ネズミのアンデッド
幽霊館へとやってきた。ただ、そこに入った途端に鼻を突き刺すような強烈な臭いが襲ってくる。
「うっ……」
ただ鼻を押さえながら館の中を見るとそこには腐ったネズミのようなアンデッドがいた。
「あれが幽霊?」
シィルが様子をうかがっていると、そのときにネズミの一匹と目が合う。その瞬間にネズミたちがシィルへ向かって飛びついてくる。
かなり大量の数のネズミ……。
慌てて周囲にポーションを振りかける。
流石にこれだけの数は相手にできないので、怯んだ隙に距離を開けようとしていた。
ただ、それを浴びたネズミたちはシュゥゥゥ……と溶けていってしまう。
ただのポーションなのに想像以上に効果があるようだ。
「これならなんとかなるかもしれない」
更にポーションを撒いていくと次第にネズミの数が減っていく。
ただネズミの方もただでは転ばずに複数で連携を取って襲いかかってくる。
ポーションの一振りであっさり倒せるものの次第に押されてきていた。
「相手の数が多すぎるよ……。このままだと僕たちも……」
いや、ちまちまと一本ずつ投げるからダメなんだよね。
両手に持てるだけのポーションを持つとそれを一気にネズミに向けて放り投げる。
一度に大量に撒かれるポーション。
それに触れた瞬間にネズミたちは消滅していく。
「よし、やっぱり量が多ければそれだけ一度に倒せるね。あとはこれを繰り返せば……」
ようやくネズミを全て倒し終えた時には息はすっかり上がってしまっていた。
「はぁ……、はぁ……、なんとか倒すことが出来た……」
その場で腰をつける。
するとそのタイミングで少女が館の外からうかがい見てくる。
「もうあの幽霊を倒せたんだ……。すごいね……」
「そんなことないよ……、たまたま運が良かっただけだよ……」
「でもおかげで嫌な気配もなくなったよ。ありがとうございます……」
なんどもお礼を言われると嬉しくなってくる。
「でもどうして幽霊がここまで発生したんだろうね。この建物って結構新しいものだよね?」
「そんなことないよ。元々は結構昔からあるの。今回はそれを新しく改装しただけで……。もしかするとそのことを怒って幽霊達が活性化したのかも……」
なるほど……。通りで建物の外観だけは新しく見えたわけだ。
少女に見送られながら建物の外に出る。
すると幽霊館に漂っていた怪しい雰囲気はすっかりなくなっていた。
よし、これでもう安心だろう……。
家に帰っていくシィルを大きく手を振りながら少女が見送ってくれる。




