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異世界建国記  作者: 桜木桜
第四章 包囲網と蜘蛛
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第百十一話 隻眼と鷹Ⅲ

 我々連合軍は快進撃を続けた。

 首都まで後一日の位置にまで迫っている。


 例の都市を攻略してから二日も経っていない。

 

 ここまで連合軍が快進撃を続けることが出来た理由は一つ。多くの都市や村が城門を開けて降伏したからだ。


 降伏した都市には全て自治権を与えて兵役の義務を設けたが、課した税金は違う。


 まずは我々連合軍が降伏勧告を始める前に頭を垂れた都市や村、豪族。

 彼らには百分の一の税を課した。要するに一パーセント。ほとんど無いに等しい。


 次に我々連合軍の降伏勧告を受け入れて城門を開いた都市や村、豪族。

 彼らには五十分の一税。つまり二パーセント。


 最後に我々が攻撃を仕掛けて、劣勢になってから降伏した都市や村、豪族。

 彼らには二十五分の一税。つまり四パーセントの税。


 まあどれにしてもベルベディル王の時代よりは安くなっている。そうでもしないと寝返らないし。

 本当はもう少し時間を掛けても税金をもっと採りたいが……時間は敵だからな。バルトロが心配だ。


 ちなみに全ての者が俺たちを歓迎したわけでは無い。

 大人しくしてくれたのは四割で、六割からは反抗された。


 アデルニア人の都市や村、豪族は反抗する傾向が強い。キリシア人と違い、王への思いが強いのだろう。

 そういう都市や村、豪族は当然力技でねじ伏せた。

 爆槍を使えばそこまで難しいわけでは無い。それにアレクシオスが思っていた以上に有能だった。


 城攻めに関してはバルトロより上ではないだろうか? いや、そもそも城攻めをしているバルトロを見たことが無いが。


 当然、反抗した者には自治権は与えない。

 彼らには四割の税を課した。今後の恭順次第で下げる予定である。


 こうすると早期に降伏した都市と比べて天と地ほどの差があるように感じるが……


 自治権を与えなかった者に課した税はインフラ等の費用が含まれていない。なぜなら費用は自分たちで集めて、自分たちでやってこその自治だからだ。


 逆に自治権を与えた者に課した税はインフラ等の費用込みだ。自治権を与えないのだから、上納税もインフラ費も同様に一つの税に含まれている。


 場合によっては自治権を与えられなかった方が、経済的には楽……という都市や村もある。

 まあそれでも多くの場合は早期に降伏した都市の方が負担は少ない。

 

 おそらく一番平民への税負担が軽いところは人口第三位の都市だろうな。平民への税負担は総合的に考えて一割以下ではないだろうか。


 ちなみに俺の直轄地の税率は現在三割である。今後二割以下になる予定だ。参考までに。







 「ベルベディル軍ですね。数は八千と言ったところでしょうか? かなり無茶してますね」

 「俺たちも八千だけどな。同数同士の戦い。連中は負けても城壁に篭れば勝機はある。一方こちらは負けたらお終い。戦略的にはこちらが不利だな」


 もしかしたらベルベディルよりもロゼルを優先してバルトロを助けに行く方が良かったか?

 それともムツィオの増援を……


 いや、今考えても無駄か。勝つことだけを考えないとな。


 「アレクシオス殿、何か考えはあるか?」

  

 餅は餅屋だ。俺は軍才は無い。

 こういう時は素直に専門家に尋ねた方がいい。


 「兵数で互角ならば下手な小細工を要するよりも、正面からぶつかった方が確実に勝てるかと。……しかし無策で挑むのは芸が有りません」

 

 前々から思ってたんだが、こいつ回りくどいな。

 早く結論から話せ。


 俺の表情を見て、アレクシオスは少し早口になった。


 「実は僕がひそかに進めていた策があるんですが……」


 アレクシオスは俺にその作戦を提案した。

 それは酷く性格の悪い作戦だった。


 イアル並の悪さだ。あ、褒め言葉だよ?







