表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界建国記  作者: 桜木桜
第四章 包囲網と蜘蛛
123/305

第百二十三話 決戦Ⅱ

 一方、両翼。


 連合軍の騎兵とロゼル軍の騎兵が激しい戦いを繰り広げていた。


 連合軍の騎兵はロゼル軍の二倍。

 しかし戦況は必ずしも連合軍優位であるとは言えなかった。


 

 「っち、敵の軽歩兵が邪魔だな!!」


 ロズワードは飛んできた石を剣で弾き飛ばして、不機嫌そうに舌打ちした。


 ロゼル軍は騎兵不足を軽歩兵で補っているのだ。

 勿論、軽歩兵に騎兵が負けるということは無い。


 だが戦力不足をある程度誤魔化す程の効果はあった。


 

 騎兵たちは二班に分かれる。

 一つはエクウス騎兵を中心とした部隊で、敵騎兵と敵歩兵を引きつける。

 もう一つはロズワードが率いるロサイス騎兵で、敵象兵を倒す部隊。

 

 「お前ら!! 騎兵と歩兵に構うな! まずは象を殺すぞ!!」


 ロズワードは象の臭いを嗅いで暴れる馬を強引に抑えこみながら、象へと肉薄する。

 そして爆槍を投げつけた。


 爆槍は象の分厚い皮膚を貫き、深く突き刺さる。

 そして象が悲鳴を上げるのと同時に爆発した。


 槍周辺の肉が吹き飛び、ロズワードの髪を赤く濡らす。


 象は大きな音を立てて崩れ落ちた。


 ロズワードの部下であるロサイス騎兵たちは次々と象に爆槍を投げつけ、象を殺していく。


 しかしロズワードの表情には曇りが見える。


 「おかしいな。予定通りならば音に驚いて象は戦闘不能になるはずなんだけど」


 象たちは爆槍の爆発音を気にすること無く、正面から突っ込んでくる。

 ロズワードは象の顔面に槍を投げてから、横に逃げる。


 後方で爆発音が響き、象が崩れ落ちる。




 馬も象も繊細な生き物だ。

 爆発音に驚いて暴れだしてもおかしくない。


 何頭か音に強い象や馬がいるというのは分かるが、全ての個体が音に強いというのはおかしい。


 実際エクウス騎兵は爆発音で使い物に成らなくなってしまうので、象とロサイス騎兵には近づかずに敵の騎兵と軽歩兵を相手にしている。


 「呪術か……」


 ロズワードは呟いた。


 ロズワードには確かめる手段は無いが、ロズワードの読みは正解である。




 ロゼル軍はあらかじめ、敵が爆槍という兵器を使うという情報を仕入れていた。

 そしてその特徴は音と煙と炎であることも。


 馬も象も、音と煙と炎を苦手とする。


 あらかじめ情報を入手していたのだから、対策を打たないわけが無い。



 あらかじめ動物たちに麻里を中心とするロゼルの呪術師が呪術を掛けていたのだ。

 大麻を混ぜ込んだ餌を食べさせて、呪術を掛け、興奮状態にすることで音を克服させたのである。


 とはいえ、戦況は徐々に連合軍有利に傾き始めている。

 

 元々連合軍の騎兵はロゼル軍よりも上だし、エクスス騎兵の練度もロゼル騎兵を遥かに上回る。

 頼みの象も尽く、ロサイス騎兵に殺されて数を減らし始めていた。


 問題は徐々(・・)に、ということだ。

 連合軍の騎兵がロゼル軍の側面に回り込むまで、連合軍がクリュウ将軍の中央突破を止められるか。


 それが勝敗のカギを握る。







 「■■■■■!!!!」


 象の鳴き声が大気を揺らし、足音が地面を揺るがす。

 土煙を上げながら、象の大軍四十頭が真っ直ぐ突撃してくる。


 どうやら奴隷部隊は見捨てるつもりらしい。

 俺たちごと挽肉に加工するつもりなのだろう。


 もっとも、大人しく加工されるつもりは無い。



 「恐れることは無い!! 所詮は動物、殺すことが出来る!!」


 俺は兵士たちを鼓舞しながら、陣形を組みかえる。

 重装歩兵を下がらせて、後方に用意した軽歩兵を前線に配置する。


 

