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まったりお散歩?VRMMO珍道中  作者: 苺蜂蜜
三章 青銀の出会い
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53話 騒がしい毎日


 あれから数日。ソルメイさんやミルミルキーさんとのお散歩道中の直後は、暫く掲示板が騒がしかったり、エルフの隠れ里にカラクリ大好き職人達が大量に押しかけたりしたが、自分はその様を傍観しつつ、まったりと日々のプレイを楽しんでいた。

 

 例の【魔石工術】スキルについては、やはり術式を圧縮して利用する所が色々ヤバかったらしく、かなりの騒ぎになった。今まで町中のNPC魔道具職人に弟子入りして魔道具を自作してたプレイヤーはいたものの、道具そのものに術式を刻むため、書き込める術式の量にかなり制限があったそうな。じゃあ、道具を大きくして書き込む量を増やせばとやってみたところ、今度は必要な魔力量が桁違いに大きくなったり、起動時間もガツンと上がったりなど、難航していたようだ。


 それが術式を圧縮した魔石だと、かなりの量の術式を書き込める上に魔力量や起動時間もさほど増えないとあって、今まで出来なかった複雑な仕様の魔道具が作れるようになり、職人界隈が大盛り上がりになった。さもありなん。


 ちなみに、自分もあの後エルフの隠れ里に行ってスキル講習を受けたよ。講習では自分が【水魔法】を持っていたので、【水魔法】を組み込んだ術式を魔石に圧縮して刻み、魔石に触ると水が自動で充填される水桶を作った。術式を刻む工程がプログラムちっくで、ちょっと難しかったが、さほど時間をかけずに作ることができた。【魔石工術】スキルもちゃんと習得できたし、里で術式を込める前の魔石も幾つか買えたので、後で他にも作ってみようと思う。……掲示板の人達が作ってるみたいな、大きな耕作機とか浮いてるトロッコ?とかドローンみたいなのとかは流石に無理だけど。いや、これどうやって作っているんだろうか?? ドローンは【風魔法】か?



 また、この数日の間に他のところでも色々進展があったよ。まず、街道攻略について。フォーレンの街道に続いて、フィフローの先の街道も攻略された。掲示板に投稿されていた、あの超腕力の土ゴーレムは、見た目通り動きは鈍重らしく、通常の耐久型タンクでは無く避けタンクが囮となってゴーレムを惹きつけて、他メンバーがひたすら遠距離攻撃をすれば倒しやすいらしい。難易度だったらフォーレン側の「ビッグウィンドコンドル」よりも楽だとの事。ただ、耐久力もあるから、倒すのに時間はかなりかかるみたいだけどな。


 フィフローの先は、噂されていた通りの港町だったようだ。町の名前は「セブンメイ」で、入り江に面したかなり大きな港町だった。海の魚や魚醤みたいなのが手に入る他、大きく二つの新情報があった。それは、新派生種族「マーマン」と新しい場所「都」の情報だ。


 まず「マーマン」について。なんとセブンメイの町中に普通にマーマンのNPCが暮らしているらしい。見た目は、耳がヒレのような形で、リザードマンの様に身体に鱗が何箇所か生えている。地上では二足歩行だが、水の中では足が魚の様に変わり、まさしく人魚! 町の中の他の種族とも仲が良く、基本的に漁を生業としている様だ。隠れ里について聞くと、入り江の中の何処かにあるらしいが詳しい場所は教えてくれなかったそう。まあ、そこは自力で探せという事だな。因みにリザードマンの派生種族になるらしい。


 ここまでくると、ヒューマンの派生種族がいなくてヒューマンが不遇では?と思ったが、ちゃんと後からヒューマンの派生種族も見つかった。シックレイの町の先にあるという、火山フィールドにある隠れ里に住む「マグマン」だ。見た目は、普通のヒューマンに体の一部が溶岩の様になっており、戦闘面では火耐性・火属性強化、生産面では鍛治や料理などでの火に関する取り扱いにボーナスがあるらしい。鍛治にボーナスと聞いて、源三郎さんなどは結構興味をそそられているみたいだったよ。



 次に「都」について。セブンメイの入り江の向かい側には「都」と呼ばれる所があって、かなり発展しているそうな。各地の教会の総本山である大教会や各地のギルドをまとめる中央ギルドなどがあるらしい。ただ、入り江を越えるための武装船への乗船については、かなり難しいクエストをクリアした上で、大金を払って乗船券を手に入れなくてはならないらしい。なんでも海上に巨大な魚モンスターが出るので、数少ない武装船しか「都」に行く事ができないからとの事。あ、これはもしかしてエリアボスの事だろうか? 一応、陸上ルートで回り込む事もできるらしいが、そちらは道中のモンスターのレベルが高いのでオススメしないとNPCから言われたそうな。


