32話 開幕! レイドバトル!
申し訳ありません。
諸事情により、暫く不定期投稿となります。
宜しくお願いいたします。
朝起きて、今日のレイドバトル用の防具や道具の買い忘れに気づいた自分。
とりあえず、現在の時間を確認。まだ、朝の7時半だ。よしっ! まだいける!
レイドバトル開始は今日の午前10時からだ、さっさと朝ごはんを食べてログインすれば、準備は間に合うはず! ……間に合うよな??
* * *
ログインして、先ずはフリボをチェック。イベント防具、イベント防具……うーん、あんまり良いのが無いな。赤フンとか、誰が買うんだろうか?
とりあえず【投擲】で使えそうな『海祭りのスケイル投げナイフ』を買おう。これ、魚の鱗で出来てるのか? こんな大きい鱗の魚いたっけかな?
フリボを粗方見たら、イベントエリアの出店の方を見て回る事にした。急げ、急げ!!
朝早くなのに、今日からレイドバトルのためか、出店では『海祭りの◯◯』という名前の武具や道具の店が沢山出店していた。これまでは、食べ物のお店が多かったのに、今日は逆だな。
武器の店と水着の店以外をざっと見て回る。……防具性能が良くても、流石に水着はちょっとなあ。スポーティでセット売りの男性用イベント水着防具が目についたが、後ろ髪を引かれつつ後にする。
暫く歩き回った所、光に反射してやたらキラキラしているスケイルメイルや、完全に潜水服みたいな見た目のフルメイルなどがあったが、それらを避けて、軽戦士用の防具を見繕う事ができた。一式装備してみると、こんな感じだ。
頭:海祭りの貝殻髪飾り
胴体:海祭りの胸当て
インナー:海祭りのラッシュガード上
腕:海祭りのシェルグローブ
腰:海祭りのラッシュガード中
足:海祭りのラッシュガード下
靴:海祭りのシェルグリーブ
右手:海祭りの短剣
左手:海祭りの短剣
アクセサリー①:海祭りのシーグラスストラップ
アクセサリー②:ラビラビストラップ
……結局、インナーと腰と足装備は、最初に目に入った、セットの男性用イベント水着防具を戻って購入した。マトモな見た目で、そこそこの性能なのがこれしかなかったんだ!!
あと、アクセサリーの一つは、ラビラビストラップのままにしている。何気にこのアクセサリーの俊敏力の上昇値は、ありがたいんだよな。水着にふわふわな毛玉のストラップは浮いているが、気にしない事にした。
とりあえず、これでレイドバトルの準備はできたはず。ポーション類もそこそこあるし、大丈夫だろう。
現在時間の時刻は、午前9時40分頃。あっぶな! いや、開始後だったらいつでもレイド専用エリアに行けるんだが、どうせだったら最初の出現シーンから見たいじゃないか!!
そして、遂にその時はやってきた! レイドバトル開始のポップアップが出ると直ぐにイベントポータルからレイド専用エリアに移動する。
さぁ、初のレイドバトルだ!
* * *
レイドエリアは、真っ暗で巨大な空間になっていた。洞窟の中か?
辺りを見回すと、あちらこちらに同じように移動してくるプレイヤー達が薄っすら見える。
真っ暗なため不用意に動けず、戦闘体制のまま、状況把握に努めていると、急に地面が揺れ出した!
――ゴゴゴゴゴ! バッシャーン!
そして、エリア中央からいきなり間欠泉のように大量の水が吹き出し、洞窟の天井を突き破った!!
天井から差し込む神秘的な青い明かりに照らされて、周囲が明るくなる。そして、真ん中の間欠泉が収まった場所に、ヤツはいた。
見上げるほどの大きな大きな巨体
潤いのある青いマグロの身体
たくましい筋肉質の手足
どんな物も貫けそうな巨大なモリ
煌めく王冠
そして……晴れの日に相応しい華やかな青い半被!?
そう、それはデフォルメされた巨大なマグロに手足が生えて、半被を着て、王冠を被ったなんとも言えないモンスター。名前は「グレートシーフェスツナ大王」。
……んん?! いや、えっ? これがレイドボス? アトオン初めてのレイドボスがコレ??! ( ゜д゜)?
というか、此奴あのふざけたマンボウと一緒の奴がデザインしただろ! このデフォルメ感に既視感あるぞ!!
なんとも奇妙なその姿に、他のプレイヤーも戸惑っていると、ツナ大王は徐にモリを持っている手を掲げる。
すると、ツナ大王の足元から水が吹き出し、シーフェスモンスターが白波に乗って数えきれないほど溢れ出てきた!
「先ずは、雑魚戦ってことだな!」
あんな見た目でも、レイドボスだ! とりあえず、こっち側に向かってくるシーフェスモンスター目掛けて、イベント用投げナイフを【投擲】スキルの【強投擲】アーツを使ってぶん投げる!!