 象はあっという間に距離を縮めて、陣形が組み終わるのと同時に突っ込んできた。


 俺は愛馬のサクラと共に、前線に出て象と相対する。

 目の前に現れた象を躱し、その足を剣で切り裂く。


 象の右足が真っ二つに斬れて、象は地面に倒れる。


 「爆槍を投げろ!! 爆槍が尽きたら、足を投槍で狙え。投石兵と弓兵は象使いを狙い撃ちにしろ!!」


 俺の指揮で軽歩兵たちが象への攻撃を始める。


 軽歩兵は五人一組で行動して、隊列を組まない。

 よって象の突撃を交わしながら、攻撃を加えることが出来る。


 爆槍を喰らい、象が次々と倒れていく。

 足を投槍で貫かれた象は地面に倒れ、軽歩兵の餌食となっていく。


 象使いを失った象は反転して、ロゼル軍の方へ逃げていく。


 ロゼル軍もそれを予想していたのか、逃げ帰った象たちは次々とロゼル軍に殺されてしまう。

 ほとんどの戦象が戦場で倒れることとなった。




 「ふむ……」


 クリュウは次々と打ち倒される象を眺めながら、顔を顰める。

 象兵は貴重な兵力。

 それを失うのは大きい。



 「想像以上にアデルニア兵は優秀だな。俺が同じことを指示しても、ガリア兵は出来ないだろうな」


 戦象が敗北したのは、アルムスやバルトロの指揮や作戦が功を成したというのもあるが、それ以上にアデルニア人の兵士が優秀だったからだ。


 アデルニア兵は自作農を中心とする農民。

 農業は同じ村人同士との共同作業が大切になる。


 つまり集団行動に慣れているため、不測の事態でも指揮官の号令に対応出来る。



 一方、ガリア人は主に狩猟採集を糧とする民族。

 集団行動は苦手だ。


 

 「戦象の突撃と同時に俺も出るべきだったか? ……いや、それは止して正解か」


 クリュウはこちらに戻ってくる象を見る。

 彼らの背には死体となった象使いが揺られていた。


 完全に暴走している。


 象の後に続いて突撃すれば、あれが自軍の中で暴れた可能性がある。

 

 リスクを避けて正解だった。


 象を撃ち殺すように命じながら、クリュウは同時に全軍に突撃の準備を命じる。


 「まあ、良いか。少なくとも敵の隊列は乱れている。多少の効果はあったということ」


 クリュウはそう呟いてから、ロゼル軍に向き直る。


 「戦友諸君!!! 勝つぞ!!!!」


 長い演説は必要ない。

 短い一言、それさえあれば十分だった。


 「突撃!!!!」


 ロゼル軍歩兵部隊三万が唸りを上げて突撃した。





 「来たか!!!」


 俺は急いで軽歩兵に後退を命じる。

 未だ象が何頭か残っているが、それよりもクリュウ将軍の方が脅威だ。


 軽歩兵ではクリュウ将軍を受け止めきれない。


 「急げ!!」


 百人隊長たちが大慌てで陣形を組みかえていく。

 間に合うか……いや、少し遅いな。


 このままでは間に合わない。



 「ロン、グラム、ムツィオ。行くぞ!!」

 

 「はい、兄さん!!」

 「分かりました。王様」

 「支援は任せな」


 精鋭である近衛兵を率いて、俺は前に出る。

 クリュウ将軍を俺たちが受け止めて、その間に陣形を組み直させる。


 少々危険だが、これしかないだろう。


 「行くぞ!!!」


 俺は剣を高々と掲げて、クリュウ将軍の元へと向かう。


 流石は猛将と言うべきか、クリュウ将軍はロゼル軍の先頭に居た。

 奇妙な動物に跨って居る。


 ドラゴンのようだ。


 もっとも、俺のサクラはその程度で怖気づかない。



 「貴殿がアルムス王か! 若いな。この年で命を失うとは、実に惜しい!!」

 