 「っち、不忠者どもめ……あと一日でも時間を稼いでくれればもう二千は動員出来たのに……」

 

 ベルベディル王は目の前に広がる同数の兵力を見て顔を顰めた。

 

 ベルベディル軍は歩兵八千、騎兵二百。

 一方の連合軍は報告に依ると歩兵は七千強、騎兵は六百から七百ほどらしい。


 騎兵の多くはレザドのゲルマニス騎兵。アデルニア騎兵よりも練度では遥かに上回る。 

 

 兵数では若干、ベルベディル側が有利と言える。

 またベルベディル軍は高所に陣を敷くことに成功している。


 戦術的にも戦略的にもベルベディル軍が優勢だ。

 とはいえその優勢は十分ひっくり返すことが可能なレベルの僅かな差である。


 同数同士の戦いは指揮官の差が強く出る。

 ベルベディル軍の指揮官と連合軍の指揮官では間違いなく連合軍の指揮官の方が上であろう。

 

 特にロサイス軍はここのところ連勝続きだ。






 先に動いたのは連合軍であった。

 それに合わせてベルベディル軍も陣形を整える。


 高所を得ているベルベディル軍の方が勢いを利用出来るので、遥かに有利である。

 一方連合軍はベルベディル軍とぶつかるためには坂を上らなければならず、勢いも出難い。疲れも増大する。


 地の利はベルベディル軍に有った。


 両者は向かい合う。

 大平原での戦いではどちらも伏兵など用意出来ない。落とし穴などの罠を張る余裕も無い。


 よって定石通りの戦いになる。


 アデルニア半島での定石とは、まず最初に軽歩兵が投石や弓矢、投げ槍で攻撃して陣形が乱れた時に重装歩兵がぶつかる。


 双方の騎兵が重装歩兵の側面を付くためにぶつかり、軽歩兵が騎兵を援護する。


 アデルニア半島の騎兵は大して強くないので、騎兵が重装歩兵の側面を突くことは滅多にない。

 重装歩兵団同士のぶつかり合いで全てが決する場合がほとんどだ。よって戦いの行方は重装歩兵の数と質が左右する。


 今回の場合は連合軍がベルベディル軍よりも二倍の騎兵を有しているが、ベルベディル軍もそれは承知。

 ベルベディル軍は騎兵の側面への回り込みを防ぐために、軽歩兵を多く側面に配置している。


 坂を上らなければならない連合軍はイマイチ騎兵の機動力を生かせない。


 よってこの戦争も騎兵の側面攻撃で勝敗が決する可能性は低く、重装歩兵同士の戦いが今回の戦争を左右する可能性が非常に高い。


 両者の重装歩兵の主力は両方ともアデルニア人の農民を徴兵した重装歩兵。

 質と士気は若干連合軍が有利だが、疲れを考慮に入れるとほとんど変わらない。


 まさに互角の戦い。どちらに戦況が傾いてもおかしくはなかった。





 両者は暫く睨みあった後、すぐに軽歩兵が前に出始める。

 どちらも投石器や弓、投げ槍などを手に持っている。


 戦いの前哨戦が始まろうと……


 「ん?」

 

 ベルベディル王は首を傾げた。

 何故か連合軍の軽歩兵の中に丸腰の兵が居て、その兵が連合軍よりも一歩前に出て何かを叫んでいるのだ。


 「おい、奴は何を叫んでいる?」

 「大変です!! あの兵は連合軍に降伏した都市や村の人間のようです。……どうやら自分たちの都市や村の出身者に呼びかけているようです」

 「なに!?」


 ベルベディル王は目を剥いた。

 まさか激励に来てくれたわけではあるまい。十中八九、降伏勧告だ。

 

