第2章24話:砦へ
「ふう……」
俺はひと息ついた。
フレミアがつぶやく。
「すごい……本当にブロース様を、倒すなんて」
フレミアは目を見開いた様子で、俺とブロースの遺体を見ていた。
そのときオッサンが言った。
「で、でも、」
オッサンが不安を口にする。
「ヒコ村でブロースが殺されたなんて、砦の魔族に知られたら……村が、壊される」
オッサンは震えていた。
村を支配していたブロースが死んだことより、他の魔族からの報復を恐れているようだ。
まあ、無理もないだろう。
「案ずるな」
と俺は前置きして、続けた。
「俺はこのまま、砦を襲撃する。そこで魔族を皆殺しにするから、村が破壊されることはない」
「さ、さっきもそんなことを言ってたよな。砦の魔族を殺すとか……あんた、本気なのか……?」
「ああ、本気だ」
「たった一人で戦うつもりなのか!? 勝てるわけない! 相手はウジャウジャいるんだぞ!?」
「関係ない。何匹いようと、皆殺しにするだけだ」
俺は頑として、己の意思を表明する。
オッサンは困惑した顔を浮かべたあと、尋ねてきた。
「ど、どうしてそこまで?」
「それを話すつもりはない」
転移魔法を得るためだ、なんて話してもしょうがないからな。
「では、俺はこれで失礼する。砦の方角は、確か、こちらだな―――――」
ゲーム知識を思い出しながら、歩き出そうとした俺。
そんな俺に、フレミアが言ってくる。
「あの……私も、いきます!」
フレミアの言葉に、俺は足を止めた。
俺は困惑する。
「私も、戦わせてください!」
とフレミアが主張してくる。
フレミアに戦いの心得はないはずだ。
それに俺は、一人で十分だ。
「来なくていい。足手まといだ」
と正直に伝えた。
フレミアは言ってくる。
「でも、私のせいですよね? 私をかばおうとして、魔族と戦うことになっ――――」
「違う」
とハッキリ否定する。
「俺は俺の目的で、魔族を滅ぼしに来た。お前のことは、関係ない」
実際は、生け贄であるフレミアを助けようとして、ブロースを殺した面もないわけではない。
ただ、フレミアがいようといまいと、どのみち魔族は皆殺しにしていただろう。
だから実質、フレミアは無関係だ。
「ゆえについてこなくていいし、戦わなくていい。俺がすべて解決する」
ついてくるな、邪魔だ……という視線の圧力を、俺はフレミアに向けて放った。
俺の圧に、フレミアはたじろぐ。
やがてフレミアは言った。
「わかりました。では……どうか、お気をつけて」
「ああ」
短く答えた俺は、今度こそ砦の方角へと歩き出すのだった。