 ここまでの情報を読んで、少し違和感を覚えた。なにが引っかかったんだろうかと思い、過去の掲示板情報を読み直していたら気づいたよ。違和感を感じたのは「都」という名称だった。初期の掲示板で大教会の話が出た時は、「王都」という名称だったんだ。確かに国の中央なら王都や首都の方が一般的だ。でも、セブンメイにたどり着いた人達がNPCから聞いた話では、全て「都」。思い返してみれば、自分も他の町で住民NPCから王都や国名なんかの話は聞いた事が無かった。後から自分も町の住民NPCに聞いてみたが、そもそも国という概念を持っていないみたいだった。「この国の名前? 国ってなんだい?」みたいな感じ。


 これはどういう事だろうか? 自分の他にもこの違和感に気づいた人がいるみたいで、一部の掲示板ではアトオン内の国について議論されている場所もあった。そこでは初期の頃に掲示板で王都の大教会について書き込んだ当事者もいた。彼曰く、教会でNPCに話を聞いた時の正確な内容は「中央にある都の大教会では〜」みたいな感じだったらしい。それを聞いて、「中央にある都」=「王都」だと思い、そのまま書き込んだそうな。あー、あるあるだなぁ。聞いた話を頭の中で整理しているうちに、自分が聞き馴染みのある言葉に無意識で変換しちゃうやつ。わかるわかる。


 なるほどな、じゃあとりあえず現時点でのアトオンでは国は無くて、町・隠れ里・都があるんだな? 都がどういう場所なのかは実際にたどり着いてみないとわからないけど、NPCからの話によると、かなり発展していて色んな施設があるらしい。是非行ってみたいな!!



 掲示板に出ていた、この数日間での新情報はこんな感じだ。攻略組がもたらした新しい町での新情報に他プレイヤーも触発されたらしく、比較的難易度が低い「ラージクレイゴーレム」は勿論、難易度が高い「ビッグウィンドコンドル」にも多くのプレイヤーが殺到し、続々とシックレイやセブンメイに進んでいるらしい。


 そんな周囲の動きを横目に自分は、とりあえず目の前の試練クエストをこなしていた。コユキと共に雪山を駆け回り、『スノウアップル』のレア物を探す日々。前に忠告された白クマ?に出会ってしまって命からがら退散したり、「スノウアップルトレント」にまた会って再戦した時は、なんとか数体倒したがやっぱり多勢に無勢でボロボロになりつつ退散したりした。それでもなんとか目標数の3個のレア物をフリージア様に納める事ができた。


 その後、シックレイに辿り着いたらしい源三郎さんから、火属性つきの双短剣を作ってもらい、意気揚々と次の試練クエスト「スノウワイバーン (手負)の討伐」に向かったのだが、幾ら手負かつ弱点属性の武器を持っていても、相手はワイバーン。かなり良いところまで追い詰めたのだが、最後の悪あがき?の大暴走でコユキ共々やられてしまった。


 うーむ、まだレベルとか足りないんだろうか、または手数? 一応、試練クエストは受けたプレイヤー単体でこなすものと、受けたプレイヤーを含むパーティでやっても良いものがある。今回の「スノウワイバーン (手負)の討伐」は、パーティでやっても良いものだったため、コユキと一緒に戦ったのだが、力かなわず……。さて、どうしようかな。



 暫く考えた結果、従魔を増やす事にした。ちょうど【従魔法】のスキルレベルが上がって、所有できる従魔数が増えた所だったからね。それに、移動の際の足として騎獣も欲しかった所だ。コユキにも従魔を増やす事を言った所「キュン!」っと頼もしく胸を張っていたので、問題ないだろう。


 従魔を増やすとして、どんな従魔にしようか? 騎獣の定番は馬系モンスターだが「スノウワイバーン(手負)」との戦いにも参加してほしいからな。奴がいる場所は洞窟だが、かなり寒い。寒さに強いコユキや防寒着のある自分は良いとしても、普通の馬モンスターはデバフかかっちゃうだろうなあ。


 ……よしっ! この辺りに詳しいフリージア様に、近場で出会えて、寒さに強い騎獣に出来そうなモンスターを聞いてみよう! フリージア様〜、いらっしゃいますかーー!!



* * *


















 ちなみに源三郎さん達の「ビッグウィンドコンドル」戦について、武器の受け取りの際に、録画したものを見せて貰った。忍者スレの有志達と共に挑んだらしく、魔法を使ったなんちゃって忍術や色んなファンタジー忍者道具が派手に使われた、かなり見ごたえのある戦闘になっていたよ。動画サイトとかにあげたら、凄い反響が出るんじゃないか?と言ったら「忍びは忍ぶもんじゃ」と言われてしまった。……いや、こんな派手派手な戦闘している時点で忍んではいないのでは?と思ったが、ツッコミは控えた。





 「ビッグウインドコンドル」戦の一部始終(忍法と言っているが、普通に別スキルである。)↓



 「アーツ発動!【ウォーターエンチャント】! くらえ! 超忍法、巨大水手裏剣!! 」

 

 何か仕掛けが施されているらしい、手のひらくらいの手裏剣に【水魔法】を付与すると、水によって身の丈ほどに大きさを延長させた巨大手裏剣が出現。身を捻りながら素晴らしいフォームで水手裏剣を投擲する忍者装束のプレイヤー。