 このままでは士気に大きく影響する。


 「射ち殺しますか?」

 「バカ者!! そんなことをすれば我が軍は瓦解する!!」


 ベルベディル王は早まる兵を抑える。

 ベルべディル王は馬に乗り、前線に出た。彼自ら兵士の士気を上げるために。





 現在、俺の目の前には二十人の降伏した都市や村の人間たちが大声で叫んでいた。

 彼らの多くは目に涙を浮かべている。


 その表情は悲痛そのものであり、見る者の同情を誘う。


 「我が村の同胞よ!! 聞いているか? お前たちは戦わなくて良い!! 幸い、ロサイス王様は我らに自治をお約束してくださった!」

 「そうよ!! マルク! 私の愛しい息子!! 聞いている? あなたは戦いが始まっても蹲っていなさい!! ロサイス王様は無抵抗の者は捕虜にした後、解放してくださると言っているわ!!」

 「無駄な血を流すことは無い!! お願いだ、ケイン!! 父さんを一人にしないでくれ!!」

 「トール! この戦争が終わったら結婚する約束だったでしょ? お願い! 降伏して!! そうすればあなたは生きられる!! お願いだから!!」



 要するに、アレクシオスの作戦は心を攻めるという案だ。 

 しかも利用するのは家族愛や同郷愛である。

 

 マルク君やらケイン君やらトール君やらが今この場に居なくとも、敵の兵士の多くは故郷の家族や恋人を思い浮かべているに違いない。

 その家族や恋人は現在無事。彼らに戦う理由など無い。


 一応弁明しておくが、叫んでいる人々は本物であり、彼らの本音である。

 俺が君たちに同胞を救うチャンスを与えると言ったら大喜びで泣いて感激し、こうして叫んでいるのだ。

 

 ……良心が痛むな。


 「さあ、ロサイス王様。あなたの出番です」

 「ああ……お前は元気そうだな」


 アレクシオスは笑顔だ。こいつ、全く心が痛まないらしい。

 少しくらい良心の呵責が有っても誰も責めないと思うが。というか一児の父親として、人の愛を利用するのはどうかと思うぞ。


 「何言ってるんですか。愛を知っているからこそです」


 ああ、はいはい。お前に期待した俺が悪かったです。



 「諸君!!」


 俺は我が愛馬桜ちゃんに乗り、軽歩兵の全面に出る。

 少し危険だが、人を盾にしながら話しては説得力が無い。


 まあこの距離ならばグラムでもない限り、俺に矢は当てられない。当たっても俺には大王の加護があるからそう簡単に死なない。脳天を打ち抜かれたら即死だが。


 「私は敵でない者を殺す理由が無い。私が欲しいのは平和なのだ。……我々は同じアデルニアに住む同胞。殺し合うのは間違いだ!! 真の我らの敵はガリア人、ロゼル王国!! しかしベルベディル王はそのロゼル王と戦う我らに味方するのでは無く、逆にロゼル王と手を組んで我々を後ろから刺してきた。果たして正義はどちらにある? 繰り返す。私は同胞と戦いたくない!!」


 正直なところベルベディルとロゼルが連携を取っているかどうかは謎だ。

 当然手紙の遣り取りはしていたと思うが……同盟関係ではあるまい。ベルベディルはただの火事場泥棒だ。


 その辺の負い目もあるはずだ。

 アデルニア人は義務だとか名誉だとかを強く気にする民族だからな。あくまで一般論だけど。


 「皆も知っていると思う。私は降伏した都市や村には自治権を与えて、僅かな上納税しか採っていない。この上納税も決して私の私腹を肥やすためのものでもない。国の安全を、新たに我が国の一員、同盟者となった者たちを守るための軍事費なのだ。私は平和を望んでいる。私と同じように平和を望んでいる者は武器を置いてほしい」


