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ハイポーション

 そうか……、僕のポーションをほしがる人が多かったのもこれがハイポーションだったからなんだな。


 うーん、それなら明日からはハイポーションの値段で売らないといけないね。


 どのくらいが良いんだろうか?


 首をひねって悩んでいるとリウが不思議そうに聞いてくる。


「お兄ちゃん、どうかしたの?」


 ちょうどよかった。リウならもしかしたらハイポーションの値段も知っているかもしれない。


「リルならこのポーションにいくらの値段をつけるかな?」

「……? これなら金貨百……ううん、千枚でも少ないくらいだと思うけど?」


 ……えっと、それって明らかに額がおかしいよね?


「それってハイポーションの値段?」

「ハイポーション? えっと、どういうことなの?」


 今度はリウが首をかしげていた。

 シィルは事情を説明するとリウはため息交じりの声で返事をする。


「ハイポーションなら銀貨五枚くらいかな?」

「ありがとう、助かったよ」

「でも、どうしてハイポーションの値段と聞いたの?」

「うん、どういうわけか僕のポーションはハイポーションに変わってたみたいなんだよ」

「本当はハイポーションでもないんだけど……」



 口を酸っぱくしてリウが言う。

 しかし、そのつぶやきがシィルに聞こえることはなかった。


「でもおかげでどのくらいの値段で販売すれば良いかわかったよ、ありがとう。早速行ってくるね!」


 シィルは急いで町の方へと向かっていく。



 露店の許可をもらったところでハイポーションの販売を始める。


「いらっしゃい、いらっしゃい、ハイポーション一つ銀貨五枚です。いりませんかー?」


 さすがにいきなり値段が上がったわけだから全く売れなくなるかもしれない。

 そう思っていたのだが、シィルの目の前にはたくさんの客が列をなしていた。


「俺も一本くれ!!」

「こっちは二本だ!!」

「私も一本買うわ!」


 たくさんの人がひしめき合い、シィルじゃどうしようも出来なくなって呆然と眺めていた。


 そして、気がつくとあっという間に置いていたポーションがなくなってしまう。


 えっと、これはどういうことだろう?

 ハイポーションを普通の値段で売ったはずなのに……。


「あれっ、今日も大繁盛だったね、シィル君」


 露店の片付けをしていたらリエットが声をかけてくる。


「うん……、でも、すぐに売れちゃったよ……」

「もちろんだよ。シィル君のポーションなら一瞬で売れて当然だからね」

「そうだね。さすがに僕もあれがハイポーションだってことに気づいたから、値段を上げたんだよ……。でもすぐに売れちゃった……」

「うん、シィル君のポーションなら当然だね」


 リエットは何を当然なことを言ってるんだと呆れた表情を見せていた。

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