 クリュウ将軍が何かを叫ぶ。

 生憎、俺はガリア語は分からない。


 「貴公がクリュウ将軍だな? あなたの栄光も今日で終わりだ。俺と戦ったことを後悔しろ!!」


 俺の剣とクリュウ将軍の剣が激しくぶつかる。

 何度も、何度も剣が交錯する。


 おかしいな。普通の剣なら俺のドラゴン・ダマスカスの剣で真っ二つのはずなんだけど。

 つまり……


 「「ドラゴン・ダマスカス鋼の剣か!!」」


 俺とクリュウ将軍の言葉が重なる。

 何を言っているか分からないが、おそらく俺と同じことを思ったのだろう。


 

 「死ね!! クリュウ将軍!!」

 「死ぬのは貴様だ、アルムス王!!!」


 剣と剣が激しくぶつかる。

 力は互角か。


 「どうやらあなたも加護を持っているようだ」

 「聞いていたが戦闘系の加護を持っているようだな」


 同じ力の持ち主との戦いはこれが初めてだ。

 

 お互い、加護の上で胡坐を掻いていた所為か技量は疎い。

 しかし経験の差でクリュウ将軍の方が少し上のようだった。


 が、それを補うのがロンたちだ。


 「っつ!! 数人掛かりは卑怯ではないか、アルムス王よ!!」

 「何言ってるのか分からないが……戦場に卑怯もクソも無いと言わせて貰う!!」


 ロンが槍を突き出して、クリュウ将軍を攻撃する。

 俺とロンの二人掛かりでクリュウ将軍を追い詰める。


 グラムとムツィオの放った弓がクリュウ将軍の頬を掠める。

 この状況下で躱すとは、流石加護持ちだな。

 

 しかしいつまで続くか。



 「クリュウ将軍を守れ!!」

 「王様を援護しろ!!」


 近衛兵とロゼル軍は激しくぶつかる。

 どちらも加護で強化されているため、どちらかが押し負けるということはない。


 もっともこちらの近衛兵の数はロゼル軍全体と比べて少ない。

 すぐに包囲されてしまうが……



 「急げ!! アルムス王様をお助けしろ!! 申し訳ありません!!! 少し遅れました!!」

 「王よ!! 無茶しないでください!! あなたが死んだらお終いですよ!!!」


 そう叫びながらトニーノとバルトロが軍を率いながらこちらに向かってくる。

 時間稼ぎは成功したようだ。


 すでにクリュウ将軍の勢いは止まっている。



 連合軍一万三千とロゼル軍三万が激突する。

 数は少ないが、こちらは重装歩兵。


 ガリア兵よりも防御力は上だ。


 

 「押せ!! 押せ!!! アデルニア人をぶっ殺せ!!!!」

 「押し返せ!!! ガリア人共を血祭りに上げろ!!」


 両軍の百人隊長が叫ぶ。


 俺も負けてられないな。


 

