031 リード傭兵団
「いでぇぇぇ！！拳が！拳がぁぁ！」
俺を殴り付けた男の拳が自分の血で真っ赤に染まっていた、骨が肉を突き破った様で指の骨が見えいる。
「これでチャラにしてくれる約束だったな？それじゃあ通らせて貰うぞ」
何が起こったのか分からないのだろう、周りの男達は少しの間惚けていたが、やがて1人の男が怒号をあげる。
「ふざけやがってクソガキがぁ！ぶっ殺してやる！」
その言葉が開戦の狼煙となった。
「主さま、私達も戦う」
「いや、俺1人で十分だ、2人は憑依してくれ」
「わかりました、見学してますね」
『憑依』と頭の中で呟く、その瞬間2人の姿が光になりそれぞれの憑代に宿る。
ここ最近でサクヤとアイギスは俺の意志で憑依と実体化を自在にできる事が分かった、安眠の為に憑依させたら次の朝凄く機嫌が悪くなったので本人の意志を尊重すると約束したのはご愛嬌だ。
『背後から2人来ます、気をつけて下さい』
咲夜を抜刀し背後から襲い来る敵を峰打ちで吹き飛ばす。
『左の建物の屋根、弓で狙ってる』
アイギスの声を聴くと同時に飛んでた矢を掴み射手の肩へ投げ返した、矢は深々と突き刺さり男が落ちてくる、戦闘不能だろう。
一瞬で3人の仲間を失った事で男達の中に動揺が広がる。
「安心しろ、殺してはいない、大人しく通してくれるならこちらからは攻撃しないがどうする？」
尻込みする男達、戦意は衰えたが後一押し必要だろうかと考えていると冒険者ギルドから2人の男が出てきた。
「お前達何をしている！商談の邪魔だ！ぶっ殺すぞ！」
身長2メートル程はありそうな筋骨隆々のスキンヘッドが叫ぶ。
「すみません団長、しかしこいつが無理矢理通ろうとしやがって」
「言い訳は聞きたくない、俺は誰も建物に近づけるなって命令したよな？なんで命令違反してるんだ？んん？言ってみろ？」
スキンヘッドの男は仲間が腰に付けていたナイフを抜くと仲間の肩をナイフで抉りながら尋問を始めた。
「ぐぁぁっ！痛ぇ！許して下さい！すみませんでしたっ！」
男はナイフを仲間から引き抜くと俺の存在に気付きこちらへと近づいてくる、見た目以上に大きく見える、強者特有のオーラとでも言うのだろうか、この男は間違いなく強い。
「お前がこいつらをやったのか？」
俺が戦闘不能にした仲間を見渡し男がたずねてくる。
「ギルドマスターに用があるんだ、コイツらが邪魔で通れなかったんでね」
「お前強いな、俺は強いヤツは大好きだ、いいねぇ、久しぶりだこんな気持ちになるのはよぉ」
男は背負っている身の丈程ある金砕棒に手をかける、金砕棒には無数の星が刻まれていた。
「俺はリード傭兵団の団長のリードって言うんだ、お前の名前は何て言うんだ？」
「ユイト、只の旅人だ」
