表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/154

46.試験と魔術大会

12の月の二週目に、後期の試験が行われた。

試験結果は長期休暇に入る前の修了式の日に発表され、学年が上がった来年席順が動く。


試験日は2日間で、この期間学園は午前中だけで終わるのだが、マリアンナだけは忙しかった。

答え合わせをする間のないように、その日の午後すぐに『アイリス』として試験を受けなければならず、即座に寮にもどり王太后様の離宮に転移し着替えて試験に臨んだ。


離宮の一部屋を借りて受けたのだが、派遣されてきた試験官がエドガーだったことだけが良いことだった。

『アイリス』の教育がしっかりと行われている証拠が必要とはいえ同じ日に二度全く同じ試験を受けなければならないのは苦行でしかない。


その後の2日間は1年生は特別休暇、2年生から上は3~4日にかけて試験がある。

マリアンナはここで休めると思ったら大間違いで、3、4日目は朝から晩まで上の学年の試験を受けた。


なんでも1年生の試験結果をすぐに採点した結果、もっと上の学年の試験でも解けるのではないかという話になったらしい。

『アイリス』の年齢は公表していないため、試験で大体の年齢の予測をつけようとしたのかもしれない。


来年受けるはずの試験を先に受けてしまって大丈夫なのかとエドガーに確認すると、毎年試験内容は変わっているので問題ないそうだ。


という訳で4日間みっちり試験を受けたマリアンナは疲労困憊していた。




***



「魔術大会…ですか?」

「ああ。6・7年生の決勝がある。

最後まで残ったんだが相手のチームに兄上がいるんだ」

「おお…王子対決ですか」

「7年生は最後だから気合が入っている。

気を抜くとやられるぞ」


本日は試験お疲れさま会ということで、『アイリス』の私室にクラウディオとアレクシスが来ていた。

私室といってもマリアンナにとっては客室のようなものなので招いた感じはない。


ソフィアも誘ったのだが、試験の自己採点が悪く家庭教師に勉強させられているそうだ。

王女に相応しい教育というものがあるのだろう。


「決勝ということは予選もあったんですか?

全く知りませんでした」

「ああ。1年生はまだ関係ないから無理もない。

魔術大会は2・3年生、4・5年生、6・7年生に分かれて魔術を競うんだ。

1年生は魔術に慣れない平民もいるから含まれない」


とはいっても5年生以下は前期のうちに決勝まですべて終わるそうだ。

実質メインは6・7年生の決勝大会になるらしい。


決勝大会のみ全校に公開され応援もできるようになっている。


ちなみに剣術大会もあるようだが、こちらは別日に騎士コース受講者のみで行われる。

どちらの大会も準決勝あたりから城の人事担当者などが見学に来るようで、就職希望の7年生はかなり気合が入っているそうだ。

資格試験結果も併せて判断するのだろうが、実技を見られる貴重な機会であるため引き抜きの判断材料になる。



「クラウディオ様も予選を勝ち抜いてきたんですよね?

全然知りませんでした」

「…メンバー戦だからな。予選は一度も出ていない」


なるほど。

これまで話にも上がらなかったはずだ。


「来年からはマリアンナも関係してくるな」

「ですが『マリアンナ』は魔力が少ない設定なので役には立たない気がします」

「設定…」

「マリアンナの本来の魔力は私と同じくらいかそれ以上あると思います」


アレクシスが顔色を変えた。

マリアンナがアイリスだということが知られた以上、その辺りの事は隠さないことにしたのだ。


「将来殿下に側近に引き抜いてもらわなければならないので、他の人には秘密にしてくださいね」

「確かに他の者に目をつけられたら面倒だ。秘密にしよう。

…お義兄さまにねだってみろ」

「兄上、マリアンナに妙なことをさせないでください」


「ふん。…先ほどの話だが、魔力量については適材適所だ。

予選の中では少ない魔力で繊細な魔法を使うようなものもある。

団体戦だからアイリスが役に立てる場面もあるはずだ」


「決勝はどんな感じなのですか?」


「下級生は違うが、6・7年生は代表者が一対一で勝負する」

「やはり兄上が代表なのでしょう?」

「当然だ。6年はお前だろう」

「当然です」


クラウディオとアレクシスが目を見合わせて不敵に笑う。


「…どのような勝負なのですか?」

「魔法のぶつけ合いかな」

「怪我しませんか?」


マリアンナは途端に不安になった。


「7年生の研究発表も兼ねているからな。

薬学を受講している学生が薬をたっぷり準備してくれているはずだ」


どうぞいくらでも怪我してくださいという訳か。


「お二人とも、応援はしますが治せないくらい酷い怪我はしないでくださいね。

かすり傷程度が望ましいです」


「心配してくれるのか?アイリスは可愛いな」


マリアンナはアレクシスに頭を撫でられた。

どの辺が可愛かったのか全く分からない。


「兄上、気軽に触らないでください」


「全くクラウディオは煩いな。

…そうだ、勝ったほうがアイリスから頬に口づけをしてもらおう」


「「はい?!」」


アレクシスがとんでもない提案をしてきた。


「勝っても負けても恨みっこなしだ。

異論は許さん」



大変横暴である。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