デート最終回 彼の車で1泊2日 その6
「花織さん、毎年来てるなら、別の場所か、宿が良かったんじゃないですか?」
「最初私もそうしようと、他を検討していたが
母にな、脅されてな・・・」
お、脅されるって・・・どんな親子関係なんですか
「なんて?」
鹿島さんが興味津々だ
「もし、私が城崎に来ているというのに
自分の宿に泊まらなかったら、おばさまどうするかしらねぇ
なんて言うんだよな
母は、彼女の妹でな、姉の怖さは身に染みているとのことらしいぞ」
なんか、以外だ、花織さんにも苦手なこととかあったんだ
「それは、怖いなぁ
身内こそ、扱いは慎重に、だな」
うんうんと頷く鹿島さん、鹿島さん家もそうなのかな・・・
「お前は、平和そうだな」
と、鹿島さんが僕を見る、平和っていうか・・・まぁ普通ですよね
「そこは、平和だな、なんせ、姉妹のような親子関係だからな」
ちょっと、花織さん!
今のは聞き捨てなりませんよ!
「姉妹って、なんですか、僕の性別なんだと思ってるんですか!」
「「一応、男」」
ハモって2人がそう言う
「いやいや、一応じゃなくて、おーとーこーです」
「しかし、なぁ・・・」
「ねぇ・・・」
2人が顔を見合わせて言う、その顔には、姉妹でいいんじゃん
って書いてる気がする
「私より、可愛い性格で、母親似」
「ちょっとした、行動が愛おしい」
「どんなんですか!それ、夢みてます!絶対」
僕は、
「いーや、事実だ」
「知らぬは本人ばかりだ」
あくまで食い下がらない、2人に僕は宣言する
「今晩の酒代、2人持ちですからね!」
その途端2人から爆笑
「幾らでものめ!」
大爆笑のあと、花織さんが、浴衣に着替えてこい
風呂巡りにいこうと、いったので、荷物を置いて
僕らは、浴衣に着替え始めた
しゅるしゅると、布擦れの音をさせて、鹿島さんは
さっさと着るけど
僕は、ちょっと困っていた
えーと、これでよかったけ・・・どっちが前だっけ・・・
うーん
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と、内心呟いて僕は
鹿島さんに声を掛ける
「鹿島さん、こんな感じで良かったでしたっけ・・・」
くるりと振り返ると、鹿島さんは、笑いをこらえた顔
「良くない、ぜーんぜん、良くない」
そういうと、笑いの壺に填ったのか、またしても大爆笑
「入るぞ」
返事を待たずに、花織さん登場
「・・・ぶはっ」
そして、花織さんも爆笑の渦に巻き込まれる
「な、直してやるからこっちこい」
ぷるぷると笑いの中、手招きする鹿島さん
「いやぁ、死人になるぐらいなら、想定内だったが
まさか、ここまで
つか、お前花織さんと同じで、女物着るか」
だーれーが、女物きますかっ
母と同じこと言わないでください
「嫌です」
きっぱり断ると、花織さんが、残念と手に持っていたものを投げつけてきた
いやいや、ちょっと、投げないで下さい
「室内でいる時は、それな!」
いやいや、どんないじめですか、それ
っていうか、なんで、用意されてるんですか
「ほい、できた」
きゅっと、裾丈もそろえて、鹿島さんは着せてくれた
なんか、長いんですよ、僕の浴衣
別に、背が小さいとか、そういう訳じゃなくて・・・
「毎回、着せてやるから、遠慮なく脱げ!」
いや、その宣言入りませんから・・・でも・・・
湯巡りには浴衣必須
ちくしょぅ・・・
「・・・よっよろしくおねがいします!」
ぶすくれた顔で、いうと、2人してにやにや
「男になりたい、と、久々に思ったぞ・・・」
ぼそり、と花織さんが呟いた
あれ、30話で・・・終わるのか?と、だらだらと旅先を続けてます、やはり終わるのが寂しいのかな・・・まぁ、でも、あともうちょっとです、おつき合い頂けると幸いです!