初めてのレイドバトルだ! やれるところまでやってやるよ!
・
・
・
・
・
始まってからどのくらい戦っただろうか、流石はレイドボス。自分以外にも色んなプレイヤーが雑魚を散らしては、小山のように大きな本体に攻撃を仕掛けているが、まるで堪えたような気配はなく、無表情で足元のプレイヤーをモリで薙ぎ払っては、波を起こして押し流す。
その度に、またシーフェスモンスターの群れを召喚するので、雑魚戦からやり直しになってしまう。
長時間の戦闘に、武器の耐久性や自分の集中力が危なくなって来たので、一旦下がる事にした。空腹注意ポップアップも出たしね。
エリアの端側まで後退すると、ちょうど真横にプレイヤーが転移してきた。長い黒髪の女性アバターのヒューマンと穏やかな目をした茶色い馬体の馬だ。
「あ、もう始まっちゃってる……」
とてもか細い声でプレイヤーの人が話している。どうやら、何かしらで遅れて参加した組のようだ。
「えっと、敵はあのおっきい魚人の人なのかな?」
「はい、あの半被を着てるのがレイドボスみたいです。ただ周りに他のシーフェスモンスターを呼んでるので、それを倒さないと近づけないみたいですよ」
「えっ!? あ、ありがとうございます」
オドオドと周りを見渡している姿に、なんだか放って置けなくて、つい話しかけてしまった。
彼女は、お礼を言った後、隣で静かに控えていた馬に跨った。そして……
「ふ、ふふふふ……」
ん? なんだか雰囲気がさっきまでと変わった? あ、あれ? 馬の方もさっきまでの穏やかな目がウソの様に、鼻息荒く鋭い目になって、足を踏み鳴らしている。どうしたんだ、いったい?!
「アーッハッハッハ!! さあ、今日も一緒に駆け回るわよ「ココア」! アーツ発動! 【人馬一体】【サンダーエンチャント】!!」
「ブヒヒヒーン!」
――バチバチバチィ!!!
薄暗い洞窟内にいきなり眩い閃光がほとばしる! 光がある程度収まると、彼女とココアという名前らしい馬が一緒に紫電を纏って佇んでいた。そして彼女は、背中から凶悪そうな見た目の大きな槍を取り出して構える。さっきまで、あんな槍を背負ってるの気づかなかった。
「さあ、さあ、さあ、行きますよ! 前の方々、危ないので退いて下さいね!! 【マインスピードアップ】【チャージランス】! アハハハハハ!!」
更に自己強化を重ねがけした彼女は、紫電を靡かせ、突進していった。後ろに高笑いの声を響かせながら。
……えっと、【雷魔法】って事は、多分あの人が例のお散歩スレの人だよな? 馬に乗ってたし。なんか凄い人だったな。
うわっ、シーフェスモンスター達が、一気にやられてモーセみたいになってる。水系モンスターだもんなあ、雷は特効だよなー。あ、槍が壊れた!?
大丈夫かな? おお、もう一本出て来た、良かった予備あるんだな。
もう一回突撃って、と、飛んだぁ?! あの馬の跳躍力凄いな! まだ、雑魚が残ってるのに。ツナ大王に一撃入れたぞ! しかも、ツナ大王も雷苦手なのか、あからさまに嫌な表情をして、彼女を遠ざけようとしてる。
あ、また槍壊れてる。壊れやすい槍なのかな? 流石に彼女も一旦引いたな。
いやー凄いもの見た。プレイヤースキルが高いと、あんな動きも出来るんだなあ。って、ぼうっと見てる場合じゃない! 自分も武器の入れ替えと回復しないと! ああっ、空腹ポップアップが警告になってる、ヤバイヤバイ!!
――レイドバトルは、やはり一筋縄ではいかないな。まだまだやってやるぞ!
【雷魔法】持ちプレイヤーの睡蓮さん。持っている槍は、安心安全の攻撃力特化「ロマン砲LOVE」製作のイベント用騎乗槍です。
攻撃力の代わりに耐久性が低いので、複数本まとめ買いしてます。
ロマン砲LOVE「まいどあり〜」
* * *
・「グレートシーフェスツナ大王」誕生秘話
アトオン 初レイドバトルについての運営会議にて
サメ派「海のボスと言ったら、サメでしょう!!」
クラーケン派「はぁ〜あ? 海の巨大ボスと言ったら、クラーケンに決まってるじゃない!!」
サメ派「数多の映画で、海の敵役を張ったサメの方が相応しい!」
クラーケン派「んなわけあるか! 数々の物語やゲームで、深海の恐怖と言われたクラーケンの方が、初のレイドボスを飾るのに相応しいわ!!」
サメ派「サメだ!」
クラーケン派「クラーケン!!」
・
・
・
・
課長「じゃあ、みんな大好きマグロをレイドボスにしようか。見た目は好きに決めて良いよ。宜しくね。」