 まあ、事実だ。実際俺の生活ぶりは清貧……とまでは行かないがかなり質素だと思う。

 俺の娯楽なんて温泉だけだよ。


 多分、他の豪族の方が良い暮らししている。


 「お願いだ、諸君! 私の目的はガリア人の味方をし、アデルニア人を売り渡そうとする卑怯者の討伐のみ!!」

 「騙されるな!!」


 戦場に俺ではない声が響いた。

 一人の男が馬に乗り、前に進み出て来た。こいつは……ベルベディル王か。


 戦場に出てくるとは意外だな。


 「この男がロゼルと戦っているのはドモルガル王から領土の見返りがあるからに過ぎない!! 忘れたか。この国はフェルム王を殺し、ドモルガル王の国から多くの領土を奪い取った男だぞ!!」


 どれも自衛だし……

 そもそもフェルム王はお義父さん(うちの嫁の父親)を殺して領土を奪い、勝手に独立宣言した男なんですけど……


 とはいえ、そんな他国の事情を多くの兵士が知るわけない。

 多くのベルベディル兵たちが正気に戻ったように、俺を睨みつける。



 「何を言うか!! フェルム王は我が国の家臣を殺し、その領土を奪った男。我が国の領土を取り戻し、領民を救っただけ。何が悪い!! ドモルガル王の国とは悲しい諍いが有ったが……今、我々は共に肩を並べて戦っている!! ドモルガル王の国と我が国の関係は敗者と勝者であり、侵略者と被侵略者であった。だが今は共に侵略者(ガリア人)と戦っている。我々は分かり合えるのだ!!」


 俺は大声で叫ぶ。

 ベルベディル王が一瞬、何か考え込む。反論を考えているのだ。


 しかし舌戦は先に途切れた方が負けだ。例え支離滅裂でも、矛盾していても、ブーメランでも良い負かした方が勝ち!! 


 俺は一気に畳みかける。


 「そもそも何故彼らが私に降伏したか、諸君らは理解しているのか? ベルベディル王が支配下の村や街をどうしたのか……教えてやれ!!」


 俺は降伏した都市から連れてきた男に目配せする。

 男は台本通りの、しかし真実を口にする。


 「ベルベディル王は俺の故郷に百の兵しか置かなかった!! 挙句に食糧庫の小麦を全て持ち去ったのだ!! 俺の故郷はベルベディル王の国の支配下に入り、三百年忠誠を尽くしてきた。それなのに!!」

 「私の村は十人もの若者を兵士に出しました!! しかしベルベディル王は私の村を守ってくださらなかった。それどころか、食糧庫の小麦を奪い、持ち運べなかった小麦には火を放ったのです!!」

 「おいらの村の井戸には毒を投げ込まれた!!」


 まあ、戦略として正しいとは思うよ。

 焦土戦術は基本だからな。多分うちの国でもライモンドたちがエビル王の国相手にやってる。


 それでも領民の避難はさせているし、食糧も燃やさずに出来るだけ持ち運んでいる。井戸にも毒を投げ込んでいない。 

 まあエビル王の国との国境近くには小さな川が多数あるから、そもそも井戸を使えなくしても無駄だからという理由があるんだけどね。


 ベルベディル王の国は我が国を侵攻するつもりだったんだ。侵略される予定は無かった。

 だから領民の避難が出来なかったのは仕方が無い。と庇っておく。


 が、当事者からすれば仕方が無いで済む問題ではない。


 ベルベディル王は苦虫を噛み潰した表情を浮かべる。

 どうやら反論が浮かばないらしい。


 俺に言い負かされたことで、ベルベディル軍に動揺が走る。これを見逃がすほど俺は人間が出来ていない。


 「見たか!! これが真実だ。その男は強者に尻尾を振り弱者を見捨てて食い物にする卑怯者だ。今すぐその首を落としてくれる。攻撃開始!!」


 俺の号令と共に軽歩兵が攻撃を始める。

 石が、矢が、投げ槍が、爆槍が弧を描いて敵に飛来する。ちなみに爆槍は控えめに使っている。温存が必要だからだ。


 「っく、おのれ……」

 ベルベディル王は盾で自分の体を守りながら、ゆっくりと後退する。


 「逃がさない!!」

 そう言って俺の隣に進み出て来たのはグラムだ。

 グラムは長弓を引き絞り、ベルベディル王に矢を放つ。矢はベルベディル王の馬を射貫き、ベルベディル王は落馬する。


 落馬の衝撃で、盾が吹き飛ぶ。

 それを見逃すグラムではない


 グラムは弓を引き絞り、ベルベディル王の眉間に矢を放つ。

 

