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44.突然の知らせ

弟というのは非常に可愛い。

1ヶ月ぶりに帰宅して、久しぶりに会った弟―ニックはまた成長していた。


この時期の赤ちゃんというのは少し会わないとあっという間に大きくなる気がする。

そして可愛さが増している。


毎日一緒にいないがための可愛さというのもあると思うけれど。


これが4、5歳ともなると非常に生意気になるのが残念でたまらない。

前世の私の弟も、赤ちゃんの頃はとても可愛かったのに…。


「あー」


ベッドに寝かされて、じたばたしている姿すら愛らしい。

月に1度しか帰ってこない姉のことなど忘れてしまうかもしれないと思うと恐ろしい。


この5日の間にしっかりと覚えこませなければ。



兄さまも、私に対してこんな気持ちでいてくれるのだろうか。

可愛くて堪らない、出来ることなら何でもしてあげたい。


『マリオの為にって、すごく必死で頑張ったんだ…』

免許取得試験の合格祝いの時、後からエドガーに聞かされた内容に、心の底から幸せな気分になった。


大切な人が、自分を喜ばせようとしてくれたことが嬉しくてたまらない。





素敵な両親とこんな可愛い弟がいて、格好良くて優しい兄さまもいる。

素晴らしい先生たちもいて、まだ3歳なのに薬や魔法のことを真剣に教えてくれる。



期限付きの生活だということをうっかり忘れてしまうくらいに幸せで。




ちゃんと分かっていたつもりだった。



ただこんなにも早くその時が訪れるとは思っていなくて。





先生が迎えに来た時から、少しいつもと違うような気がしていた。

様子が違う。


どうしたのか聞いてみたら、家に帰ってから話しましょうと神妙に言われて、胸騒ぎがした。



そしてこういう時の嫌な予感というのは結構当たる事が多い。



いつも優しい笑顔で迎えてくれる兄さまが、眉をぎゅっと寄せて苦しそうだった。


エドガーさんも同じように辛そうにしているけれど、何も言わない。



どうしたんですか?と問うことが出来なかった。


私の不安通りの返事があるのが怖かったから。



だけど遂に兄さまが傍に来て、背中に回された腕にはいつもより力が込もっていた。




「…マリオ…予定よりかなり早いが、家に帰ることになった」



ああ、やっぱり。




嫌な予感というのは当たるのだ。



私の感じた予感はこれかと妙に納得してしまって、兄さまの言葉は耳に入っているのに意味を理解できないような妙な感覚になった。



「いえに、かえる…の、ですね」


「ああ。父上から連絡があって…帰ってきてほしい、と」


「帰る…」


まだ7の月のはじめなのに。

でも、12の月に帰って1の月から学園では確かに慌ただしいかもしれない。



「期限は、今月の終わりだ。それが…私がここで暮らせる、最後になる」



「は…い…」



どうしよう。



大好きな兄さまの言葉なのに、ちゃんと頭に入ってこない。




ちゃんと聞きたいのに、入ってこないんだよ。





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