番外 結婚式sideランスロット
「お助けキャラも楽じゃない2」本日発売です!
この日を迎えられたのも読者の皆様のお陰です!本当にありがとうございます!
短いですが御礼SSを投稿させていただきます。デレデレなランス君をお楽しみください。
慶事を寿ぐ教会の鐘の音と参列者からの祝福の歓声に送り出されて、アナベルを横抱きにしたランスロットは用意されていたアンバー侯爵家の馬車に乗り込んだ。
ニヤニヤと面白がる国王から、パレード用の屋根なし馬車を貸してやると言われたが、ランスロットは断固拒否した。
理由はもちろん──。
(俺の可愛すぎる嫁を不特定多数の男に見せるなんて許さない。ベルが減る……!)
そしてその決定は間違っていなかったと、腕の中の可愛すぎる嫁を眺めながらランスロットは深く頷いた。
走り出した馬車の窓から外を見ると、新聞などで挙式の予定を知ったらしい人々が沿道で待ち構え、こちらに手を振っている。
もしパレード用の馬車で走ったなら、アナベルのあまりの美しさに目が眩んで倒れる人間が続出し、きっと街中大騒ぎになるだろう。
そんな、聞いた人が思わず砂を吐きそうな事をランスロットが大真面目に考えているとはつゆ知らず、アナベルは恥ずかしげに、でも嬉しそうに沿道に手を振り返している。
先程までの緊張から解放され、ひと心地ついたランスロットは、アナベルと共に沿道に手を振りながら挙式の事を思い出した。
ノアにエスコートされ、礼拝堂に入ってきたアナベル。
天窓から降り注ぐ清らかな朝日を浴びて煌めく白いドレスは、動きに合わせてほのかに空色へと美しく変化し、参列者からは感嘆の溜め息が漏れた。
後ろに長く伸びたベールが、深紅の道を繊細なレースの模様で彩る様子は芸術品と言ってもいい程に美しい。
そして、その手に捧げ持つブーケにウィステリアが使われている事に気が付いて、ランスロットは思わず参列席の母親を見た。
(顔合わせの時はアナベルに冷たい態度だったが……これは、歓迎してくれるという事だよな)
家族には自分の愛した人を受け入れ、祝福してもらいたいと願っていたから、母がウィステリアを彼女に贈ってくれた事に思わずホッとした。
祭壇に辿り着いたアナベルの手を取り、儀式をこなし、いよいよ誓いのキス。
絶対不可侵の神の領域に踏み込むような厳かな気持ちで恭しくベールを上げると、恥じらうように染まった可愛らしい頬が目に飛び込んで来た。
これからの未来を思い描いて、希望に満ちたように輝くその美しい瞳で愛しげに微笑まれ、ランスロットは息を呑む。
どこもかしこも神々しいばかりに白く輝く美しいアナベル。
しきたりに従って、一度もウエディングドレス姿を見ていなかっただけに、その破壊力は絶大すぎた。
状況さえ許せば、俺の花嫁が可愛すぎる件について声を大にして叫びたいという衝動をグッと堪えて、ランスロットはアナベルに微笑みを返した。
「驚いた……。あまりに綺麗で女神様かと思ったよ」
そう言うと、アナベルは嬉しそうに微笑む。
(俺は間違いなく、世界一の幸せ者だな……)
幸福感に包まれながら頬に手を添えると、それが合図かのようにゆっくりと伏せられていく銀糸の優美な扇。
愛しい人に許され、受け入れられるこの瞬間がたまらなく好きだとランスロットは思う。
プロポーズから約一年。
順調に婚約期間を過ごしていたところにやって来たジェパ二の親善大使一行。
ナギの存在に嫉妬し、アナベルと口もきけなくなった時はどうしようかと思ったが、想いを確かめ合い、ようやくこの日を迎える事ができた。
(願わくは、死がふたりを分かつまで……。いや、その先もずっと共に……)
そう願いながら距離を縮めて――。
──「……ランス様、どうしましたか? どこか具合が……?」
呼びかけられて我にかえると、アナベルが心配そうにこちらを見上げていた。
石畳を走っているような振動が伝わってきて窓の外を見ると、馬車はちょうど大きな橋に差し掛かっていた。
「すまない。何ともないよ。……ちょっと余韻に浸っていたんだ」
そう言って、途切れた回想の続きをと、その頬に手を添えて顔を近付けると、アナベルは目を泳がせて慌て始めた。
「ランス様、あの、外から見えてしまうので……」
「大丈夫、橋の上だから沿道には誰もいないよ」
やはり屋根なし馬車を断って良かったと思いながら、ランスロットは愛しい人にキスをねだるのだった。
書籍の方にはキャロルの結婚式や、毎度おなじみ筋肉の会報等も追加収録されています。
是非読んでいただけると嬉しいです!
その他、特典情報など詳細は活報をご覧下さい。ザックが宣伝頑張ってくれています。
よろしくお願い致します!




