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304 鬼神暴走

冷酷なユイトさんの言葉が私の脳に響き渡ります。その言葉で私の抱いた疑惑は確信へと変わりました。今のユイトさんはユイトさんであってユイトさんではありません。


「へ…僕を殺すの?僕はNPCじゃなくて鬼ぃさんと同じ日本人だよ?」


「それがどうした?俺はお前が気に喰わない。気に喰わないヤツは皆ぶっ殺す」


カイトが自分が何を言われたか分からず混乱した様子で語りかけます。いけません、今のユイトさんなら本当にこのままカイトを殺してしまうでしょう。


『やめて下さいユイトさん!今カイトを殺してしまえば必ず後でユイトさんが後悔します!目を覚まして下さい!』


暗闇の中に私の叫び声が虚しく響きます。このままでは私の知っているユイトさんが居なくなってしまう。そんな予感がするのです。


「さぁ、そろそろ決まったか?特に希望がないなら全身バラバラに切り刻む事にしよう」


「イヤだ…イヤだイヤだイヤだイヤだ!僕はまだ死にたくない!レブ!僕を助けろ!」


駄々をこねる子供の様にカイトがユイトさんへ石を投げつけます。その1つがユイトさんの頭へと命中してしまいました。当然今のユイトさんがこの程度の攻撃でダメージを負う事なんてあり得ないのですが。


「…おい、お前今何をした?」


「ひっ!ごめんなさい!まさか頭に当たるなんて思いませんでした!許して下さい!」


「けるな…ふざけるなよ!このクソガキが!決めた!お前は楽には殺さない!嬲り殺しだ!」


カイトの投石が命中した事でユイトさんが激昂してしまいました。地面に座りこんだままのカイトのお腹に強烈な蹴りを放ちます。


「カハッ…」


「オラッ!どうした!?お前も俺と同じく鬼神の力を身に宿してるんだろ!この位で血なんて吐いてんじゃ無ぇ!ハハハハハ!」


鬼神刀咲夜を使う事なく素手でカイトを痛めつけるユイトさん。もうこれは既に戦いなんかじゃありません。


『ダメです!ユイトさん!もう辞めて下さい!こんなの…こんなの私の好きなユイトさんじゃ無いです!』


「クッ…頭が…今の声は一体?」


『ユイトさん!?私の声が聞こえますか!?今すぐそんな事を辞めて下さい!』


「そうか…サクヤか…お前が邪魔をしたのか…分かった。コイツが終わったら次はお前の番だ。お前だけじゃない、アイギスもテミスもメリッサもルメスもルナも!!邪魔をするなら皆殺しだ!」


『今のユイトさんはユイトさんじゃありません!貴方が間違った道を進むなら私は命懸けでそれを止めてみせます!』

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