095 海魔神
『ユイトくん、こっちのモンスター達は大体片付いたわよ、そっちにお手伝いに行きましょうか?』
メリッサの念話が聞こえる、あちらも戦いが終わった様だ。
『いや、俺の方も今終わった所だ、1人逃げられてしまったけどな』
『主さま、一回私達を憑依させて、歩いてそこに向かうのはしんどい』
横着なヤツめ、しかしここからアイギス達が戦っていた場所までは少し距離がある、無駄に歩かせる事も無いだろう、俺は頭の中で『憑依』と呟き4人を呼び寄せた。
『ありがとうございますユイトさん、残すはあの大きな怪物だけですね』
「あぁ、海魔神って名前らしい、海竜様が苦戦している、急いで向かうから皆はそのまま憑依しておいてくれ」
海竜様の方を見るとやはり海魔神へと攻めあぐねていた、早く加勢に向かおう。
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海竜様達が戦っている海域に近づくにつれ波が高くなっていく、2人の巨体のせいだろう。
「海竜様!加勢に来ました!サクヤ達も一緒です!」
海竜様はブレスを吐き終わり少し休憩をしている様だった、海魔神から距離を取り佇んでいたところへ接触する事が出来た。
「そちらは片付いた様だな、すまないが手こずっている、ヤツに我の攻撃がまるで効かないのだ、昔戦った時よりも明らかに強くなっている」
「海魔神は偽核って物が埋め込まれ強化されている見たいです、俺が戦った魔族が言ってました」
「ふむ…海魔神のヤツから魔の気配とは少し違う、何か歪な力を感じていたがその偽核とやらの仕業だろう、酷く不自然な気持ちの悪い力よ」
パフィン村で謎の少年に知らされた偽核の存在、埋め込まれた者の持つ力を強化する効果だった筈だ、改良が必要だと言っていたが海魔神に埋め込んだのも実験の為なのだろうか。
「とにかく攻撃を仕掛けるしかありませんね、俺も微力ながら力になります」
近づくと改めて海魔神の巨体に圧倒される、普通の攻撃でダメージを与えられるとは思えない。
「気持ちは嬉しいが其方の攻撃がヤツに効果があるとは思えない、大きさが違いすぎる」
「えぇ、でも指を咥えて眺めてる訳には行きません、あんな巨体ほったらかしていたらザラキマクが…いや世界が滅茶苦茶になってしまいます」
ジーは海魔神が理性を持たないと言っていた、そんな存在が野放しになっているだけで世界の危機だと考えていいだろう、確実にこの海で仕留めてしまわなければ。
「それに俺には奥の手があります、サクヤ、鬼神降臨を使う、いけるか?」
「勿論です、普通に戦って倒せる敵じゃ無さそうですし早速鬼神化しますか?」
「あぁ、海竜様、これが俺の、いや、俺達の力です」