 「死ね!! クリュウ将軍!!」


 俺の剣がクリュウ将軍の首筋を狙う。

 クリュウ将軍は慌てて大剣で俺の剣を弾き返す。


 隙が生じた脇腹目掛けて、ロンが槍を突き出す。

 クリュウ将軍は慌てて体を捻るが、躱しきれずに脇腹を槍が掠める。


 服が血で滲み、クリュウ将軍は顔を顰める。


 そこへグラムとムツィオの矢が真っ直ぐ飛んでいく。

 グラムの一本はクリュウ将軍の額、ムツィオの一本はクリュウ将軍の心臓。


 もう避けられまい。


 「助けに来ましたよ」


 金髪の女が現れた。

 女の指先から伸びた糸が二本の矢を絡めとる。


 「お久しぶりです。アルムス王様。アリスです。あなたの御命、貰いに参りました」


 ギラリと何かが光る。

 俺は剣でそれを弾き飛ばす。


 針が地面を転がる。


 「今度は暗殺じゃないんだな」

 「本当は隙を見て奇襲したかったんですけど、その前にクリュウ将軍が死んじゃいそうだったので」


 アリスの言葉にクリュウ将軍は申し訳なさそうな表情を浮かべた。


 「申し訳無い。アリス殿」

 「いえ、問題ありません」


 二人はガリア語で何らかのやり取りをした後、俺に向き直る。


 「二人掛かりです」


 アリスはアデルニア語でそう言ってから、ナイフを振り上げる。

 俺はナイフを剣で受け止めて、弾き上げる。


 直後、クリュウ将軍の大剣が俺を襲う。

 俺は慌てて大剣を避ける。


 「ロン!! お前は金髪を頼む!!」

 「分かりました!!! ほら、お前の相手は俺だ!!」


 ロンは槍を突き出してアリスを牽制する。

 アリスは糸でロンの槍を絡めとろうとするが、ロンや槍でその糸を切り裂く。


 アリスは顔を顰めてから、手に持っていたナイフでロンに襲い掛かる。

 ロンの槍がアリスのナイフを掬い上げる。


 真っ二つに切断されるアリスのナイフ。


 「なるほど。あなたもドラゴン・ダマスカス鋼の武装ですか。ならば仕方が有りませんね」


 アリスは服袖から別のナイフを取りだした。

 ククリナイフと呼ばれる形状のナイフだ。


 「君もドラゴン・ダマスカス鋼を持っているのか……」


 クリュウ将軍と俺、アリスとロンの戦いが繰り広げられる。

 俺たちよりも二人の方が技量では上だが、俺たちにはグラムとムツィオの援護がある。


 二人の射撃は完璧で、隙あらばクリュウ将軍とアリスに矢を放つ。

 二人は矢を気にしながら戦わなければならず、動きがどうしても鈍る。


 戦況は未だ俺たちが有利。



 

 クリュウ将軍の動きが止まっているおかげか、ロゼル軍の突撃は止まっている。

 連合軍は徐々に後退しながら、両翼の包囲を縮めていく。


 後は両翼の騎兵が背後に回り込むだけだ。


 しかし数の差か、徐々に追い詰められてきているのもまた事実。

 両翼の騎兵が回り込むよりも先に、俺たちが抜かれてしまう可能性は未だ捨てきれない。


 全体の戦況は互角。


 張りつめた水面のようで、一石投じられれば一気に水は溢れだすだろう。



 戦況の移り変わりが激しくなるのと同じように、雨も激しくなっていく。

 俺の服が雨を吸い込み、重くなる。


 頬を伝う水は汗か雨か……

 

 それでも気は抜けない。

 先に集中力を絶やした方が負ける。



 

 「っく!!」


 先に崩れたのはクリュウ将軍だった。

 脇腹の傷と、グラムとムツィオの矢のおかげだ。


 俺の剣がクリュウ将軍の肩を撫でる。

 鮮血が噴き出る。


 クリュウ将軍が苦悶の表情を浮かべる。


 「おっと、邪魔はさせないよ!!」

 

 クリュウ将軍を救出しようとするアリスを、ロンが封じる。

 アリスはロンを睨みながら、ククリナイフをロンに叩きつける。

 

 俺はクリュウ将軍に更なる追撃を加える。

 俺の斬撃は大剣で防がれてしまうが、クリュウ将軍の体が大きくぐらついた。

 血が抜けたことで、クリュウ将軍の体力が落ちているのだ。


 グラムとムツィオはその隙を逃さず、矢を放つ。

 二本の矢がクリュウ将軍を襲う。





 勝った!!




