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異世界建国記  作者: 桜木桜
第六章 建国と王太子
181/305

第百八十一話 第二回国勢調査

 三度の南部征伐の結果、我が国の領土は拡大した。

 さて、そうなるともう一度やらなければならないことが出てくる。


 即ち、第二回国勢調査である。


 ……と、まあそんなに難しくは無い。

 結局、支配した地域の政治組織は丸ごと残っているのだから彼らに調べさせればいいのだ。


 人口の調査は比較的簡単に終わった。


_____


全人口   臣民権対象者及びその配偶者、家族 45万8732人

       限定的臣民権所有者及びその配偶者、家族(自治市) 13万6352人

       国民権所有者及びその配偶者、家族 (同盟市) 15万9932人

       奴隷人口  7万6537人

      

      総計 83万1553人


 男女比 男性48% 女性52%


 年齢

 1~15(未成年) 35%

 15~30(成人)  30%

 30~40      25%

 40~50      7%

 50~         3%

 計          100%


 兵役世代  (15~40) 55%

 総兵力(自治市、同盟市含まず) 約12万



 資産及び身分


 第一階層(王族、貴族) 1%


 第二階層(準貴族、地主、商工業者。騎兵)  5%

 

 第三階層(自作農。重装歩兵) 74%


 第四階層 (小作人。軽装歩兵) 20%


_______


 さて、前回との差異だが……


 まず人口が約三十三万も増えた。

 人口の多い南部を併合した影響だろう。


 またレザドの人口約十万に臣民権を与えて丸ごと併合したおかげで直轄地も増加している。


 そして男女比も改善した。

 人口が増えたことで薄まったのだろう。


 これだけ増えれば、アデルニア半島第二の大国を名乗っていいのではないだろうか?

 少なくとも今の我が国とまともに戦えるのは、ファルダーム王の国かロゼル王国だけだ。


 さて、暫くは内政の充実を計りたいところだ。


 そこでやらなければならないことが有る。


 「いい加減、度量衡を統一して国土の測量と地図の作製に取り掛からないか?」

 「しかし……度量衡の統一は反発も予想されますよ」


 ライモンドはため息をついた。


 昔の日本……戦国時代以前は度量衡が統一されていなかった。

 これは割と有名な話だと思う。


 そして日本の戦国時代以上に野蛮なアデルニア半島では当然、度量衡なんて統一されて居ない。

 

 まず王家直轄地や貴族の領地によって度量衡が違う。

 さらに占領した自治市や同盟市の間でも度量衡が違う。


 バラバラだ。


 五キロも距離が離れれば、度量衡が変わる。


 これでは税金を集めるのが、とても面倒だ。

 ここで一気に統一してしまおうじゃないか。


 と、言いたいところだが……


 「いきなり普段使っている度量衡を変えろ!! というのは、民衆の反発を招きます。無論、反乱を起こすほどの反発は起こらないでしょうけど……」

 「しかしなあ……このまま変えないのはもっと面倒だぞ」

 

 部屋の片づけみたいなものだ。

 面倒くさいからと言って後回しにし続けると、ツケが周る。

 

 「それに何を基準にするんですか?」

 「どうせなら国際基準に合わせないか?」


 国際基準というのは、要するにキリシア人たちが商売で使う基準だ。


 内陸部の農業が主体のキリシア人植民都市は割とバラバラの度量衡だが、レザドやネメス、その他沿岸部の国々は割と統一された度量衡を使用している。


 「キリシア人に合わせるんですか……」

 「何か不味いのか」


 ライモンドはため息交じりに言う。


 「実はですね……最近、貴族の間で陛下がキリシア人に甘すぎると、不満が溜まっているんですよ」

 「エインズたちを貴族にしたのが不味かったかな?」


 まあ、貴族たちの思いも分かる。

 今まで先祖代々国王に仕えて来て、その積み重ねの上に自分たちの地位がある。


 それなのにポッとでの外国人に同じ地位が与えられる……

 面白い話では無いな。


 「これからはアデルニア貴族たちにも気を遣うか」


 とはいえ、度量衡はやはりキリシア基準で設定した方が遥かに便利なのは事実だ。


 「そういうわけで、頼む。ライモンド。お前にばかり負担を掛けて申し訳ないが……」

 「いえ、大丈夫です。何とかしてみましょう」


 こうしてロサイス王の国の度量衡の統一事業が始まった。











 「久しぶりだな、ニコラオス。調子はどうだ?」

 「陛下のおかげで何もかも順調です」


 エインズの兄、アルト出身の学者、ニコラオスは答えた。

 俺がニコラオスを呼び出したのは他でもない。


 「どうだ? 暦は完成しそうか?」

 「すでに完成しました。御覧に成りますか?」


 俺はニコラオスから、新たな暦を受け取る。

 ニコラオス曰く、現在の暦はズレているらしい。


 まあ暦が無くとも、民は気温や湿度、風向きなどの経験則で種まきのタイミングを見極めることが出来るので、そんなに困っているわけでも無いが。

 やはり歪みは修正しなければ。


 さてさて、内容は……

 うーん、分からん。


 俺にはさっぱりだ。


 「世界一正確な暦だと自負しています」

 「と言ってもな……本当に正確かどうか、俺には判断が付かない」

 「なら、日食の日時を当てて見せましょうか?」


 日食を?

