シーン33風の谷の住人。
風の谷から聞こえてきた助けを求める声。
そしてそこに向かってくれるというサーベルさん。
『では!!行ってまいります!!』
そう言いながら羽根を広げ飛んでいくサーベルさん。
『おおっ………………』
『凄いねえ…………』
私もキャリッシュちゃんも驚き見てしまっていた……するとドエルゴが口を開く。
『お嬢………我々にも空の仲間がきてくださいましたなあ…頼もしい限りですな。』
『うんっ!!本当に嬉しいよ!ドエルゴ!!』
そう返していた私。
そして彼の後ろ姿を私達は見ていたの。
◇
◇
◇
サーベル視点。
僕はあの場を飛び去りこの風の谷を舞い降りていく。
ここは『風の谷』の呼び名の通り、僕の飛行を邪魔するかのように強風が時折吹き付け僕の飛行の障害となる。
『くっ…流石は風の谷…………まるで僕の侵入を阻むかの様な………………んっ!?』
僕が声にしたその時…………。
『去りなさい………ここからは入ってきてはいけない……。』
『ぎょっ!?しかし…………誰かの助けを呼ぶ声が聞こえたのです!!!』
『あなたバカなの!?…………………聞こえないの?ここに来てはいけないと…………………言ってるじゃない!?』
その声と共に、もの凄い風が僕に吹き付け押し出そうとしていたんだ。
『くっ……………………そうはさせない………』
その時……僕の脳裏に何故か……昔の事が思い浮かんできたのだった。
◇
◇
◇
あの頃……僕はまだ幼かった。
魚人の中でも飛ぶ事しか能のない種である僕。
僕の周りにいた友人達は力のあるシャークや、その特殊能力で斬る事が出来るタチウオ等他の魚人達が戦いにおいても何かしら特化した能力を持っている友人たちだらけだった。
僕はそんな中………この飛ぶ能力しかなかったのだ。
そんなある時………誰かが言った。
『サーベル……………お前はいつも空ばかり飛んで、それ以外何もいい所がないもんな……お前鳥人として生まれ変わった方がいいんじゃないのか?』
僕はその一言で……深く傷つき……話せなくなり………それにより……いつしか孤立し、塞ぎ込んでいたのだ。
そんな暗い過去を過ごした僕は……偶然空を舞っている時に声をかけてきたのが…………そう、フェルノ殿の父である『レイオール』殿だった。
『おーい!!君君ーーーーーーっ!?』
僕はその声に気づき……降りていく。
『な………なんですか?』
『いやあ凄いなあ……君のその飛行能力……魚人でありながら空も飛べるなんてな!!』
僕はその言葉に過去の苦い記憶を思い出す。
『いや…………魚人が飛べたところで………なにも。』
そう返した僕に彼は言った。
『チッチッチ……俺なら…………………そうは思わないな………俺ならその飛行能力を活かして新たな何かを手にするさ……せっかくある能力なんだ……それを使わなきゃ勿体ないし……………そもそもその様な飛行能力があったら世界を飛び回り冒険ができるじゃないか!!!』
満面の笑みを浮かべ、そう語ってくれた冒険王レイオール。
僕は全身にいかづちを落とされた様な感覚を覚えた。
それからしばらくして彼が冒険王だと知り………僕もその夢を追う事にした。
そう……彼は僕にとっての英雄なんだ。
『それから色々あったけど今こうしてその冒険王の娘さんと冒険に出たんだ………僕は変わるんだ!!!』
ハッと我に返った僕に何らかの力が芽吹いた気がした。
すると僕の身体を包み込む何か。
そして…気がつくと僕はこの地に降りたっていたのだった。
『なるほど………ここが風の谷の最下位部なのかな………』
周りには沢山の風車小屋が建てられそこには、はるか上まで巨大な風車が見えて……ゴゴゴとそのプロペラは見事に回転しているのだった。
僕は歩き出す………すると先の方から声が聞こえてきたのだ。
『落ちてきた!落ちてきた!』
『うんうん!落ちてきたね!落ちてきたね!』
僕の耳に届いたその声は幼き者が二人いる事を知らせた。
そのまま歩を進めていく僕。
するとまた聞こえてきた二人の声。
『こっちにくるね』
『うんうんこっちに来るね!』
構わず僕は先まで歩いて行くと、目の前には広場のように開けた場所があり…………そこには辺りの風車を遥かに凌ぐ巨大な風車が建っていたのだった。
『これは一体……………………。』
僕が立ち止まると………突然周囲の空気が変わった。
次の瞬間。
恐ろしい程の暴風に見舞われる。
目も開けることもかなわず僕はこのまま斬り裂かれてしまうのではないかと感じてしまう。
すると聞こえてきた誰かの声。
『へえ……君は私を恐れないのか?』
『き………君は誰だ!?』
『私は風の精霊シルフ…………この風の谷には何人も立ち入る事は許さず、これまでここに足を踏み入れたものはいなかった……けど君は来たんだねえ。』
『ああ……僕にはこれから沢山やることがあってね……そして守るべき者達がいるんだ……だからここに冒険にやってきたんだ……それに助けを呼ぶ声が聞こえたんだ……危険と分かっていてもくるしかないであろう。』
『へえ……変わってるねえ……でもどうしてここにこれたんだい?』
僕にもその答えは出せなかった…………ただ誘われるまま……ここに。
『きっと……僕が冒険が大好きでこの風の谷も冒険してみたいと思ったからじゃないかな?』
僕がそう応えると。
『へえ……ここに来る者は誰もが私を恐れて逃げ出していくんだ……でも君はそれでもきた…本当に…変わってるねえ。』
『ああ……確かに変わってるかも……でもここまできた事はたとえ僕に何かあろうが…後悔などしていない。』
僕がそうこたえると。
シルフは消えていた。
そして僕の中にスーッと何かが入ってきた感覚を覚えた。
視界がボヤけかすれていく……ハッと我に返り気がつくと。
◇
僕は大空を飛んでいた。
『あれ?ここは!?』
すると地の方から声が聞こえた。
『おおおーーーーーい!!』
『どうしたのーーー!?』
それはフェルノ殿とキャリッシュ殿の声だった。
そんな僕は呆然としながら……大地へと降りたっていったのだった。
◇
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