大きな川沿いを後輩と二人で歩く
次の日。駅の北口で、僕は待っていた。
駅前を歩く人は目的意識がありそうな人ばかりだ。
時間を気にしたり、誰かと電話していたり、誰かを待っていたり、電車の先発、次発が表示される掲示板を気にしていたりする人が見られる。
そういう僕も誰かを待っているのには当てはまるけど、別にその誰かと何をするかは具体的には決めていない。
だから目的意識はないってことになると思う。
それでも、早く流杏が来ないかな、と思っていた。
だから遠くに流杏がいるのもすぐ見つけたし、流杏も、僕の方へすぐに向かってきた。
「おはようございます。先輩早いですね」
「まあちょっと早起きしたくなったのもあって余裕持ってきただけだよ」
「そうですか。私から言い出したのにギリギリ到着でごめんなさい」
「ううん、大丈夫」
僕と流杏は次の電車が何分後かも気にせず、改札を通り、下り方面の一番ホームへと降りた。
ここからどこへ行こうか、と考えたけど、それを考えずに遠くに行く方が今日はいいのかな?
よくわからない。
流杏を見ると、なんだか遠足を楽しみにしているお姉さん系小学生みたいだった。
そうだな、遠くっていうのはあくまで感覚的な話で。
大事なのは楽しそうなところに行くことかもしれない。
楽しそうなところ……。ここから数駅上りには遊園地があるけど、そこはもう何回かは行っだことがある。
流杏とはないけど、流杏は流杏で、行ったことがあるはず。
やっぱり、下りホームにいるんだし、海か山まで行きたい。
景色もすごく良さそうだし。
大雑把な僕の目的はたった。
よし、次は流杏にきいてみるか。
どこに行きたいか。
「流杏は、どこに行きたいとかある?」
「ごめんなさい。ないです。でも行ったことのないところなら、私はきっと楽しいです」
「なるほど、行ったことないところって、僕たちにとっての遠くかもしれないし、なんか新しいことを思いつくかもな」
僕はうなずいて、そしてその時、電車の到着のアナウンスが鳴った。
「あ、このままいくと、海まで行く」
行き先の駅を聞いて、僕はつぶやいた。そして、
「じゃあ……これにずっと乗っていく?」
そう提案した。
「いいですね。あ、でもそれだと少し面白くないので、私と先輩の年齢の数だけ、駅を進んでみませんか?」
「つまりは……16駅?」
「ですね」
僕も流杏も今は16歳だ。誕生日が僕は12月で、流杏は5月。今は10月だ。
なんだか気ままなすごろくみたいだ。
たしかにいいな、それ。
僕と流杏は、16駅進んだところで降りることにした。
16駅進んだところは、中途半端な住宅街だった。
でも、海までもうすぐの、大きな川があった。
その川を僕と流杏は下流へと向かって歩いていた。
「この川、学校の坂の下を流れてるのと、おんなじ川だ」
「え、ほんとですか?」
「ほら、看板が」
「あ、ほんとですね」
流杏や僕がいつも渡っている川よりも大分大きい。
いろんなところから水が集まって、もうすぐ海なんだからそうか。
でも、なんとなく、ここのあたりなら絵が描けるかもしれないと思った。




