シーン32風の谷。
私達一行はまた旅を再開したのです。
目指すケニージアはまだまだ先なのでした。
すると目の前に小高い山が見えてきた……山といっても少々小高い丘のような地形をしていたの。
ドエルゴが口を開く。
『おお……フェルノお嬢!!そろそろ次の地区に入ろうとしていますぞ………。』
ドエルゴの声が聞こえた…………そんな中……荷台に乗っている私達三人はドエルゴから借りた地図を広げる。
『ここはまだまだ………『ターンラニア』という国の中…………そして僕達はここ『ウォルディ』からやって来たのだからここをこうして来たという事ですかな?』
サーベルさんが指を滑らせ…指し示す。
『いやいやここが海だからこう来て今は………この辺りな気がする!うん!なんとなく。』
私がそう返すとキャリッシュちゃんがその口を重たそうに開く。
『もお…………本当にアンタ達は地図の見方も分からないの?』
するとキャリッシュちゃんはある場所に指を指し示す………そして。
『ここがまりんちゃんとサーベルさんがいた島国のウォルディ!そして私達が休憩したのはここ、そしてそこから北にこうしてきて………丘に入りここが境…………現在地はこの辺りなのよ!』
『おおっ…………さすがキャリッシュちゃん。』
『本当に凄いですねえ……キャリッシュ殿がいなければ迷っていたかもしれませぬぞ!?』
私達は大笑いしてしまう。
『はあ………ダメだこりゃ……………まあいいわ………つまりこの場所は……ここ風のたに…きゃっ……。』
キャリッシュちゃんの声が急に裏返り、その時馬車がグラりと大きく揺れる。
『きゃあああっ!?』
『のわっ!?』
『えっ!?なになにいっ!?』
私達は思わず荷台の中でもみくちゃになってしまう。
『きゃっ!?』
『うわっ!?』
『へぶっ!!!』
気がつくと私は誰かの上に乗っていた私の胸の下で何かが動く。
そして声を上げたのはキャリッシュちゃんだった。
『いやあああーーーーーーーーーーっ!?』
すると私の胸の下にはなんとサーベルさんの顔が!!???
『きゃあああーーーーーーーーーーーっ!?』
パチン!!パチンっと何かを叩いた音が二回。
私が目を開けると私とキャリッシュちゃんに平手打ちをくらって顔を赤らめていたサーベルさんがいたの。
『……………ああ……………あああ…………たに……たに……………まが……………………。』
そしてサーベルさんは倒れていったのです。
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『いてて…………しかし今のはなんだったのでしょう。』
復活したサーベルさんが問いかける。
馬車は何とか体勢を整え歩きだしていたの。
『ここはですな…通称…風の谷と呼ばれておりましてな………』
そう説明を始めるドエルゴ。
『なんでもこの境を越えようとするものに風の精霊がいたずらをしてくると言われておりましての………時折ものすごい強風がふき……通行を断念せざるを得ない時もあると言われている場所なのです………。』
『ほお…………風の谷ですか……そういえば僕もその話は聞いた事があります………風の精霊に愛されない者はここを通れないとか……ですが。』
サーベルさんがなにかを言いたげだった……そして。
『ああ………僕達魚人族の中にもフライフィッシュという種族もおりますぞ。』
『そうなの!?』
『ええ………何を隠そうこの僕サーベルがそのフライフィッシュの魚人なのですから。』
『『ええーーーーーーーーーっ!?』』
私もキャリッシュちゃんも驚き声を上げる。
すると話を聞いていたドエルゴが口を開く。
『ほお………そうでしたか……見ればそのポセイドンの槍と言っていましたが……水の加護が見えませんでしたのでな………。』
『ドエルゴ殿………それは一体どういう……………。』
『ええ………もしかしたらサーベル殿は『水』ではなく『風』がその力を貸してくれるのではないのかと。』
『なんと……………水の精霊は確かに『あくあ』様にその力をお与えになっておりましたな………それを考えるとこの僕には……………………。』
私達は風の丘を眺め…………そして眼下に広がった光景はまさに風の谷が見えていた。
すると…………どこからともなく叫び声が風に乗って聞こえてくる!!!
『いやあああーーーーーーーーーーっ!!???助けてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
そんな声が谷の方から聞こえてきたのだった。
『誰なの!!???』
『分かりませぬ…………ですがあの風の谷から聞こえてきたような気がしました。』
『ほお……ではこの僕が……………代表で見てきましょう!』
そう言ったサーベルさんがその羽根を広げる。
『『おお……………本当に飛べるんだ…………』』
『では!!行ってまいります!!』
そしてサーベルさんは先行して風の谷へと飛び立っていったのでした。
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