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繰り返しの元聖女は聖騎士改め暗黒騎士を守りたいのに溺愛される  作者: 氷雨そら
第3章 理は崩れていく
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理の崩壊

リディアーヌは、謎の失踪?を遂げます。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 リディアーヌの一閃が黒龍の喉元に刺さる。だが血が噴き出ることはない。そのかわり、リディアーヌの剣、コルタナが強く震える。


(浅かったの?仕留め損ねた?)


 だが、その瞬間、コルタナが眩い光を発した。眩い光があたりを包み込んでいく。


 黒龍が鈍い音を立てて、地面に倒れ込んでいく。ここに確かに、歴史が変わった。


 それと同時に誰にも見えない場所で、理が崩壊していく。


「リディアーヌ様?!」


 アルフリートがリディアーヌのいた場所に駆け寄る。しかしそこに、確かに黒龍にとどめを刺したはずのリディアーヌの姿はなかった。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 一方、今日も今日とて、バルトルトは働いていた。


 だが、今のバルトルトの仕事は書類業務ではない。書類業務は、バルトルトよりも優秀なレーヴェレンツ商会の事務員たちに奪われてしまった。


「序列四位殿、こちらの計画はどう思われますかな?」

「え?学校、しかも子ども達のですか?まあ、識字率が上がるのと、うん。この給食というのはいいですね。資金はどこから?」

「我が君は、国民から集めた税で公共事業を行っておいでです」

「ふーん。じゃあ、何か特産物をもっと考えないといけないな。あ、海に面してますよね?塩はどうなっているんですか?」


 次々と意見を出しながらも、『やっぱり100年は他国より進んでるよなぁ。』というバルトルトの呟きを聞いて、ギルマンは口の端を釣り上げた。


「ところでアレの生産はどうなりましたか?」

「…………生産は軌道に乗りましたよ。今週中に100丁は作れるでしょう。あんな悩んだ設計図、あっという間に修正しちゃうんだものなぁ」

「…………我が君ですから」

「火魔法を使った熱が原因だったなんて。同時に氷魔法の冷却機構を組み込むとか、なんでそんなことが可能なんだよ」


(ああでも)

 

 バルトルトは口の端が緩むのを感じた。バルトルトの手には、最後の一歩で完成していなかった短剣が握られている。


(そっか。お前も、持ち主のところにようやく行けるのが嬉しいみたいだな)


 短剣は、シンプルな作りで凝った装飾があるわけではない。だが、決して破壊されることがないだろうミスリルと魔鉄の比率。それに、今回の勇者の意見を試した結果、やっと成功した特別な機能が備わっている。


 バルトルトに語りかけてくる短剣は、輝いているように見えた。


「さて、アルフリートのことはあまり心配してないんだけど、リディアーヌ様は大丈夫かな?」

「序列四位殿。さ、休憩は終わりです。今度はこちらを検討しましょう」

「うわー。またこんなに持ってきて…………」


 うんざりした表情をしながらも、再び真剣な表情でバルトルトは書類に目を通し始めた。

 

アルフリート「リディアーヌ様のいない世界に用はない」


次回 アルフリート暴走


すみません。誤情報です。まあ、ある程度は暴走するかもですが。

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