049 ヒルマイナの森
「ガルの村ってやっぱりエルフが多いのか?」
「そうだね、たまに兄ちゃん達みたいな旅人や商人なんかが来るけど住んでるのはエルフだけだよ」
「エルフさん達の村ですか、どんな村か楽しみです」
アイロンスティールではエルフを見かける事はあっても知り合いになる機会は無かった、ビズミス討伐の宴会で話しかけてきたエルフが何人かいたくらいだ、そう言えばあのエルフ達も肉を食っていたな。
「何も無い村だけどいい村さ、パフィン村って言うんだ」
「パフィン村ねぇ、ちょっと待ってろ」
街道に戻った俺はアイテムバッグから街で買った地図を取り出しパフィン村を探す、店で1番高い地図だけあってかなり詳細な地理が描かれている。
「え~と、あった、ここか?」
俺は地図に描かれていたパフィン村を見つけガルに見せる。
「川がここにあるから丘を目印にして…、わかった!この近くに川があるからそれを辿れば村に着くよ」
「そうか、ひとまず川を目指そう」
川を見つけて上流を目指す、道中ガルはしきりに街の話をせがんできた、街へ行った事が無いそうだ。
「パフィン村には店がないのか?」
「うん、普段はみんなで畑を耕したり、狩りをして暮らしてるよ、商人のおじさんが来たら魔石と商品を交換してもらったりはするけどね」
「私そういう生活に憧れます、自給自足って感じですね」
「いつか旅が一段落ついたらそんな生活をするのもいいな」
「その時は兄ちゃん達ウチの村においでよ、きっとみんな歓迎するよ」
何となく元の世界の知識でエルフは排他的な種族だと思っていたがこの世界のエルフは違う様だ、ガルを見ていると判る。
「ガルはパフィン村が大好きなんだな」
「うん!村のみんなが大好きさ!」
ガルは満面の笑みを浮かべ村の話をする、本当にいい村なんだろう、楽しみになってきた。
「そこの3人!ガルから離れて下さい!」
突如俺達の近くの木に矢が刺さる、声の方を見ると美しいエルフの女性が俺達を睨み付け弓を構えていた。
「今のは警告です、次は…その、狙います!当たると痛いです!」
いまいちサマになって無いぞ、なんかアタフタしてるし、多分悪い人じゃないなこの人。
「俺達はこの子を村に送っていってるだけだ!何もしていない!」
「嘘をついたらダメですよ!違うなぁ…、嘘をつくな!、ウチの弟をどうするつもりですか?」
「姉ちゃん!やめてくれよ、ユイト兄ちゃん達は迷子のオイラを助けてくれただけだよ!良い人達だ!」
ガルが俺の前に飛び出て女エルフを説得する、それを見た女エルフは弓を降ろしこちらへ近づいて来た。




