シーン37ジャバリ君。
私達が立ち寄ったマサイア族の皆さんはヒューマン族である、とある男の暴虐により被害を受けていた。
『皆様………本当にありがとうございます……僕の名は『ジャバリ』といいます!』
『ああ!私はフェルノ……こっちがキャリッシュちゃんで馭者のドエルゴ!そしてこっちが………。』
私が紹介しようとサーベルさんに視線を向けると………………………。
村の子供達に囲まれていたサーベルさん。
『なんかこいつ………美味そうだな!?』
そう言われながらロープで縛られていたのだった。
『サ…………………………サーベルさんっ!?』
『のおおおおーーーーーーーーーーーっ!!!ぎょ!!』
『きゃあああーーーーーサーベルさあああーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!?』
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『いやあ……本当にごめんなさい………仲間達には僕からちゃんと話しておきましたので。』
申し訳なさそうに謝罪するジャバリ君。
『いえいえ………………さあそれよりも連れ去られたという子は………急がなきゃ!?』
『はい…………でも、きっと…………急な事はしないと思います…………相手はヒューマンでその指示をしているのは『ボルドー』という大富豪です……きっと連れ去った仲間を盾にこの地から出ていけと交渉してくるのではないかと思います。』
『どうしてそう考えられるの?』
ドエルゴの言葉にジャバリ君が悲しげな表情で告げる。
『これは村の大人達……僕の父や母も話していた事なんですけど………アイツが元々この地にやってきた時は……きっと、このターンラニア国王にも話をしたとおもいます……でなければこの土地なんか買い取れるハズがないと思います……そして色々な便利な機器をこのアフリエイトへ持ち込む事で人の良いように見せておいて……………許可を得てこの地の一部を買取り……そして徐々にこの大地を変えていこうとしているのではないかと………おそらく影で何かを動かそうとしているのではないかなって……初めはね…僕達の村にも人は良さそうに接してきて………そのおかげで村の環境も色々変わっていったんです………元々布だけで作った衣服を纏っていた村の大人達も、ほら……こうして立派な衣装をいただき、そしてこんな物も。』
そういって彼が差し出した物はやはりあの時見た『箱』だったの。
『これは…………………………』
『はい……………魔力電話というものだそうで………同じ物を持つ者同士が魔力を用いて会話ができる物なのですが……この様な物まで村の者へ与えて……………彼は僕達……そして大人達までも徐々に支配していったのです……大人達には仕事をくれた………そして彼は信頼というものを得て………ですが………ある日…………暴挙に出たのです……意外すぎたその行為に僕達はもう抵抗する間もなく………こうなってしまったのです……………きっと彼は僕達にこの村を捨てろとまた言ってくると思います…………。』
『その男がどこにいるのかは分からないの?』
キャリッシュちゃんが問いかける。
『ここは野生動物が独自の生態系をしている場所……危険な大型動物などもいます…そこのどこかに隠れ住み……何かをしようとするのであれば………おそらくここから数キロ先にある『メテミオ』という洞窟があるのですが……その辺にいるのではないかなって僕は考えているんです。』
『なるほどのお………その男はそこを拠点にしてこの地で何かを企てようとしているのですな………。』
『はい………きっとそうです………最近音信不通になった仲間が少し前にその辺で数名のヒューマン達を洞窟に出入りしているのを見たと話していましたので……きっと。』
そう語ったジャバリ君。
すると彼の『魔法の箱』が鳴り響く。
ジャバリ君は慌て会話を始める。
彼の表情は話をしているうちにみるみる険しくなっていく。
『えっ!?何を!?ここから…………立ちされば………………『マウア』は返してくれるんですね?』
そこまで話したジャバリ君は会話を終了したようだった……そして口を開く。
『皆………大人しく聞いてくれ………『マウア』を返してくれると言ってきた……………その為にこの村を捨てよう………なあに………ケニージアの近くにも同じマサイア族の暮らす村もあると聞いた事がある…………マウアを返してもらったらそこに皆で行こう!!その村の近くの国王様が女王様でとてもいい国だと聞いた………だからこの思い出の沢山ある村だけど………………。』
ジャバリ君の身体は震えていた…………そしてその目から……………つつっと………涙が零れた。
『そこで皆で笑って暮らせたら………それで………それで…………いいじゃないか……………。』
そんな彼のまるで自分自身に言い聞かせるかの様な言葉。
幼い皆も悔しげに涙を流していた。
『さあ………………準備をして行こうじゃないか。』
彼が皆にそう声をかけたその時。
嫌な気配と匂いを感じた私。
するとそこには屈強な数名の獣人の男達がニヤリと笑みを浮かべ立っていたのでした。
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