 まあ、当てられるならこの暦は正確だと断定できるな。お前の天文学の論理が正しいことが証明されるわけだし。


 「じゃあお前の予測が当たったら、この暦の導入は決めよう。まあ導入するタイミングは俺が決めるが」


 どうせなら、建国と同じタイミングで暦を発表したい。

 その方がパフォーマンスにも成る。






 戦後処理のゴタゴタが終わった後……俺は宮殿にキリシア人の知識人たちを集めた。

 レザドやネメス、ゲヘナに元から住んでいた学者が殆どだが、中にはペルシス帝国から逃れて亡命してきた、キリシア本土の高名な学者も居る。


 彼らを集めたのは他でもない。


 「私たちアデルニア人には文字が無い。故に、今までキリシア語を使用して来た。キリシア語はペルシス語に並ぶテーチス海の公用語……無論、その価値は高い。しかし一般の民衆にとっては難しい」


 キリシア文字を扱うには、キリシア語を話せなくてはならない。

 そうなると、文字の読み書きが出来るのは日常的にキリシア人と接することが多いアデルニア半島南部のアデルニア人か、キリシア人の家庭教師を雇うことが出来る金持ちだけである。


 これではあまりにも実用性が無さ過ぎる。

 法律の公布にも不便だ。


 そこで……


 「君たちにアデルニア人が使える文字の作成を依頼したい」


 そろそろ統一的な言語を作っても良いだろう。

 本当はもう少し早くから始めたかったが……文字の作成は生半可な知識では出来ない。


 アデルニア半島の言葉は勿論、様々な文字形態に精通している必要がある。


 昔のロサイス王の国にはそれほどの人材は国内に居なかったし、外国から呼び寄せようにも国威が足りなかった。


 しかし今は違う。

 アデルニア半島最大の先進地域である、アデルニア半島の爪先部分はロサイス王の国の領土だ。


 加えてポフェニアを打ち倒したことでその国威は高まり、外国にも名前が知られるようになった。

 ようやく、文字を作成出来る人材を集めることが出来るようになったのだ。


 「陛下、御一つ質問がございます」


 一人の学者が立ち上がった。

 確か……キリシア本土の都市国家、アルトから亡命して来た学者だったな。


 「一口にアデルニア語と申し上げても、北部(ロゼル王国支配地域とドモルガル王の国北部)、中部(ドモルガル王の国南部からロサイス王の国)、南部(ロサイス王の国以南)、そして東側(中央山脈以東)、西側(中央山脈以西))では、言葉に大きな差があります。……北部や西側は兎も角、ロサイス王の国は中部から南部に跨る国。どちらを中核に文字の作成をすれば宜しいのでしょうか?」


 中部は純粋なアデルニア語だが、北部にはガリア語、南部にはキリシア語の影響が強い。

 

 ロサイス王の国の本土がある、という理由で中部の方言を採用するのもあり。

 キリシア語との親和性を考えて、南部の方言を採用するのもありだ。


 ちなみに、答えはすでに決めている。


 「中部方言を中核に作って欲しい。一部南部の方言も織り交ぜて……そうだな、三対一の割合が丁度良いだろう」


 キリシア語も話せる俺個人としては、南部の言語でも良い。

 それに我が国にはキリシア人も大勢いるのだから、将来的には南部の方言を主軸にした方が良いのは確かだ。


 しかし……

 それが原因で中部のアデルニア人に反感を持たれては元も子もない。


 俺の支持層の中核は本土のアデルニア人。

 これを忘れてはならない。


 言語というのは文化に直結する、デリケートな部分。

 ここは国民世論を重視する。


 「分かりました、陛下。必ず陛下を唸らせるモノを作成して見せましょう。三年以内に」

 「よろしく頼むよ」


 斯くして、アデルニア人専用の文字の作成が始まったのだ。


本編では扱いが微妙な、ニコラオス、青明、イスメアの文化三人衆。

実はロマリアの歴史上では、かなり上位。左から順に、地学の父、歴史の父、建築の母と呼ばれてたりする。

バルトロの次、アレク、イアルと同等の知名度。

そう言えば、芸術家が居ない。どうにかしなくては。




明日はクリスマスのようだが、俺にはそんなモノは無い。

一年前は、三多などと言って三話更新したが、今年はそんな余裕はないので、期待しないで。


書けないのに欲求ばかり溜まると、妄想が捗る。

建国記では、最近八章くらいの展開を考えてる。考えてるだけ。まだ書き溜めは六章を出ていない。

あと、気が早いけどアルムスの息子の話とか? 子孫の話とか、ちょろちょろと妄想。



あと新作では、ヨーロッパと中東とトルキスタンとインドと中華と東南アジアを詰め合わせた、超スケールの大きい内政しかしない内政モノ。(正直友達にはしたくないような性格の奴が主人公)


西ヨーロッパ、ギリシャ&ローマ、中東、トルキスタン、中華と東南アジアで中小の都市国家(ポリスや邑)が乱立している世界で国造り?みたいなモノを目指す、ステータス有り、主人公スキルテイク能力持ちのグロとエロと若干寝取りとカニバリズムに溢れた話。(主人公の頭のネジが三本くらい抜けてる。でも人生エンジョイしてそう)


のどっちにしようかで悩んだり。

どちらも、ヨーロッパと中東と中華で悩むくらいなら全部混ぜて煮込めばよくね? ついでに他の具材も入れようぜ! という発想。


前者の方がどちらかというとハートフル。

偶に寺や教会でキャンプファイヤーするけど。


なんか今なら一日三話(一万二千字)とか書けそう。(気がするだけ)



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