露店出店
「そうだ、お兄ちゃん! 迷うなら一旦露店として出してみたらいいんじゃないかな? それでどのくらいお客さんが来るかとかわかるよ」
「確かにそれはいい考えかもしれないね。ただ、一応貴族様に相談してからの方がいいかもね」
どこで露店を出していいかとかあるかもしれない。
次の日、シィルはユーグリッドの館にやってきた。
「すみません、少しお話よろしいでしょうか?」
「あなた様は……シィル様ですね。今お館様に報告して参りますので少々お待ちいただいてよろしいでしょうか?」
執事の人が出迎えてくれるとすぐに中に案内してもらえることになった。
そして、客間に通されるとミグドランドがうれしそうに両手を広げて出迎えてくれる。
「ようこそ、それで今日はどうかしたのかい? 君のポーションならいくらでも喜んで買わせていただくが」
「いえ、今日は別の相談があってきたんですよ」
「ほう……、それは一体どういう相談なんだい? エリーならいつでも嫁に出す準備はできてるよ?」
「い、いえ、そういった話でもないです……」
ミグドランドのその話にシィルは思わず頬を染めてしまった。
すると、ミグドランドはうれしそうに笑みを浮かべていた。
「あははっ、すまない。それで君からの相談とは珍しい。一体どんな話なんだい?」
今度は真剣な表情を見せてくる。
ようやく真面目に話を聞いてもらえそうだ。
「はい、実はポーション売りの露店を開きたいと考えているのですよ。ただ、どこで開いたらいいのかなと思いまして――」
「それならどこでもいいよ。許可も必要ない」
あっさりと答えてくれるミグドランド。
「えっと、本当に許可もいらないのですか?」
「あぁ、いちいちそんなことで許可を取っていたら君がしているポーション売り自体も許可が必要になってしまうよ」
それもそうかと思わされた。
でも、ミグドランドは少し顎に手を当てて考え込む。
「でも、そうか……。シィル君が露店を開くとなると……うーん、困ったことになる可能性があるね。わかった、場所と護衛、あとは順番待ちになったとき用の場所も確保しておこう。ほかには……」
「い、いえ、そこまでしていただかなくても本当にただ露店でポーションを売るだけですから――」
「君がそのポーションを売るというのが問題なんだよ。一体日に何本のポーションを売るつもりなんだい?」
まぁ今売り歩いて数十本だから……、それより減るかもしれないから。
「十本くらいでしょうか?」
「まさか……、百本でも足りないレベルになると思うよ」
ミグドランドは大げさに言って脅かしてきているのだろうな。
でも、それだけ売れるなら確かに護衛とかそういったものも必要になるかもしれない。
数が足りないとなると暴動すら起きかねないもんね。
まぁただのポーションならそんなこと起こりえないだろうけど。
「まぁ、それくらい売れるようになったら相談させていただきますね」
それだけ言うとシィルはユーグリッド邸をあとにした。
新作始めました。
タイトル
最弱魔王、鑑定能力で成り上がる
あらすじ
鑑定能力しか持たない最弱の魔王に転生した主人公。
しかし、その鑑定で他者の隠された能力を見抜くことが出来た。
「う、嘘だろ。メイドなのに筋力が1000以上の数値があるのか!?」
「……? 私はただのメイドですよ?」
筋力に特化のメイド、殲滅魔法に特化の少女……など、自分の能力を知らない配下を集めていき、やがて最強の軍団と呼ばれるようになっていく。
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今ちょうど1章が終わったタイミングになりますので、これから読むにはおすすめです!




