338 再会の食卓
「ここなら大人数で集まっても余裕がありますね。流石にこの人数であの部屋のままじゃ手狭でしたからね」
俺が幽閉されていた部屋から会議室の様な部屋へ移動するとそこには食事が用意されていた。捕らえられていたのはほんの2、3時間だったが時間は既に夕飯時、日中ずっと飛翔の力を使い移動し腹ペコの俺にはありがたい心遣いだ。
「シノーペさんでしたっけ?昼食も食べて無かったのでお腹が空いてしまってました。ありがたくご馳走になりますね」
「お礼などとんでもありません。何度も貴方は自分が魔族では無いと主張してたのにロクに話も聞かずに捕らえてしまって…」
「私らもさっき港に着いて夕飯はまだだったんでご馳走になって構わないかい?」
「勿論でございます。この様に粗末な食事で公爵夫人様の口に合うかは分かりませんがそれでもよろしければどうぞ召し上がって下さい」
机の上に並べらているのは海の幸が盛り沢山のシチューの様なスープ、これまた海の幸であるエビや小魚と思われるフライ。港なだけあって海産物メインの料理だ、シノーペさんは粗末な料理だと卑下していたが俺にとっては十分豪華な食卓だ。
「ユイトさん…私はもう限界です!これ以上美味しそうな料理を前におあずけは我慢できません!」
「こらサクヤ、気持ちはわかるけど色々話をしないといけない事があるだろ?」
「はっはっは!アンタ達は相変わらずだね。まぁ話は食事をしながらでも出来るさ。折角の料理も冷めちゃ台無しだ」
「私めがお取り分けしましょう。ルメス、良かったらお前も手伝ってくれないか?」
「うん、なんだか師匠とこうやって一緒に食事をするのも久々だね。へへへ…なんだか嬉しいけど少し恥ずかしいや」
ペーギさんとルメスさんが全員分の料理を取り分けてくれる。ルメスは心なしか普段より少し子供っぽく見える。
「で、大体の察しはつくけどアンタ達はなんでこんな場所にいるんだい?ドラゴンロックでシグマ達に合流できたところまではオウルがラオ…陛下に送った手紙で把握してるんだけどさ」
2人が料理を取り分ける光景をぼんやり眺めていたらふいにラッカさんから話しかけられた。国王様の事を呼び捨てにしそうになったがこの場にはシノーペさんがいる事を忘れてかけていたみたいだ。
「えぇ、その事なんですが何から話せばいいか…ドラゴンロックでは色々ありすぎて…」
あの山で起こった事を全て話すとそれだけでかなりの時間が掛かってしまう。ここは大切な事から順に説明するとしよう。




