57話 新生コユキとあれやそれ
エリアボスのインスタンスエリアから出て、花畑を少し進むと可愛らしい大きなキノコに囲まれたフェアリーサークルみたいな場所があった。あそこがセーフティエリアかな? 早速入ってみると、予想通りセーフティエリアだったので、地面に座ってみんなで一息つく。さてさて、早速お楽しみのコユキの進化先を確認するとしますか! メニューから確認してみると、どうやら3つの選択肢がある様だ。
・「ファングキラーアーミン」
鋭い牙で獲物を確実に屠る、中型のアーミン。その姿を見ただけで、周囲の生き物達は恐怖に戦慄する事だろう。
・「ワンダフルダンサーアーミン」
周囲を魅了する不思議な踊りを身につけた小型のアーミン。一度踊れば、魅了された生き物達が一緒に踊り出す事だろう。
・「スノウホワイトアーミン」
「スノウアーミン」がバランスよくそのまま進化した小型のアーミン。どの能力も満遍なく上昇する代わりに、大きな能力の向上はない。その身に秘めた力は未だ開花せず。
なるほど、【牙術】の物理特化と【舞踏】の補助特化、あとはバランス型か。うーん、コユキはあんまり魔法を使いたがらなかったからか【氷魔法】に特化した進化先は出なかったみたいだ。個人的にはそっち方面に進化して欲しかったけど、無いものは仕方ないな。さてと、どれを選ぼうか?
「ファングキラーアーミン」は、噛みつき攻撃を好むコユキに一番あってそうなんだが、説明を読むに何だか可愛くなくなりそうだな。しかも、詳細を見たら【氷魔法】が消えてしまうみたいだ! え、進化先によっては既存スキルが消えることもあるんだな。うーん、あまり使ってくれないとはいえ【氷魔法】が消えるのは嫌だな。
「ワンダフルダンサーアーミン」は、小型のままだし【氷魔法】も消えないみたいだけど、補助特化のためか「筋力」が大幅に下がるみたいだ。かわりに「知力」や「MP」は上がるみたいだけど、今のコユキの立ち位置を鑑みると微妙だなぁ。
……ここは無難にバランス型の「スノウホワイトアーミン」にしようかな。これだったら、特に今のコユキの戦い方を変える必要がないし、体の大きさもあまり変わらなそうだ。スキルも既存スキルに変動はなく、【韋駄天】という素早さ補正のスキルが追加されるくらいだ。
「よし、コユキ「スノウホワイトアーミン」に進化だ!」
「キュン!」
コユキの身体がポワポワと光に包まれ、進化が始まった! 初めての従魔の進化シーンに感動していると徐々に光が収まり、現れたのは……
「ん、んん? コユキ、進化、した、んだよな??」
「キュン?」
ヒョロリと長い真っ白な身体。つぶらな真っ黒い瞳に可愛い小さなお耳。ワンポイントのポツンと先が黒い尻尾。そう、体の大きさも見た目も今までと全く同じコユキだった。いや、よ〜く見ると前よりちょっとだけ白いような? ま、まあ進化は進化だな! 見た目は変わらずともステータスは変わっているだろう! ステータス画面を開くと、ちゃんと満遍なく上がっていたし、【韋駄天】スキルも増えている。
「進化おめでとうコユキ。これからも宜しくな」
「キューン!」(^ ^)
「ニャーン!」(^ ^)
「うぉわ! 待て待て待て、ミント! お前まで来たらっ、、ぐぇっ!!」
喜んでいるのか、飛びついてくるコユキ。そんなコユキを見て羨ましいのか、同じく飛びついてきたミント。いや、ミントお前は自分の体格を考えろ! もれなくミントの下敷きになってしまったので、モフモフの身体をなんとか押しのけて脱出する。はぁはぁ、リアルで大型犬とか飼ってる人の苦労がちょっとはわかった気がする……。
その後は、またミントに乗ってフィフローの近くまでいき、ミントとコユキを【リターン】で一旦返した後で町の中に入った。フィフローは人がごった返しており黒ローブでもあまり目立たずになんとかポータル前へ。ポータル転移でささっとフロストリザードマンの隠れ里に戻ってくる事ができた。ようやっと、フィフローまで来れたよ。他のプレイヤーと一応足並みは揃えられたかな? 早い人はもう次の町に行っているみたいだが、まだ一部の人達だけだろう。
まだ大丈夫だ! きっと! まだ、間に合うはず! そう、自己暗示しながら、とりあえず今日はログアウトする事にした。エリアボスも倒して、コユキも進化したし、もう少しミントのレベル上げをしたら「スノウワイバーン(手負)」に再挑戦だ!!
