078 ザラキマク防衛戦

「魔法部隊は全員で詠唱開始！もう少しヤツらを引きつけるんだ！」

ザラキマクの港にクラブさんの号令が響く、モンスターの大群は港から視認できる程にまで近づいていた。

「クラブさん、俺の仲間をここに置いて行きます、3人の力はさっき説明した通りです」

観測班の連絡を受けた俺達魔法部隊は港へと移動し迎撃布陣を展開した。

「うむ、サクヤ君達には魔法部隊と一緒に戦ってもらう事にする、ユイト、君は本当に最前線へ行く気か？」

「ええ、出来るだけヤツらを食い止めます、俺の力を1番発揮できるのは接近戦です」

「ユイトさん、無理はしないで下さいね、何か有ったら念話で教えて下さい」

「心配するなって、サクヤ達はクラブさんの指示に従ってくれ、それじゃあ行ってくるよ」

俺はサクヤ達を後にして駆ける、最前線では重武装した騎士達が盾を構えて横一列に並んでいた。

「ここでモンスターを食い止めるんだ！各員覚悟を決めろ！1匹たりとも後ろへ通すな！」

最前線の指揮官らしき騎士が仲間達に檄を飛ばす、俺は騎士の頭上を跳び超え隊列の前へ着地した。

「そろそろ間合いだな…取り敢えず挨拶代わりだ！『真空波』！」

モンスターの先兵目掛け真空波を放つ、数匹の半魚人の様なモンスターが血飛沫をあげながら吹き飛んだ、それが戦闘開始の狼煙となった様で背後から色取り取りの魔法が海へと放たれた。

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海上のモンスターの背を飛び移りながら出鱈目に真空波を放つ、狙いを付けなくても周りは敵だらけだ、モンスター達も俺を脅威と判断したらしく襲いかかってくる。

「そんな攻撃当たるかよ！『旋風』！！」

巨大な蟹の様なモンスターを足場にしている俺を目掛け半魚人が一斉に飛びかかってきた、旋風を放ちつつその場から退避する、敵は全身を切り刻まれバラバラになる。

「キリがないな…まだ上陸は許していない様だが敵の数が多すぎる」

モンスターの背を渡り一旦港へと戻った俺は周囲の状況を確認した、未だ最前線は突破されていない様だ。

『ユイト、クラブさんが魔法部隊の一斉攻撃を撃つから一旦引くようにっと言ってるわ』

『大丈夫だ、今は港に戻ってる、いつでも撃ってくれ』

何度目かになる魔法部隊の攻撃が一斉に海へと放たれる、魔法の中に巨大な火球が混ざっていた、アレはサクヤの鬼火だろうか？

『サクヤ、あの巨大な火の玉はお前の攻撃か？』

『はい、『鬼火参式』です、使いどころの難しい攻撃ですけど威力はバツグンですよ』

火球はゆっくりと進みやがて海へと着水した、その瞬間海から巨大な水柱が上がり辺りに水蒸気が立ち込めた。

「おお…とんでもない殲滅力だな、全員茹で上がっているぞ」

水蒸気が晴れると火球の着水した場所を中心に大量のモンスターの死骸が漂っていた、蟹型のモンスターなんて美味しそうに真っ赤に茹で上がってるぞ。

「チマチマ戦っていても埒があかない、俺も大技を試してみるか」

モンスターの死骸を足場にし俺は再び海上へと向かった。