デート最終回 彼の車で1泊2日 その5
「ついたっとな」
ばんっとドアを閉めながら鹿島さんは、車から降りて
うーんといいながら背伸び
天橋立から、3時間ぐらい走ったところで、城崎に到着
時刻は、4時
予定時刻よりちょっと過ぎたけど、
天橋立にあるお寺や、天橋立の砂浜を歩いていたら
予想以上に時間がかかってしまったのだ
行きはよいよい、帰りは辛いといったもので
行きは、対岸まで歩いたのはいいが、帰りは、小走り
これじゃぁ時間に送れると社会人らしく
宿入りの時間が気になって、ダッシュ
日頃から運動していそうな鹿島さんは、何食わぬ顔・・・
いや、むしろ爽やかな顔をしてたけど
日頃運動してない僕と、たぶんしてない花織さんは、
若干疲労困憊
3時間の移動時間にすっかり寝てしまっていた
「すいません、寝ちゃいました」
そう謝ると
「いやぁ、何時寝るか、逆に楽しかった」
は・・・それは、どういうことですか
なんですか、そのにやにや顔は
僕の表情が変わったことに気付いた鹿島さんは
昼飯処でやったように、むにっと僕の頬を掴むと
「ぐーらぐら前後左右に揺れてるわ
かくっと落ちて、ぷるぷる頭は振るわ
何時寝てもおかしくないのに、頑張ってるやつがいてさぁ
もう、笑いを堪えるのに
逆に運転に集中できなかったな」
なんて、言われた
恥ずかしいなぁ、たしかに、ぐらぐらしてた記憶も
かくりと落ちた記憶もある
花織さんはどうだったんだろう
「ん、彼女か?」
僕が花織さんをみたのに気付いて鹿島さんは笑う
花織さんは、自分の荷物を取り出して、
僕らのこの会話には気付いてないみたいだ
「彼女は、眠そうだなぁと気付いた時
バックミラーで目があって、じゃおやすみって感じに手を挙げられて
寝てたぞ」
す・・・スマートだ、動きがスマートだよ
「さてと、中いくか」
鹿島さんが、荷物の準備の終わってような花織さんに話し掛ける
やっぱり女の人なんだなぁとこういう時思う
荷物が多い
「1つ持ちましょうか」
僕がそういうと、若干嫌がるそぶりをみせたあと、
何かを思いついて、任せると渡してきた
まぁ、僕の荷物は1つだしね
花織さんは3つ・・・何入ってるのか逆に気になります
「ようこそいらっしゃいました」
仲居さんたちが、先ほどから並んで待ってた
一斉にお辞儀をさせると、思わずお辞儀を返したくなる哀しいサラリーマン
ん、むしろ小市民というべきなのかな
「予約していた、花織だ
よろしく頼む」
花織さんが、名前を聞きたそうな仲居さん
ううん、女将さんなのかなに答えて、ようこそいらっしゃいました
お待ちしておりました
と素敵な笑顔で対応されていた
男1部屋、女1部屋
流石に、部屋を分けてのお泊まりだけど
部屋で食べられるので、僕ら男部屋で食べたりすることになった
女将さんから、部屋の説明を受け
ころころと笑うように、一緒にお泊まりになればよろしいのに
なんて、言われてる
相手が二人もいては身が持たないから、な
なんて、花織さんもジョークで答えてる
あれ?普通女将さんってこんな繊細な質問するっけ・・・
「ああ、申し遅れましたわ
私、この子の親戚なんですよ」
僕らの視線に気付いて、女将さんは言う
「この子ったら、年頃も良いところなのに
毎年来ては一人で泊まって帰るなんて、もう情けないことしてたんですのよ
殿方の1人や2人連れてらっしゃい
って言ったら、そんなのは居ないだの、面倒だだのと
女の子らしくない事ばっかり言うんですの」
嬉しそうにころころ笑って女将さんは
僕らをみて言う
「それが、殿方を2人も
どういう関係かなんて野暮なことはお聞きしません
しっかり、遊香と遊んでやってくださいな」
そういうと、すっと、扉を開けた
「離れの2間、ご用意いたしました
遊香ちゃん、今回は特別よ」
そう言って、女将さんはつん、と花織さんをつつく
「ここは特別室でな、
料金は据え置きで、この部屋を提供してくれるらしい
ちなみに、部屋は一応別だが、鍵はかからん」
「そりゃぁ、魅力的な条件だな」
鹿島さんが笑って言う
「この子、寝起きが悪いから気をつけてね」
ころころ、女将さんが笑う
それからは、女将さんの館内や施設の説明
お茶を頂きさーて温泉三昧だ!
と、いうことで、やっと宿入りですー、温泉街らしい雰囲気がある城崎、私は好きですねえ、時期がいいと蟹がめっちゃうまいしvしかし、花織さんたちが泊まるような場所にはきっと泊まれない・・・かな?




