307 レブの下僕達

「レブ！助けに来てくれたのか！？」

「遅くなり申し訳ありません。しかしコレは…」

「ペッ！なんだこの糸は！あぁムカつく！朱雀！俺ごとこのウザったい糸を燃やし尽くせ！」

レブの使役した蜘蛛の様なモンスターは絶命する際周囲へ大量の糸を撒き散らした。鬼ぃさん…いやユイトはその糸を全身に浴びて身体の自由を奪われたに思えた。

「自分に向けて朱雀を？そんな事したら普通タダじゃすまないんだけどね…」

「ハハハハハ！これでどうだ？あんなクソザコのクセに面倒くせぇ事しやがって！」

炎の中からユイトが姿を表す。信じられない事にダメージを負った様子は無い。

「本格的にバケモノですね…カイト様、やはり彼に偽核を？」

「その通りだ…失敗したよ。まさかこんな事になるなんてね…」

「スチールスパイダーの糸なら少しは動きを封じられると思ったのですが…あの糸は鋼より固く熱にも強い。例え相手がドラゴンでも一度絡みついた糸から逃れるのは困難です」

「ん？お前があのモンスターを俺にけしかけたのか？残念だがこの程度じゃ時間稼ぎにもならないぜ」

ユイトがレブの存在に気付いた。まるで新しい玩具を見つけた子供の様な笑顔でレブに歩み寄る。

「お気に召していただけましたか？私はモンスター共を下僕として操る術に長けておりまして…今のはほんの挨拶代わりでございます」

「中々良い挨拶だったぜ。他にも玩具があるなら出せよ。全部ぶっ壊してやるからさ」

「それはそれは、なんとも物騒な事をおっしゃるお方ですね…壊せるものなら壊してみせなさい！行け！下僕共よ！」

レブがその手を頭上に掲げると空間のあちこちに歪みが生じる。歪みから現れたたのは大小様々な姿形をしたモンスター達。その数は軽く100体を超えている。

「こいつは豪勢だな！お前気に入ったぜ！褒美にお前は最後にぶっ壊してやる！」

「それは遠慮しておきましょう。これだけではありません！」

更に大空洞の闇の奥から無数のモンスターがユイトへと襲いかかる。きっと向こうでユイトの仲間達と戦っていたモンスターの生き残りだろう。待てよ？レブがモンスターを引き連れて僕を助けに来たと言う事はレブはユイトの仲間達に勝ったのだろうか？

「アンタがカイトね？ユイトの意識は今モンスター達に集中してるわ。今の内にコッチに来なさい、私の仲間がアンタを治療してあげるから」

「君は…確か狩猟神の耳飾りの？」

いつの間にか僕の側に気が強そうな赤髪の少女が立っていた。少女は怒りの表情で僕を睨みつけながら強引に手を引っ張り僕を立ち上がらせる。

「いいからさっさと来る！本当はユイトをあんな風にしたアンタなんか助けたくないんだからね！もしユイトが元に戻らなかったらタダじゃおかないんだから！」