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第3章45話-2:岩原2

「俺は自殺志願者ではない」


と衛兵に対して、俺は告げる。


「リースバーグ神殿国に向かっているだけだ。だからここを通してもらおう」


「神殿国に行きたいのなら、北をぐるりと迂回うかいするルートを通ればいい。遠回とおまわりになるが、そのほうが安全だ」


と衛兵は提案してきた。


しかし俺は否定する。


「そんな面倒なことをするつもりはない」


竜だろうが魔王だろうが、立ちはだかるなら殺すだけだ。


衛兵は肩をすくめながら答えた。


「そうかい。まあ、そんなに行きたいっていうなら好きにしなよ。一応止めたからな」


そして関所の通行を許可してくれる。


俺は堂々と関所を通って、セルリオン帝国を出国しゅっこくした。






セルリオン帝国を出たら、すぐそこは平原だ。


――――フィオリト岩原がんげん


岩原、という名前の通り、野原のはらのうえに岩が無数に点在している。


むしろ視界の大半が岩石で占められているといっても過言ではない。


岩の色は、白色もしくは灰色だ。


大小さまざまの岩石。


うずたかく堆積たいせきした岩のかたまりや、そびえたつ岩壁がんぺきもある。


そんな無彩色むさいしょくの岩たちをいろどるように、草のみどりがあちこちに生えている。


地面を埋める芝生しばふ


しげみや草薮くさやぶ


岩のうえにも草や花が思い思いに群生ぐんせいしている。


樹木もぽつぽつと立ち並んでおり、立派な緑の葉を茂らせていた。


(景色だけを見れば牧歌的ぼっかてきだな)


と俺は素直に感心する。


しかし、この土地は平和でも牧歌的でもない。


なぜなら生ける伝説ともいえる【刃竜はりゅう】の縄張なわばりだからだ。


よほど戦闘に自信がある冒険者でもない限り、わざわざフィオリト岩原に立ち入ったりしないし……


そういう冒険者も、ひとたび刃竜に挑めば、あっけなくしかばねと化すだろう。


だが……


「俺には関係ないな」


と、道なき平原を歩きながら、つぶやいた。


刃竜と遭遇しなければそれでいい。


逆に、もしも遭遇して、刃竜が俺をがいそうとしてきたときは……サイコキネシスの餌食えじきとしてやろう。


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