第3章40話:巨体
すると、大笑いをする男がいた。
「ガハハハハ! 口だけは達者だな、落ちぶれ貴族!」
身長2メートル近くある巨体。
熊みたいに大柄の男である。
生やしたモジャモジャのヒゲ。
いかつい顔立ち。
服装こそ、兵士の衣服に身を包んでいるが……
まるで盗賊あがりのような風貌だ。
両手にガントレットを身につけている。
徒手空拳タイプか?
「そこまで大口が叩けるなら、オレ様と一騎打ちの勝負をしろ」
ガントレットの大男は、そんな申し出をしてきた。
俺は聞き返す。
「一騎打ちだと?」
「ああ、一騎打ちだ。てめえなんぞ俺ひとりでねじ伏せてやるってんだ。それとも、俺と戦うのが怖いか? 元貴族のお坊ちゃんよ」
男は挑発的な笑みを浮かべた。
俺も不敵な笑みを浮かべながら、応じた。
「いいだろう。かかってこい、相手をしてやる。ああそれと、俺がお前を恐れることなど、一つもないから安心しろ。なんなら手加減してやってもいいのだぞ」
「……ははは、その威勢がいつまで続くかなァ!!」
男がファイティングポーズを取り……
地を蹴った。
大柄の体格からは想像もできないほど素早く、大地を滑空してくる。
彼は、またたく間に俺に迫ってきて。
拳を突き出してきた。
豊かな筋肉と魔力によって放たれたガントレットのパンチは、轟風をまとっている。
しかし。
俺は【念力格闘術】で、そのパンチを素手で受け止めた。
「!?」
男が驚愕する。
俺は言った。
「どうした? この程度か?」
「ば、バカな。オレ様の拳が、こんなあっさり――――!?」
驚き、唖然としている大男。
そんな彼に、俺は告げる。
「次は、俺の拳も受けてみろ」
「!!」
俺はサイコキネシスによって加速し、男の胸部に拳を叩き込んだ。
「あぐぁっ!!?」
その瞬間に、男の心臓と肺をサイコキネシスによって潰し、吹っ飛ばす。
彼は大量の血を噴き出しながら、もんどり打って倒れた。
心臓を潰され、倒れた大男は、もちろん起き上がってこなかった。