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次の日、家に帰ってきてからさっそくログインしようと思ったら、公式からのお知らせが出ていた。何々? お、秋イベントの発表だ! そろそろだと思ってたよ。それから……えっ?! 大型アップデートのお知らせ? なんと! うーむ、これはログイン前にきっちり見ておきたいな。よし、ログインは一時お預けだ! 読むぞー!!
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お知らせを読み込んで分かった事を整理しよう。いやー、色々ありすぎて、もうお腹いっぱいだよ。
まずは、お楽しみの秋イベントだ! 秋イベントは「秋の闘芸祭! 戦え! 作れ! 秋祭り!」とのこと。闘芸祭とは?と思ったのだが、闘技大会と芸術コンテストの事だった。なるほど、今回は戦闘系プレイヤー向けと生産系プレイヤー向けのイベントを別々にやるんだな。
闘技大会は、ソロ用とパーティ用の二つが、それぞれレベル無制限ランクとルーキーランク(レベル15まで)の計四部門で開催される。大会は再来週の土日の2日間で開催され、それまでにどれに参加するか一つ選んでエントリーするみたいだな。土曜日が予選で、日曜日が本戦だ。開催場所はポータルから転移できるイベントエリアの闘技場! 闘技場とか雰囲気出るなあ。
今はコユキとミントもいるからパーティ用の方に出てもいいんだが、自分の実力も試したいし、ここはソロ用のレベル無制限ランクに出場しようかな! そうと決まったら、早く試練クエストを終わらせて、フロストリザードマンに転生しなくては!!
次に芸術コンテスト。こちらは四つのテーマがあり、四つのうち一つを選び、そのテーマにあった作品を提出するものらしい。作品は、道具でも武器でも料理でも作物でも、生産系スキルで作ったものならなんでも良いとのこと。こちらも再来週の土日までに作品のエントリーをして、土曜日に予選(プレイヤー投票)、日曜日に本選(プレイヤー投票&運営側投票)になるらしい。ちなみに四つのテーマはそれぞれ「プリティ」「クール」「秋」「(*≧∀≦*)」だ。いや、なんで最後顔文字?! このテーマで何を作れと??!
エントリーできるテーマは一人一つらしいし、「(*≧∀≦*)」にエントリーするのは博打すぎるな……。自分も一応【料理】とか持っているし、何かしら作ってエントリーしてみるのも楽しそうだ。どれにエントリーするかは、あとでゆっくり考えよう。
ちなみに今回のイベントはどちらも大会形式のため、イベントポイントの取得方法は今までと異なる。今回はとりあえずどちらの大会でも、エントリーしたら参加賞で多少のポイントが貰えて、予選突破で追加ポイント。更に本選の成績次第で追加ポイントという形だ。
つまりは、上位に入れば入るほどポイントが貰えるし、そうでなくても闘技大会と芸術コンテストの両方にとりあえずエントリーさえすれば、参加賞である程度のポイントを獲得できるというわけだ。日頃、あんまりゲーム時間が取れない人に優しい仕様だな。ありがたい。秋イベントについては、一旦以上かな。今回も色々楽しそうだ!
お次は大型アップデートについての情報だ! アップデート時期は秋イベ後らしいので、今回は頭出し情報だけらしいのだが、それでもビッグニュースだった。大型アップデートでの目玉は大きく3つ。ズバリ、クラン機能とグランドクエスト、そしてリトル・ポータルだ!
