな声は。


 「誰か、いますか!!」


 私は空に向かって大きな声を上げてみた。

 すると

 ……

 ……

 ……


 「反応なしか」


 ため息が漏れる。

 私は寝返りをうって、視線を空から森に移す。相変わらずの暗闇……あれ?


 何か、小さな灯りのようなモノがこちらに近づいてきている。


 もしかして、人かもしれない。


 「おーい!!」


 私はその光に向かって手を振った。

 光はどんどん近づいてくる。


 そして……

 私の目は薄らと、その光の主を捕えた。


 「え……嘘、でしょ?」


 それは人では無かった。

 四足で歩行する、私も動物園でも見たことのある生き物……狼だった。


 しかし、私の見たことのある狼よりも遥かに巨大だった。

 もしかしたら、虎と同じくらいあるのかもしれない。


 私は座ったままの状態で後退りする。

 背中を見せたら襲われる。そんな直感が働いたのだ。


 しかし私のそんなささやかな抵抗は無駄に終わった。


 「っひいいいい!!!」


 突如、首筋を生暖かい風が撫でた。

 私はその風の正体を一瞬で理解した、してしまった。


 後ろをゆっくりと振り返る。

 そこには、金色に光る目があった。狼の吐息が私の首筋を撫でたのだ。


 気付くと周囲を金色の目に囲まれていた。 

 包囲の輪が少しづつ、狭まってくる。


 「あはははは、私、美味しくないよ?」


 それでもどこか、私は冷静だった。

 おそらく、心のどこかで夢だと思っていた。いや、思いたかったのだ。


 まさか、自分が、ただの女子高生だった自分が、狼の、群れに襲われる?

 そんな馬鹿な、非現実的なことが有るはずない。


 きっと、これは夢。

 出なければ、誰かが助けに来てくれる。


 突如肩に走った激痛がそんな幻想を打ち砕いた。

 焼けつくような痛みとともに、体が持ち上がり、投げ出される。


 強く、地面に打ち付けられる。


 「い、嫌ああああああああああああ!!!!」


 鋭い刃が私の腕を、足を、腹を、胸を、顔を襲う。

 刃が肉に食い込み、引き裂いた。


 四肢が体から離れ、腹部から内臓が引きずり出される。

 

 くちゃくちゃと、狼が私の肉を咀嚼する音だけが妙に耳に響いた。


 「う……あ、あ……」


 気付くと、私は血の海の中に沈んでいた。

 血液が足りない所為か、何も考えられない。しかし、痛みだけは鮮明だ。


 狼が再び(・・)私の右腕を引き千切ろうと、肩に噛み付く。

 バキバキと関節が砕ける。

 別の狼が私の腕に噛み付き、乱暴に引っ張る。


 ズタズタになった関節と肉がミシミシと音を立て、私の体を離れる。


 「い、や……」


 涙で霞む私の目に不可解なモノが映った。

 私の手足と思しき物体が、十本もある。当然、私の体には手足は四本しかない。


 再び(・・)右腕に激痛が走る。

 

 同じやり方だ。

 一方が関節部に牙を突き立て、別の一匹が強引に引っ張る。


 まるで綿が引きちぎられるように、私の腕が再び体から離れようとしている。


 「……また?」


 ふと、気付いた。

 何故、まだ意識があるのか。何故、死んでいないのか。何故、苦しみが終わらないのか。


 四頭もの狼が私の胸部と腹部に食らいつき、内臓を引きずりだしている。


 もう、死んでいるはずだ。

 胃も、腸も、肺も、心臓も、何度も体の外に出されている。


 でも死なない。

 いくら引きづり出されても、私の体から内臓が、手足が無くならない。


 死なない。

 死なない。

 死なない。

 死なない。


 

 「いつ、おわ、る、の?」


 目が霞む。

 涙が流れ落ちる。


 どんなに体を引きちぎられ、血が流れても、私の体から水分は失われない。


 

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。 

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。 

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。

死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。死なない。







 死ねない。

 

 

 



 狼の群れ全ての腹が満たされ、彼らが私を食べるのをやめたのは翌朝だった。

妖精さん「あれー、加護のチョイスミスったかな?」(棒読み)

絶対わざと

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