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15.ディオ

『マリオ』


クラウディオから発せられたその単語が耳を素通りしていく。


「で…んか、今、何と」


マリアンナが思わず身を引こうとすると、取られたままの手が強く握られた。


「マリオ」


その金の瞳が真っ直ぐにマリアンナの目を貫いている。


この年齢で、マリアンナのことをマリオと呼ぶのは一人しかいない。

どれだけ違うと否定しても辿り着く答えは一つしかなかった。



「……兄、さま?」


恐る恐るマリアンナが口にすると、クラウディオが破顔した。

泣き笑いのような表情だ。


「ああ」

「…本当に?」

「ディオだ」


クラウディオが頷く。


「う…そ」


マリアンナがその状況をのみ込めずにいると、クラウディオがその姿を変えた。

「これでどうだ?」


金髪碧眼の少年、ディオと同じ色だ。


「マリオに貰った魔石もいつも身に着けている」


クラウディオはリボンを外すと胸のボタンを一つ外して、首から下げていた魔石を取り出した。

それは変わらず綺麗なピンクゴールドに輝いていた。


「私は…先生の家に置いています」

「知っている」


ふっと笑ったクラウディオの笑顔が、幼い頃のディオの笑顔に重なる。

認識阻害の魔法が無効になったように、ディオの面影が見て取れた。


「…触れても?」

「もう触れたじゃないですか」

「悪い。逃げられないようにした」


ふっと笑うと、どちらともなく体を寄せ合った。



「…負けてしまいました」

「ああ。私の勝ちだ」

「…怒ってますか?」

「怒ってない。勝っても負けても許すつもりだった」

「黙っていてごめんなさい」

「ほんとに…」


そこではっとしたように、クラウディオはマリアンナから体を離した。

「兄さま?」


「いや…実はマリオが女装している可能性も考えていたんだが、本当に女性なんだな」

クラウディオの頬が少し赤い。


「……っ」

小さな頃の感覚で抱き締めてしまったが、お互い成長している。

その事を思い出してマリアンナもかあっと顔が熱くなった。


「に、兄さまこそ、王子様だなんて反則です!」

「…悪い。あの時は隠された存在だったし、身分を隠すことがマルグリットの家に行く条件だった」

「ううっ、私ったら数々の不敬を…!

一緒のお布団で寝たりあーんしたり…!」

「一緒の布団…あーん…」


クラウディオは、思わず今のマリアンナを想像してしまい、片手で目元を隠す。


「あの、殿下!知らなかったとはいえ大変」

「マリオ、いやマリアンナ」


クラウディオは伏せていた目元を上げてマリアンナを睨む。


「これから先、2人だけの時にその呼び方をしたらお仕置きする。

どうか昔のように接してほしい」


「で、ですが」


「マリアンナ」


「うっ…ちなみにお仕置きとは何を」

「そうだな…私の膝にマリアンナを乗せてあーんを」

「これからも昔のようにお願いします兄さま!」



マリアンナは青くなってお願いした。





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