 「危ない!!」

 

 しかしグラムの矢がベルベディル王の眉間に刺さる前に、兵士の一人がベルベディル王の盾となりその矢を防ぐ。

 長弓から放たれた矢は鎧を貫通して、兵士を絶命させた。


 気付くとベルベディル王はその場から退散していた。

 グラムは舌うちをして、目標を百人隊長などの現場指揮官に切り替える。


 次々と目立つトサカのような兜を被った敵を射貫くグラム。相変わらず精密射撃が上手い。


 「相変わらず凄いな」

 「やめてください……照れます……」

 

 グラムは少し顔を赤くして、頬を掻いた。


 元々動揺していたこともあり、敵の重装歩兵の陣形が僅かに崩れる。それに加えて王が逃げた。

 敵の軽歩兵も攻撃を開始したが、もう遅い。


 「突撃!! 俺に続け!!」


 俺は桜の腹を蹴り、一気に丘を登る。

 それに合わせて味方の重装歩兵や騎兵も突撃を開始する。


 「はああああ!!」


 俺はドラゴン・ダマスカス鋼の剣を振り、敵をバターのように切り裂いていく。

 俺の強さに敵が明らかに怯え始める。俺だって強いんだ。偶に忘れそうになるけど!!


 「死ねええ!! ロサイス王!!」

 「そうはいかないよ」


 そう言って俺の後ろから迫ってきた敵の兵士をロンが斬り捨てた。

 

 「リーダー……じゃなかった、王よ。前に出過ぎです。相変わらず」

 「すまん、久しぶりに前に出るなと思ったら……でもお前がフォローしてくれると思ってたからだぞ?」


 そう言うとロンが顔を赤くした。おい照れるな。俺が恥ずかしくなる。


 「王の背中は俺が守ります!!」

 「おう! 任せた!!」


 俺とロンは共同で敵を斬り殺していく。出来るだけ派手で目立つ奴を中心に。


 流石に高所を押さえていただけのことはあり、敵は暫くの間持ちこたえた。

 普通ならば徐々に敵が押し返してこちらが不利になっただろう。


 が、敵の足並みは致命的に悪かった。


 そもそも重装歩兵の強さは故郷を、仲間を、国を守ろうという意思だ。

 共に戦う仲間同士がフォローし合うからこそ、強力な突撃力を産むのだ。


 しかし今、その連携は崩れつつある。

 何しろ隣には降伏すれば解放して貰える人間が居るのだ。


 手を抜いてやろうと思う奴も居るし。逆にこいつは手を抜こうとしているのではと疑う者も居る。

 その僅かな疑いや僅かなズレが、重なり合い、致命的なズレを呼んだ。


 左翼、右翼、中央、全ての戦場で同時にベルベディル軍の陣形が崩れ始めた。

 そして重装歩兵団は一度崩れれば、もう立て直せない。


 「追撃せよ!!」


 俺は一気に戦場を駆け抜けた。

 気付くと俺の隣にはロズワードが居た。


 「王様。お先を失礼します。ヴィルガル!! レザドの騎兵に負けるわけにはいかない!」

 「はい!! 分かっています! 隊長!!」


 そう言って二人は一気に俺の隣を駆け抜けた。

 おい、他の騎兵が置いていかれているぞ。


 まあ、元気なのは良いが……





 この戦争での連合軍側の死傷者は合わせて三百。

 一方、ベルベディル側の死傷者は千。捕虜は四千に達し、千が逃亡した。


 ベルべディル王は二千の兵と共に王都に篭り、硬く城門を閉ざした。


次回、ベルベディル戦終了

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