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175 窮鼠

トーラに追いつく事が出来た、護衛の兵士の姿は無く辺りには兵士達の物と思われる武器が散乱している。


「貴様は!?儂を捕らえに来たのか…という事はあの化け物も貴様には敵わなかったと…」


「元はお前の仲間だったのに化け物とは酷い言い草だな、観念しろ、もうお前は逃げられない、大人しく裁きを受けるんだ」


「裁きを受けるだと!?儂はこの国を愚王の悪政から救おうと立ち上がったに過ぎぬ、どうだ?お前…其方らは腕が立つ、儂と共にこの国の為に戦ってはくれぬか?」


驚いた、まさかこの期に及んで俺達を勧誘してくるなんて、自分の保身の為にここまで厚かましくなれるとはある意味尊敬に値する。


「あのなぁ…一応参考までに聞いておくけどお前はどんな国を作りたいんだ?」


「聞いてくれるか?今の国王は平民どもを甘やかし過ぎている、平民とは元々王族や貴族の為に生きるのが役目の筈、儂は平民どもにその事を思い出させ貴族が貴族らしく生きていける国を作るのだ!」


「つまりお前達貴族がやりたい放題する為に平民を奴隷の様に使いたいと?それが今回反乱を起こした理由か」


「もちろん儂に協力してくれるなら其方らも貴族として叙勲してやる、どうだ?一生贅沢な暮らしができるぞ」


小悪党にしか思えないがここまでの騒ぎを起こした張本人だ、もしかしたら何か信念が有っての事かと思ったがただ自分の利益を考えただけだったとは、救いようがない。


「もういい、続きは取り調べで聞いてもらえ、少しでも期待していた俺がバカだった」


「待て!贅沢がしたくないのか?立派な屋敷に旨い酒、高価な装飾品だって全部お前の物になるんだぞ!?それに女だって…」


トーラが何かを言いかけて嫌らしい目付きでサクヤ達を舐めるように見る、言いたい事は分かった。


「そんな目で俺の仲間を見るな、汚らしい」


「お前だってそんな綺麗所を揃えて女に興味が無いなんて言わせないぞ、全員お前の手つきに…ヘブッ!」


目にも止まらぬ速さで影に頬を叩かれたトーラが地面に倒れ込む、これ以上汚い声を聞きたくなかったのだろう。


「ユイト、こんなヤツもう縛ってしまおうよ、ついでに口も塞いでさ、師匠達が近くにいるから後は任せても大丈夫だと思う」


「そうだな、俺ももうコイツの顔を見たくない、確かロープがアイテムバックに入っていた筈だ」


「それならボクに任せてよ、捕縛術も師匠に仕込まれたから絶対に解かれない縛り方を知ってるんだ」


ロープを渡すと影は地面に倒れたトーラを縛り始める、その時トーラが一振りの短剣を胸元から取り出し…


「影!!トーラから離れろ!!」

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