クラン機能については、よくある複数人のプレイヤーでクランを作成できる機能だ。ある場所に存在する「総合クラン本部」に行くとクランを作成できるとのこと。……ある場所って「都」かな?本部って名前だし、各町の中心部である「都」にそういう重要施設はありそうだ。ちなみにクランを結成すると、ポータルから自由に転移できるクラン専用のクランルームが貰えて、談話室みたいに使えたり、お金を使って追加で生産用施設や訓練室などをつけれるらしい。あれだ、冒険者ギルドのレンタル施設みたいなのをクランで個別に持てるってわけ。しかも更に追加料金はかかるけど自由にカスタム可能! 自分達に合った設備や見た目にできるのだ。夢が膨らむなぁ。
他にも、クランでのみ受けられるクランクエストやら、共同で購入・運営できるクラン共有店舗やら色々な事が出来るみたいだ。中々そそられる内容だけど、クランかー。プレイヤーが和気藹々やっているのを外から眺める分には良いんだけど、いざ自分が固定パーティやクランとかに入るっていうのは、ノルマとか人間関係に気を遣わないといけないから苦手なんだよなぁ。フレンドになって、偶にパーティ組んだり、気楽に話したりする分には良いんだけどね。ノルマや上下関係とかが緩々なクランがあったら、お試しで入っても良いかもしれないが、とりあえずは保留かな。
次は、グランドクエストだ。こちらは、冒険者ギルドで受けられるクエストなんだが普通のクエストと違い、クエストの結果がこのアトオン世界に反映されるらしい。クエスト例としては、街道整備により町で売られる品物に変化が出たり、モンスター大量発生による町の防衛戦が突発的に発生し、負けた場合はその町の機能が一時的に減少したり、はたまた世界の謎に関わる重要クエストだったりするらしい。うーん、どれも凄そうだけど、世界の謎に関わるクエストが気になる。どんなクエストなんだろう。こちらも楽しみだ!!
最後はリトル・ポータルだな。今までは、町や里にしかポータルがなく、セーフティエリアから町に転移することが出来なかった。それはそれでアトオンの世界を歩いている感じがして楽しかったのだが、やっぱり不便だという声が多かったみたいだ。全部ではないが幾つかのセーフティエリアに他のポータルと転移可能な小さいポータルが設置されるとのこと。
ちなみに町や里のポータルと同じく、訪れた時点で自動登録される。アップデート前に訪れた場所もちゃんとアップデート後に自動登録となるため、もう一度訪れる必要は無いそうだ。これで、よりぶらぶら散歩が捗るな! ザッハ様の精霊泉の近くとかにリトル・ポータルが設置されないだろうか? 久々に行ってみたいんだよな。お礼も言いたいし。後、ダークエルフの隠れ里にも行ってみたい。
さてと、色々読み終わったし、大分時間が過ぎてしまったけと、ログインしますか。昨日はフィフローに到達したけど、町中はちゃんと見ていなかったから、今日は町巡りからかな。
・「闘芸祭」になったわけ
アトオン秋イベントの運営会議にて
闘技大会派「秋と言ったら闘いの秋だろう!!」
芸コン派「はぁ〜あ? 秋と言ったら芸術の秋じゃない!!」
闘技大会派「他のゲームでも闘技大会イベントの告知が出てる! アトオンでも闘技大会をするべきだ!!」
芸コン派「他のゲームと同じなんてつまらないでしょ! 個性を出すべきよ!」
闘技大会派「闘技大会だ!」
芸コン派「芸術コンテスト!!」
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課長「うーん、やっぱり決まらないねぇ。係長さんはどっちが良い?」
係長「私は、リアル脱出ゲーム派ですね」
課長「ここで第3案を増やさないでよ。もう、しょうがないなぁ。じゃあ、二つともやっちゃおうか、闘技大会と芸術コンテストを合体して闘芸祭だ!」