 そう思ったその時だった。


 


 「全く、だらしがない!!」


 二本の矢が飛来してきて、グラムとムツィオの矢を弾き飛ばした。

 矢の飛んできたところを見ると、黒髪の女が立っていた。


 前、俺の即位式で顔を見せた女。

 魔女マーリン。


 マーリンは左手に短弓、右手に矢を持っていた。


 「心配になって来てみれば。やはりあなたは私が居ないとダメみたいね。仕方が無い息子だわ」

 「か、養母(かあ)さん……」

 「お姉さんと呼びなさい」 

 「俺は息子なのか、弟なのか、はっきりしてくれよ」


 マーリンとクリュウ将軍はガリア語で遣り取りをし始める。


 「これを飲みなさい。特製の痛み止め。麻薬入ってるけど……まあ、ちょっとなら問題ないでしょ」

 「あ、ありがとう……さあ!! 気を取りなおして共に戦おう!! メロン殿!!」

 「調子良いんだから……」


 マーリンは何か言いながらニヤリと笑う。

 そして謡うように唱える。


 日本語(・・・)で。


 

 『開くは冥府の門。導くは現世。あなたの苦しみは私の苦しみ。私の苦しみはあなたの苦しみ。あなたの喜びは私の喜び。私の喜びはあなたの喜び。あなたの死は私の死。私の生はあなたの生。あなたの無念は私の復讐。私とあなたの赤い糸は世界を越える』


 こいつ……日本人か!!


 『さあ、共に駆け抜けましょう。共に世界を統べましょう。あなたと一緒ならばどこまでも。二人で放つ二本の矢はどこまでも飛び続ける。あなたは蒼い狼、私は白い牝鹿。二人で一人、一人で二人』


 マーリンは謡う。

 寒気が込み上げてくる。


 これは死の唄だ。

 人が謡ってはならない禁忌の唄だ。


 俺は慌ててマーリンを斬り殺すために、サクラの腹を蹴る。

 一気に距離を詰める。


 しかし……


 「邪魔はさせない」

 「クソ!!」


 クリュウ将軍が大剣を振るう。

 薬を飲んだクリュウ将軍は興奮状態にあるのは、先ほどよりも数段力が強くなっている。


 「グラム! ムツィオ! 彼女を射殺せ!!」


 二人は矢を番え、マーリンに向けて放つ。

 マーリンはその矢を右手で払いのけようとする。


 矢がマーリンの右手に刺さり、マーリンは顔を顰める。


 しかし……


 マーリンは平然と矢を抜く。

 信じられないことに、その傷が修復していく。


 マーリンは謡い続ける。


 『今ここに、あなたの御霊を下ろす』


 マーリンの唄が終わる。

 明らかに雰囲気が変わっていた。


 その瞳は鋭く、武人の目をしている。


 まるで誰かが彼女の中に溶け込んでいるみたいだった。


 「さて、アルムス君だっけかな。出来れば降伏して欲しいな。私は同郷の者を殺したくない。あなたが私に協力してくれれば私の研究はさらに進む。もしかしたら日本に帰る目処が立つかもしれない」

 「悪いけど前世に未練は無いんだよ。俺はここに来るまで多くの人を殺めて、この手を血で汚した。今更引くわけにはいかない」

 「そう……」


 マーリンは少し悲しそうな表情を浮かべた。


 「残念。いろんな人を犠牲にした点では私もあなたと同じだもの。立ち止れない。死んだ彼の分だけ、私は生きなければならないから。仕方が無いね。君には死んでもらう」


 マーリンはそう言いながら弓を番える。

 そしてニヤリと笑う。


「悪いけど、そこの若造二人と俺の弓術では年期が違う。東から西まで、この大陸を征服し尽くした俺の矢の味は格別だぜ?」


 

マリリンの口調が最後、変わってますが誤字じゃないです

演出です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私がなろうで連載している他作品です
もしお時間があったらどうぞ
『三大陸英雄記~現代知識による帝国再建記~』
『蘇った真祖の放浪譚』
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