お願い
「ノクティさんの固有スキルは妄想だというのは先程も言いましたね?
それがどういうスキルなのか________
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脳内で思い描いた空想や構想を現実の物として実際にこの世界に投影____
具現化することができる能力なんです!
具現化したモノには質量も存在しますし触れる事も当然できます
もちろん妄想の産物ですので物理法則無視なんて当たり前
最強にも最弱にもなるスキルなんです!
ノクティさんの妄想力が全てです
まだ今のところはうまく使いこなせてないようですがね」
長々とした説明を終えたセイラは肩で息をしながらもどこか得意げに目をキラキラとさせている。
それとは対照的に
「はあー?
にわかには信じられないわね
この男が何かを呼び出したところなんて見たこともないし……
むしろ役に立ったことなんて一度もないのよ?」
俺の左横に少し離れて座るノエルは疑惑を強めたようで目を細め濁らせこちらを一瞥する。
「‥‥‥」
そうノエルの言いたいことはわかる
ノエルとネムにはいつも迷惑をかけっぱなしだというのも事実
しかし俺には多少なりとも自覚はある
自分で妄想をして自らの意思で呼び出しているというところまでは自覚はなかった
がピンチになれば出てきてくれる一人の男
スーパーヒーローとは言えないが最強の男
「あのさノエル……」
「ん
なによ?」
ドラゴンを一撃で倒した後唐突に消えた
マーダコングの群れに襲われ
どうしようもない絶体絶命の時にも唐突に現れて一掃した時には逆になんの前触れもなく消えてしまったあいつの正体
「さっきのセイラの話なんだけど
一部納得のいかない部分もあるにははあるんだが俺は信じたいと思う」
「はあ?あんたいきなりなに言い出すのよ?」
完全に呆れたと言わんばかりに普段は100円玉がすっぽり収まるんじゃないかと思えるくるい大きな目を細めた目を先程より更に糸のように細めている。
「お前の反応もわかる
だけどな合点が行ってしまったんだよ
俺にはおそらく『妄想』の力はある
それにさネムに宿っている不思議な魔法のような傷を治す力
あれはどう説明する?」
ふむうと唸りながら考える人みたいに顎に手を当てて
「たしかにそうねネムの傷を治す力は私も目撃している
だからそれを否定することはできないわ……
あんたにある『妄想』の力それについては一度こっちに置いておいて」
ひょいっと何かを持ち上げるようなジェスチャーをして俺の『スキル』についての話題を放り投げる。
「おいおい」
「セイラは私達にスキルの力を授けたって言ったじゃない?
だったら私はどうなるのよ
自覚もなければなんの不思議な力もないと思うわよ?」
「たしかに……」
思わず顎に手を当てて少し考えてしまった。
するとうふふと小鳥の囀ずるような笑い声の後
「お気づきでなないでしょうがノエルさんにもスキルはあります
一番気がつきにくいスキルだと言えますね
ヒントはノエルさんの固有スキルは常に発動しているのですよ!」
「またおかしな事を言い出したわね
だからなにもないって本人が言ってるのよ?」
常に発動しているか……パッシブスキルっていう事なんだろうな
それだったらパーティーの攻撃力3%上昇とか
パーティー全体の素早さが5%アップとかそんなところだろうか?
完全にゲームですね。
わかります
「ノクティさん不正解です
ですが惜しいです」
「ん?」
独り言のつもりがぶつぶつと呟いてしまっていたのだろうか
「いえ何も話していませんでしたよ?
少し心を読ませていただいただけです
では正解を……」
先を急ごうとするセイラだがちょっとまて……?
「おいおいちょっと待て!
ナチュラルに人の心を読むな!」
「ですから女神ですのでこれくらい造作もないことなのですよ」
とつつましい胸を張ってニコっと微笑むと続けて口を開こうとする俺早くこう続ける
「……さてでは時間も押してるので正解を……
スキル名は『オーラ』
モンスターにしか見えないオーラを纏って寄せ付けなくする効果があります
思い当たる節があるんではないですか?」
ノエルからは視線を外して俺とネムに投げ掛けるように見比べるように交互に視線を這わせている。
そんな俺とネムは本人でもないのにわかるわけ……
「そういえば…
森で…マーダーコングに…襲われた時…ノエルちゃんは…いなかった…
ノエルちゃんが…いるときは…そんな事ない…!」
少し言葉足らずだが言いたい事はわかる。
たしかに言われて見ればそうだけども
たった一度……いや二度か俺はKと二人でダークネス・ドラゴンにも襲撃されている
が、この世界は比較的平和そうだ
たまたま二度襲われたその時にノエルがいなかっただけなんじゃないかとも思える。
「いやいやノクティさん何をおっしゃいますか
この世界はモンスターだらけなかなか物騒なんですよ?」
また勝手に人の心を読んだのだろうセイラがそんな事を言ってきた
「ちょっと!
私1人無視して話を進めないでくれる?
私は一ミリも納得してないんだけど?」
不満爆発と訴えるように立ち上がりテーブルを両手でバンと突いてノエルは立ち上がる……が
「申し訳ありませんがあまり時間がないのです
今日なぜお呼びしたのか、まだ本題の話ができていません
質問は後程受け付けますので先に今日なぜお呼び立てしたのかの
お話をさせていただきます
そもそも話を反らしてしまったのは私からでしたね
それは謝ります
ごめんなさい」
そう言うとセイラは頭を深く下げた。
こういう経験がある人ならわかるだろうがこうされると人は何も言い返せなくなる。
ノエルも例外ではなかった。
もちろん俺も
「ご理解感謝いたします
まず今日お呼び立てした理由は1つ
お願いを聞いて欲しいのです
ネムさんそんな顔をしないでくださいあなたの考えている事も
もちろん存じています」
ネムの方に目をやると何か言いたげな喉に魚の骨でも詰まっているような顔をしている。
「お願いを聞いていただけるならネムさんが今私に聞こうとしている事だってたちまち解決すると保証しましょう!」





