困惑にて
おや。皆様、如何なさいました?
揃いも揃って、其のような。
まるで、狐に化かされて無様を晒す。
ああ。
失礼、言葉選びが悪かったですね。
しかし、なんと申し上げれば。
そうですね。
まるで、映像作品を見ているような時のような表情、と言えば伝わりますでしょうか。
しかし、一体何故。
其のような、表情をなさっていたのです?
はい?
実際に映画を見ていたと、仰いましたか?
其れは、其れは。
皆様は随分と、冗談がお好きでいらっしゃる。
では、逆にお聞きしますが。
真っ暗な画面で、何が見えると言うのでしょう。
ええ。
ご覧の通り。
皆様の前方にある映画の画面には、未だ何も映っておりません。
夢でも、ご覧になられていたのではないですか?
先程も申し上げました通り。
映画は未だ始まっていないのです。
其れとも、まさか狂いでも、起こったのでしょうか。
其れにしては。
第一、どうやって。
ああ、失礼したしました。
独り言で御座います、お気になさらず。
しかし、此のままではいけません。
不安など、此の映画を見ていただく上では、必要ないので御座います。
仕方ありません。
先程の事などは何も分らないままですが、作品の方を始めさせて頂きます。
ご安心ください。
もし、狂いが起こったとしても問題ありません。
我々は今まで、何度も狂いを経験したことがあるので御座います。
元より我々の役割は、此のような不測よ事態に備えて、皆様の安全を第一に行動をするというもの。
ですので、どうかご安心を。
皆様には擦り傷一つ、つけることは御座いません。
お約束致します。
ですが、念のため。
もう一度、申し上げます。
お席のご準備は、宜しいですね?
大変、結構。
さて。
此のような不可解なことが起こっても、作品は続けなければなりません。
気を取り直して、開幕で御座います。
此度も、心行くまで、ご堪能あれ。
この度も、作品をお読みくださり、ありがとうございます。
感謝の言葉しか出てきません。
今回は少し長くなりましたが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、次回作をご期待ください。