 「うぇおおお! くらえぃ! 何日も挑戦して身につけたこの秘技を! 雷遁!【サンダーショット】! 」


 まさかの【雷魔法】所有者。複雑な印を結んでからの【サンダーショット】を放つ忍者装束のプレイヤー。ちなみに印を結んでも特に効果は無いそうな。バリバリバリィ! と激しい音を立てて、眩い雷がプレイヤーの手から放たれ、コンドルにクリーンヒット。


 「忍者といったら、爆発でござる! くらえ! 【散弾投擲】超花火玉!!」

 

 何故、忍者=爆発なのかは不明だが、黒い玉を指の間に器用に挟み、それを一斉に投げつける忍者装束プレイヤー。コンドルの胴体に当たった黒い玉は、その大きさに反して、ドガガァーン!!とカラフルで派手な爆発を放ち、コンドルが地に落ちる。


 「(わたくし)の出番ね! くらいなさい、くのいち忍法! 【菱形縛り】!!」


 女性の忍者装束プレイヤーが複数の真っ赤なロープを投げつけると、自動でロープがコンドルの胴体に巻きつき、縛り上げた。羽根も一緒にギッチギチに巻きつき、身動きが取れなさそう。


 「むっ、【風魔法】でロープを切るつもりだな! ふはははは! 無駄無駄無駄ぁ!! 音無丸、【サイレント】!」


「ホッホウ!」


 コンドルがロープを切ろうと身じろぎしたところ、水手裏剣を使っていた忍者装束プレイヤーが、おそらくセカドの森に出る「サイレントオウル」の進化系と思われる従魔に指示を出して、コンドルの魔法を封じる。魔法を封じられたコンドルは、それでもロープを引きちぎろうと暴れるが、ロープは切れない。特殊なロープなのか、何か魔法を付与しているのか。そんなコンドルの姿を見て、高笑いする女性忍者と水手裏剣忍者。なんか、怖い。あと、従魔も忍者らしく額当てを付けて、主人の肩の上でドヤっていた。……「サイレントオウル」って、かなり【テイム】が難しいって聞いたけど従魔になったら頼もしそうだな。



 「終いじゃぁ! 往生せい!! 忍法【首刈り】!」

 

 その後も、身動きの出来ないコンドルを忍者プレイヤー達が攻めまくり、最後に鎖鎌を持った忍者装束の源三郎さんがコンドルの首元で飛び上がった。そして、おそらく首に当てるとボーナスが入りそうなアーツを使う。鎖鎌は禍々しいオーラを帯びて、首にクリティカルヒット! 「グキョェエ!!」とコンドルが叫びながらポリゴンとなって消えていった。うーん、お見事!!!


 戦闘は連携がきちんと取れていたし、一人一人のプレイスキルも高かった。何よりみんな忍者プレイが楽しそうだったな! 趣味の合う人同士で、楽しくゲームを満喫している感じが凄く良かった! こういうプレイを見ちゃうと自分も頑張ってみたくなるなあ。よしっ! 気合いを入れて試練クエスト頑張るぞ!



 ・忍者プレイヤー達の使ったアーツについて


【ウォーターエンチャント】

 言わずと知れた【水魔法】スキルのアーツ。武器などに一時的に水属性を付与する。今回使った手裏剣は、水水晶の欠片が組み込まれた魔道具だった。


【サンダーショット】

 【雷魔法】スキルの最初のアーツ。【水魔法】でいう【ウォーターボール】的な立ち位置。小さな雷を発生させて、相手にぶつける魔法。低確率で相手を感電させる。


【散弾投擲】

 主人公も持ってる【投擲】スキルのアーツ。一定以下の大きさのものを一斉に投げつけるアーツ。


【菱形縛り】

 【捕縛術】スキルのアーツ。ロープを投げつけると自動で菱形結びで縛り上げる。ちなみに自動じゃなく、自分で縛り上げても可。ロープの耐久補正に加えて、縛り上げた対象に低確率で麻痺も与える。


【サイレント】

 【封印魔法】スキルのアーツ。主に魔法系スキルを一時的に封じる事ができるが、成功率はスキルレベルに依存する。


【首刈り】

 【鎌術】スキルのアーツ。首部分に当たると高確率でクリティカルになる。ちなみに源三郎さんは鎖鎌の鎌部分をぐるぐる回して遠心力をつけて攻撃力を上げた上で、力いっぱい振り下ろしてます。怖っ!


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― 新着の感想 ―
世はまさに大渡海時代!?王都でもなく首都でもなく都ってだけだと雅に映えるかつての都ってイメージだけどどうなんだろう? と言うか、知っているぞ、ドローンを合体させる連中が現れるんだ。オレは詳しいんだ。
更新お疲れ様です。 プラナ君とコユキちゃんコンビの敗因は、単純に火力不足と連携が取れていないんでしょうなぁw コユキちゃんが氷魔法のコントロールを頑張って魔法レベルを上げるか、プラナ君が水魔法や投擲…
氷遁術を習うチャンスではなかろうか
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